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1.



影の中に座り込んでいると、どこかに何かが落ちる音がした。
青々と生い茂る視界を遮る木々を掻き分け、音がした方向を見遣る。
陽は高く、からりと気持ちの良い快晴。
降る星は見慣れたもので、先程の音もそれらの一つが大地を削ったものだろう。
ならば、そろそろ呼ばれる時間だ。

「チー」

そら、来た。
毎度の如く刻まれた眉間の皺を、わざわざ弛めはしない。
彼女はこれを咎めない。
無意識からのものをそう易々とは改善できない事を知っているから。
なら、何故自分を偽る必要があろうか。

「今、行く」
「早くね。父さんが退屈しちゃうわ」

強張った肩から力を落として立ち上がる。
音は、もうやんでいた。



「今日は何をしていたんだい?」
「考え事…を」
「そう。結論は出た?」

にこやかに話し掛けてくる人の顔を、問いには答えずにじっと見る。
答えが出るようなものじゃない、それをこの人も知っているから。

「今日も、自分がどこから来たかを考えていたのかな?」

分かっていて訊くのだから、この人は質が悪い。
首肯するとそう、とだけ返ってきた。

「どうして、ずっとそれを考えるのかな。答えはないと分かっているのに」
「…繋がりを、証明する、ものが俺に無いから」
「そうだね。けど、僕やキサラは君の家族だよ。忘れないで」

幼子に言い聞かせるように。
これは毎日の習慣で、物心ついた頃からずっと続いている。
人気の無い場所にいる俺をキサラ、が迎えに来て、この人がこうやって同じ言葉を言い続ける。
うんざりするのも確かだが、それを敢えて伝えはしない。
好意を無下にしない。
養ってくれている礼を、非礼で返す真似など、しない。

「ところでね、今日はもうひとつ言うことがあるんだ」
「…はい」

少しだけ、身構える。
別段警戒の必要性は感じられないが、これも無意識のひとつ。
キサラと同じように、この人もそれを知っている。

「君にお客さんが来てるんだ」

客。
それだけ訊くと普通のことだ。
けれど俺の場合誰かが訪ねてくることなど稀だ。
むしろ、無い。
となれば、来たのは外の人間か。

「どうぞ。入ってください」

その人が声をかけた方向を見る。
衣擦れの音と、足音の後に現れたのは見覚えの無い、髪の長い女。

「ボリーさん、この子が?」
「おそらく。あなたの求める条件に当てはまるのは、今のところ彼だけですよ」

朱色の唇から出たのは最低限の言葉。
その女は、品定めでもするような目でこちらを見ていた。











ちょう見切り発車\(^q^)/
設定まだ固まってませry

ボリー:主人公がこの人あの人と呼んでる人。村長

2010/12/31



あきゅろす。
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