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 恋をしました


最近俺はおかしくなっちまった。
すべては……アイツのせいだ。
アイツにさえ出会わなければ、俺はこんな風にはならなかった。


そうだ…すべてアイツのせい…


「…土方…」

俺を変えてしまった奴の名前を呟く。


名前を出すだけで、姿を見るだけで、なんだか変な感じがする。

身体が熱くなるような…
心臓の鼓動が早くなるような…
何なんだこの感じは。


まるで……

恋してるかのようじゃねぇか。



「…恋……?」


いやいやいやいやありえない。


俺が恋?
よりによって土方に?
つかアイツは男なのに?


頭の中で、色んな事がぐるぐる回って目眩がする。


明らかに…好きという感情だ。
確かに最近は無意識にアイツの姿を探してた。顔を見ただけで幸せというか気分が良くなった…気がする。


この気持ちは一時的なものじゃない。ずっと前から…好きだったのかもしれない。


俺は一体どうすれば……


気持ちを伝えるってか?
いや、んな事は死んでも出来ねぇ。


つかなんで好きになっちまってんだよ。
なんで…気付いちまったんだ…


これからどう接すればいいのか分かんねぇ。
今までどう接してたのかさえ分かんねぇ。


道端で一人悩み唸っていると背後から声を掛けられた。

「あ、旦那じゃないですかィ」

この声は…沖田か。
そうだ、コイツに聞いてみるってのはどうだ?

「沖田君!!いいところ…に……」


話を聞いてもらおうと振り返った瞬間、俺は固まった。


「…ひっ…ひじ…かた……」

「……んだよその顔は」



目が合った途端に睨み付けられる。


「…あ〜そんじゃ俺はこれで…」

とにかくここから立ち去るのが妥当だと考えた俺は、コイツらに背を向け歩きだす。

「……おい、待て」


立ち去ろうとしたら、ぐっと腕を掴まれた。
離せと言っても離してくれない。

な、何なんだよ一体……なんで真剣な目でこっちを見るんだよ。



やめてくれ




変に期待しちまう。
心拍数が上がる……


「……お前、なんかあっただろ」

「…は?」


意外な言葉にあっけに取られる。

土方が、俺の事心配してる…?
俺の異変に気づかれた?


「…何言っちゃってんの気持ち悪ィな。
俺の事心配するような奴じゃねぇだろお前」

いつもなら、バカにしてくるくせに…今日は違う。

なんでだ…?


「っ…べ、別に心配なんてしてねぇよ!!」

何が心配だ馬鹿馬鹿しい。

とか言ってるソイツの顔は見るからに赤くて、

俺の腕を掴んでる手は、離す気配は全くなかった。


あぁ…
期待してもいいんだろうか…


気持ちを伝えるなら、今がチャンスかもしれない。

でも……
フラれた時、どうすりゃいいのかわかんねぇや。

「……俺…」

「…?」


「お、俺はっ……テメーの事…

…き、嫌いじゃねぇよ」


それを言うのがやっとだった。

好き とは言わない。
言いたくても、言えない。

だって、嫌いじゃないと言っただけでこんなにも顔が熱い。


土方の顔が見れない。
今の顔を見せたくない。

この場から逃げ出したい。

でも腕を掴まれてるから逃げ出せないし……

俺は、俯く事しか出来なかった。


「…万事……………銀時、」

「え…?」


「……俺も、お前の事嫌いじゃねぇ」


……俺はお前が好きだぜ?

耳元でそう呟かれた。


「え?え?

土方が……俺の事…好き…?」


一気に体中の熱が上がる。

はは……どうしよ……
すんげぇ嬉しい。


なんか…
今なら俺泣ける気がするわ。


「…ひ、土方……

俺も…お前が好き……」


土方の気持ちに答えたくて、自分の顔が真っ赤なのを隠しもせずにじっと土方を見つめた。


「…フ……お前…顔真っ赤じゃねぇか」

そんな事を言っている土方の顔も、真っ赤になっていて…


俺は、土方だって顔真っ赤じゃんって言って思いきり抱きついてやった。



END


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