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 とっくにお前の事…

「…あのなぁ…何度来ようがダメなもんはダメなんだよ」


今は昼休み……


「でも!!先生が好きなんです!!」

「俺はお前をただの生徒としてしか見てねぇから無理だ。
大体な、教師と生徒が付き合うなんてイケナイ事だって分かってるだろ」

「分かってます!!それでも……


私は先生が好きなんです!!」



まったくしつけぇ女だな…こーいう奴は決まって面倒くせぇ。


なんで俺はこう…変わった奴にばっかり好かれるかな…


「とにかく、俺はお前と付き合う気なんてさらさらねぇから」


適当にあしらってから昼飯を食うために屋上へ向かう。

最近は一人で屋上に行って昼飯を食べるのが日課だ。

「フン〜フフ〜♪」


鼻歌を歌いながら屋上へ行くと、そこには既に先客がいた。


(チッ…誰かいんのかよ…)


少し苛つきながらも、ソイツから離れた場所に座り、背を向ける。


「いっただきまーす♪」

「…相変わらずだな、銀八」

「…!」


姿なんて見なくとも、声だけで分かる。
アイツにぴったりの低い声……


「……なんでお前がここにいんの土方」

「なんだ、いたら悪いのか?
今までもこうしてきただろ」


今までもだァ?
最近はそうじゃなかったくせによく言うぜ。

昨日までの数日間をなかった事にしようとでも思ってんのか?


「…なぁ銀八…」

「………」


どうせ…銀八が好きだとか言うんだろ。もう聞きたかねぇんだよそんな言葉は。

土方を無視して背を向けたまま飯を食う。


「………さっき、女子生徒に告白されてたよな一丁前に。
お前も女に告白とかされんだな。
で、何て言ったんだ?」


屋上に先回りしようと急いでたから俺が女子生徒に何て言ったか聞いてないらしい。

んな事テメェに教える義理はねぇだろーが。


「……断ったんだろ?」

「…さぁな。
付き合う事にしたって言ったらどうするよ」

「…そしたら………」


静かになった土方を横目で見る。
諦めるとでも言うつもりか。

まぁ俺の事はからかってるだけだったもんな、お前。


「…もしあの女と付き合い始めたのなら、銀八は俺のもんだってあの女に言ってやるよ」

「…は?」


意外な言葉に思わず声を出す。
俺がお前のもんだって?

何ぬかしてんだコイツは。


「いつから俺はお前のもんに…んっ」


反論しようと振り返ると、土方にキスされた。
軽いキスだったから直ぐに離れたが、土方は俺を見つめたままで…


「…俺は本気だぜ。
あんな女より…俺の方が絶対お前を好きでいる」

「っ……いい加減にしろ!!
大人をからかってんじゃねぇ!!」

キスをされて、俺の中に溜まっていた何かが溢れだした。
そして…全てを土方に伝えてしまった。


「ここ数日俺を避けてたくせに何言ってんだ!!
もう…俺を惑わすな!!!」


自分でも何を言ってるんだと思った。
これじゃあまるで俺が土方の事好きみてぇじゃねーか。


「…銀八……好きだ」


ぎゅっと抱き締められた。
けどやっぱり土方の体はまだ俺より小さくて……

それでも、俺を抱き締めた。

「っ…離せ土方…」

「銀八……昨日までの数日間、お前を避けてるように見えたのは誤解なんだ」


ぎゅっと抱き締めたまま話しだす土方。
その内容を聞いてみると、
部活で試合が近くて朝から練習がハードで疲れていた、との事だった。


「だから銀八を避けてたわけじゃねぇんだ」


今度は俺の頭を撫でてきた。
…コイツより俺の方がガキみてぇだな。

「…調子に乗んなっ」

「いてっ」


軽く頭を叩いて、そのまま土方に寄りかかる。

いつもならすぐにでも土方から離れるが、今はこうしていたかった。
土方と…くっついていたかった。


そうか……

俺は…とっくに土方の事が好きだったんだ。
だから避けられてると思った時、寂しさと苛立ちが同時にきたのか。


今は、俺が誤解していた事が分かって、土方が俺の事好きでいてくれて…ホッとしてる。


「…銀八…」

「……好きだよ、土方」

「!!…今…なんて……」


好き……好きだ土方…
だから、もう不安にさせんな。
俺の傍に居てくれ。

これからも…
俺を好きでいてくれ……。


ありったけの思いを込めて、
俺から土方に…そっと口付けた。




END


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