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待ち伏せ


逆3z土銀
相互記念リク



…最近、ある事に気付いたんだ。

あの人は土日の
決まった時間にいつも
屋上に煙草を吸いに来る。

そしてそれを毎週向かいの
喫茶店から少しの間
眺めて週末を終えるのが
いつの間にか俺の習慣
となってしまっていた事に。


「……?」


いつもと同じ時間
いつもと同じ席、
いつもと同じ注文

でもふと違和感を感じ
見上げてみるといつも
そこにある影が無かった。

別に心配になった
訳では無い。
ただ、そう、本当にただ
何となく不思議に思って

気紛れに学校の屋上へと
足を向けてそろりと
扉を開け、視界に入った
光景に思わず目を奪われる

無造作にセットされた
黒髪を風になびかせながら
壁に身をもたれ、

呼吸に合わせ胸を上下
させていたその人に。


「…寝てる……?」


暫く扉の前で立ち尽くし
その様子を眺めてから、

何かに付き動かされる様に
ゆっくりと近づき、屈んで
そっと腕で頭を包み込む。

目の前で無防備な寝顔を
晒しながら眠る彼を前にして、
抱き締めたいと言う
衝動に駆られ思わず
身を寄せてしまった。


「………ばーか」

「…っ…!?
…せ…んせ……
起きて…っん…ぅ…」


突然視界が反転して
先生の姿が消え、
変わりに背中に感じる体温に
目を白黒させながら振り返ると

振り向き様に不意に
柔らかい物が唇に触れ
無情にも遮られる言葉


「なぁ、お前ぇいっつも
あそこから見てただろ…」

「…っ何で知って……
っつーか今…っ…」

「……フッ…見てた事ぁ
否定しねぇんだな。
んなの決まってんだろ…」

‐俺も、こっからお前ぇの
事見てたからだ。


耳元に口を寄せ呟かれた
言葉はどこまでも優しく、
何故か切ない響きを帯びていて

…きゅっと胸が締め付けられた。


「……先生、10秒だけ
目ぇ閉じてて……」


突然そう言った俺に
何も聞かず素直に目を
閉じる先生が可愛いくて、
腕の中で向き直り頬に
手を添えながら静かに
唇を重ねる。


「…さか……」

「銀時って呼んで下さい」


そう言って微笑むと
彼は目を丸くし、それは
次第に柔らかな笑顔へと
変わっていく。


「……銀時」


今更になって俺が毎週毎週
あの店に足を運ぶ本当の
理由が分かったんだ

いや、ずっと前から
分かってたかも
しれないけど、それを
認める勇気が無かった
のかもしれない。

そっと抱き寄せられた先の
胸元はとても広く、
暖かかった。


‐先生、何で今日は
此処で座ってたんですか…?

‐姿が見えなかったら
お前ぇが来んじゃねぇか
って思っただけだ

09.12.30





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