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※盲目的信者の自傷癖(佐久間/自傷注意)

※佐久間が自傷してます
それでもよければスクロールをお願いします















放課後の教室にオレは一人だ。窓から射し込む夕日がやけに眩しい。一人に、ひとりに、独りになると、いつもオレは自傷行為に走る。そんな迷惑な性癖を持っている。誰かを傷付けたりするよりはよっぽどマシなんだろうけど。帝国学園指定の鞄から、裁縫用の大きく鋭い鋏を取り出した。おもむろに腕にそれを添えた。冷たい。切っ先を当てる。チクチクする。持ち上げて、降り下ろした。ざくざく。鋏を皮膚に食い込ませてオレを揺さぶる激情に身を任せて切り進める。肉を断つ感触。血が抜け落ちていく感覚。でろでろしたものが腕から床に落ちる。赤い水溜まりができる。鉄の臭いがぷんとする。鼻がその臭いに慣れる。その間に鋏をまた動かす。


そいうえば、いつかにどこかのクラスの女子にこの行為を見られたことがあった。血の臭いにか、放課後に見かけた人影への好奇心か。どちらにせよ寄ってきた女子がいた。「佐久間くん、それ痛くないの?」馬鹿げた質問だ。いてぇに決まってんだろ、お前は痛いとか思わないのかよ馬鹿。と素直に気持ちを吐き出せば、気分を害したとでも言いたげに教室から出ていった。害されたのはオレの方だ、せっかくひとりで気分よく切ってたってのに。それからは、邪魔が入らないように使われなくなった教室に忍び込んではこの行為を続けていた。日課にすらなっていた。
気持ちいいとかそんなんじゃない。やりたいからやるだけだ。


血の気の抜けた腕に突き刺さる鋏をぼうっと眺めていた。家から持ち出してきた物じゃなく、わざわざ小遣いで買った物だ。それなりの値段はする。血濡れた刃を丁寧に拭いて、たまに研ぎ石で手入れしている。とはいっても本格的にではなく、あくまでオレの知識の範囲で行っている事だけど。床を見た。あらかじめ敷いていたビニールにオレの血が溜まっている。ところどころ黒々と固まっている。てらてらと独特の光を放っている。吐き気がする。切り落とされた髪は死体に似ていると言う人もいるけれど、それは体から流れ落ちた血液もしかりだとオレは思っている。確かにその人の一部だった物たちは、人から離れれば生きているときの光を無くしてしまう。生物からただの物に、有機物は元有機物に。言葉遊びと言われればそれまで。あくまでオレの持論だ。一般論じゃない。

行為を始めた頃にはまだ傾く、程度だった太陽はすっかり沈んでしまっている。ひとつの瞳に映る群青。空の色は黒よりも藍色で、一番星が酷く目につく。どうせ親は今日も帰りが遅いのだ、気になどならない。適当に応急処置をして、適当に、けど怪しまれない程度に後片付けをして、教室を出た。行為に苦痛はないけれど、しばらく血以外の臭いを鼻が受け付けなくなる。それだけが心をざわつかせてやまない。鬱陶しくて忌々しくて堪らない。
嗚呼、オレは、ひとり、だ。





鬼道さんがいない帝国なぞ、生きたいとも、思わないのだ。







佐久間である意味があるのかしら…勢いのまま書いた。後悔はしないけど、佐久間に謝ってくる
ときどきこういうの書きたくなるんだ、迷惑な事に
もし不愉快に思われた方がいらっしゃいましたら、申し訳ありませんでした

実は佐久間→鬼道でしたっていう
鬼道さんが攻め…?え?片想いでも書けない

タイトルはにやり様からお借りしました

2010/3/22 2010/3/23



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