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きみが必要だから(属性賀兄弟/捏造)

※捏造

辿り着いた雷門中。イナズマジャパンを一目見る為だろう、見慣れたそこは人で溢れかえっていた。家に帰るなり荷物を押し付けるようにして持たせた疾風と特殊の手を引いて、人の群れに兄さんの姿を探す。

「お兄ちゃん、ほんとに着いてくつもりなの?」
「じゃなきゃここまで来ないさ」
「…断られたら、どうするの」
「…その時は、その時だ」

たとえ断られてしまっても簡単に引き下がるつもりなんてない。もし、だったら、なんてのも考えない。

「オレたちを置いて行った兄さんに、オレたちの気持ちを教えてやるんだよ」



不機嫌な組織に手を引かれながら、特殊はまた一人考えていた。組織兄はただ寂しいだけなのだろうと。しっかりしていても、僕たちの中で一番の寂しがり屋な組織兄の事だから。行って欲しくないって、そう言う為だけに着いて行くだなんてもっともらしい理由をくっ付けて。そんな組織兄も好きだけど。
組織兄の広くない背中が、もうそろそろ泣き出してしまいそうだ。

「…………あ、」

何とはなしに上げた視線の先。見慣れた赤と黄色の頭を見付けて、声が漏れた。その呟きにこもった意味を察したらしい組織兄がバッとその方向を見る。張り詰められていた雰囲気がいっぺんに弛緩する。熱血兄にもこれくらい素直になればいいのになあ、

「ね、疾風」
「ごめんね特殊お兄ちゃん。なんの話?」

とにかく今は、駆け出した組織兄を早く追い掛けなくちゃ。離されて淋しい手を疾風と繋ぎ直して、人混みを抜けようと一歩踏み出した。



「兄さん!」
「あれ…組織?なんで」
「兄さんが!変なメール寄越すから!」

やっと熱血兄さんの元に辿り着いた。視線が気にならないでもないけれど、今は敢えて無視をした。家族と、兄さんと話をして何が悪い?
息が荒い。いつもならこの程度でばてないってのに。何必死になってるんだ、らしくないな。

「オレたちも、兄さんに着いていく」

正確には、意思の確認が済んでいるのはオレだけだけど。一人じゃ踏ん切りがつかないからって特殊も疾風も連れてきたけど、我が儘を言うのは今だけだから。許して欲しい。
オレの声にか姿にか走ってきたバンダナ男に目をやると、説明するまでもなく状況を理解したらしい。すぐに笑顔を浮かべて大きな手を差し出してくる。兄さんを見るとおんなじように笑っていて、急に恥ずかしくなってきた。何したっけ。オレは何を叫んだんだ。

「歓迎するよ!」

流れでグローブに包まれた手を掴む。兄さんの手が伸びてきて、わしわしと遠慮なく乱暴に撫でられる。どうしようもなく泣きたくなった。兄さんがここにいる。置いて行かれない。隣を走れる。
視界が滲むのをそのままに、よろしくとだけぼそりと言った。














組織くんが長男だと知らないときに書きなぐったもの
もったいないので晒します^q^
下書き整理^q^

お題はにやり様からお借りしました!

2010/8/4



あきゅろす。
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