惚れた。
俺、坂田銀時は今…たまの体内にいる。なーんか、またゴタゴタがあったらしい。
で、なんでかは知らねぇが白血球王が俺を呼んだんだと。
……俺だけを。
あん時みてぇにウィルスが来てんなら新八に神楽も呼んだ方が早く片がつくだろうに……どうして俺だけなんだ。
「本当訳分かんねぇ奴だな…」
気乗りしない足取りで白血球国へ行き白血球王を探す。
…一応アイツ王だから…城にでもいるだろう。
というわけで城へ行ったんだが…
「…?
見張りも何もいねぇの?」
一応城だろここ……誰も立ってねぇのはおかしくねぇか?
…それともなんかあったのか…
悪い事態を想定してしまい、急いで中に入る。
城の中も人の気配がなく、静まり返っていた。
「白血球王!!」
王座の間的な部屋へ入る。
入って一番に目にしたのは…椅子に座って俯いている白血球王だった。
「オイ!!どうしたんだ!!」
「……来たか…坂田銀時…」
俺が声をかけるとゆっくりと顔を上げて俺を見る。見たところ怪我はしてねぇみたいだ…。
コイツが無事だった事に安堵して、俺を呼んだ理由を聞こうとしたら…抱き締められた。
「…ちょ、何してんのお前っ」
予想外の行動に困惑して、抵抗も出来ずにいた。
一体コイツの身に何があったってんだ…。
「オイ…どうしたんだよ…」
「……俺にも分からん」
「…は?」
これまた予想外の展開に困惑する俺。分からないはないだろ。
とりあえず、城の中に誰もいない理由を聞いてみた。
そしたら…それは俺が来るから城の外に追い出したって言うし…
訳分かんねぇ事だらけだ。
「…何か悩み事でもあるとか?」
まさかな…とは思ったが一応聞いてみた。
「貴様に会いたくなっただけだ」
「え?」
コイツらしくねぇ事言われて唖然としていたら、そっとキスされた。
一瞬何をされたのか理解出来ずにポカンとしてたが、数秒経って一気に顔の熱があがる。
「っ…な、何してんだお前!」
自分の唇を押さえて白血球王を見れば、コイツは平然とした顔で見つめ返していたから思わず顔を逸らした。
「…初めてだ…こんな感情は…」
至近距離でじっと見つめられて我慢出来なくなった。
「ちょ、一旦離れろお前っ」
離れようと暴れても、逆にぎゅっと抱き締められてまたキスされた。
今度のは長くて…深くて…堪え切れず力が抜けてしまった。
「ふっ……はぁッ……」
やっとのことで離れた唇からは涎が出てしまっていてそれを拭う力も入らない。
「…坂田銀時……貴様は不思議な奴だ。この俺をここまで狂わせるなんてな」
「はぁ……何…言って……」
「…俺は貴様に惚れてしまったらしい」
いきなりそう言われた。
こういう時どう反応すればいいのか分かんねぇよ。
でも…惚れたと聞いて俺の心臓はうるさいくらいにバクバクとなった。
顔も熱い…
そして、なんだか嬉しいような気がする。
俺もコイツに気があるということを知るのに時間はかからなかった。
「…好き…だ…坂田銀時…」
「っ…バカ……」
恥ずかしくなってぎゅっと抱きつく。
コイツの胸の中って…こんなに安心すんのか…。
なんだかすごく甘えたくなるな。
そんな事を思いながらすり寄る。
しばらく抱き合ったままで動かなかった。
「…そろそろ戻らねぇと…」
そう言って白血球王から離れる。
明らかにまだ足りないといったような顔をしているが…戻らないといけないのは事実だ。
「…また…会いに来いよ」
「あぁ、また会いに行くよ。
……またな………………白っ」
にこっと笑って白と呼んでみた。
白血球王だと長いしな。
当の白血球王はというと、
一瞬目を見開いてフッと笑うと、
「あぁ、またな……銀」
そう言ってくれた。
なんだかとても嬉しくなったから白に近づいて俺から軽ーくキスしてから別れた。
次はいつ会いに行こうか……
楽しみだな。
END
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