気づいて、俺の気持ち
俺ね、先生の事が好き。だから俺を先生のものにしてください。
「おい坂田、お前やる気あんのかよ。このままだとどこにも行けねぇぞ」
「そんなにヤバイ?俺の成績」
「当たり前だろうが。テストを白紙で出す奴なんてお前ぐらいしかいねぇっつーの」
「ん、そっかぁ」
今は放課後で、俺と土方先生は教室に二人きりで会話の最中。といっても土方先生はご機嫌ななめで俺は説教されてるだけ。
でも先生と一緒に居られるなら説教だろうと嬉しい。だからつい笑みが溢れちゃって…また土方先生を怒らせちゃう。
「大体な…将来の夢も真面目に答えねぇで何考えてんだお前は」
「真面目だもん。
俺バカだから、それしか道はないの」
はぁ…と呆れたようなため息を吐く土方先生の手にあるのは、この前書かされた将来の夢についての紙。そして俺がその紙に書いた進路は…
“土方先生のお嫁さん”
「どこの小学生だお前は」
「銀魂小学校の卒業生でーす」
「………」
今日何度目か分からないため息を吐いた土方先生は、睨みつけるような視線を送って俺にこう言ってきた。
「あんまふざけた事し過ぎてると後で痛い目みるぞ」
「例えば?
土方先生からのお仕置きとか?」
「……」
「俺、土方先生になら何されても平気だから。つか逆に嬉しいし」
へらへらと笑いながら言った俺。俺の気持ちは嘘だと思ってたらしい先生はかなり驚いたのか目を見開いて俺を見てる。
「俺は本気だよ?土方せんせ」
そう言いながら顔を近づけて先生の唇に自分の唇を押しつけた。そしたらどさっと机の上に押し倒されて、そのまま気持ちいい事を。
とか思ってたのに、土方先生は…
「教師をなめんのも大概にしやがれ」
って言って怒ってきた。
どうして?
俺…こんなに一生懸命に気持ち伝えてんのに…なんで土方先生は受け取ってくれないの?なんで嘘だと思うの?
信じてもらうにはどうしたらいいの?
俺、バカだから…分かんないよ…
「っ…」
「!
…おい…なんで泣いてんだよ」
「だって…どうしたらいいのか分かんないんだもん…」
フラれるのは悲しい、でも自分の気持ちを信じてもらえないのはもっと辛い。
「土方せんせぇ…
すき…だいすき……」
もうどうしたらいいのか分からなくて、俺は泣きながら土方先生に抱きついた。信じてほしくて、好きだと言い続けた。
「……坂田、」
「………」
「…はぁ…お前は直球過ぎなんだよバカ」
軽く抱き締めて俺の頭をくしゃくしゃと撫でてきた土方先生。ちらっと先生の顔を見てみたら苦笑してた。
「本当はお前に正直に言う気はなかったんだけどな…俺もお前が好きだ」
「え…本当に?」
「あぁ、本当だ」
俺の涙を拭ってくれる土方先生の顔はすごく穏やかで、嬉しくてまた涙がボロボロ溢れてきた。
「先生ぇ…俺…すっげー嬉しい」
「……安心すんのはまだ早ぇよ」
ぎゅーっと抱きついていた俺を引き剥がして真剣な顔でじっと見つめてきた土方先生。きょとんとしてる俺の頭を撫でながら、ある条件を出してきた。
「…俺はまだお前を恋人にはしねぇ。
お前が…進路先をちゃんと決めてそこに行けることになったら、そん時はお前を正式に恋人にしてやる」
「なっ…そんなの…無理だよ…」
「無理じゃねぇよ。
とりあえずまずは目標を決めろ。大学じゃなくて専門学校でもいいから」
「……進路先が決定したら…本当に恋人にしてくれんの…?」
「あぁ。
ただし、デートとかはお前が卒業するまでは『おあずけ』だ」
「えーっ!!そんなのやだ!!
絶対に先生の家行くからね!!」
そして先生と愛し合いたいっ。
先生と気持ちいい事してそのままお泊まりするんだもん、絶対。
よーし、まずは恋人になるために進路先決めなきゃ!!
END
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