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正しい愛し方を誰か教えて(フィルシェ)


「…ごめんルシェ、もう一度言って欲しいな」
「だから、お兄ちゃんと結婚するって言ったの!」

これは、なんだ。日本で言う据え膳ってやつ?
小さな手を懸命に伸ばしてくるのは、抱き上げて欲しいからなんだろうか。戸惑いが伝わらないように、そっとしゃがんで小さな彼女と目線を合わせる。

「本気で言ってるの?」

言葉がそのままの意味で伝わらないように、なるべく柔らかな声色を作る。笑うと声からも刺々しさがなくなる気がするから、口元を緩めて、それから目尻も垂れさせた。こういうのは雰囲気が大事なんだよな。

「ルシェ、君はまだ小さい。いつかオレなんかより、ずっと素敵な人が君を愛してくれる。だから、そう簡単に結論を出しちゃいけないよ」

淡い色の髪をそっと一撫でして手を離した。ルシェの言葉は嬉しいし、正直な心臓も分かりやすく跳ねた。だけど、オレの存在が彼女の将来の可能性を奪ってしまうのは嫌だから。ただの言い訳、そう言及されてしまえばどうとも反論できないけれど。

「お兄ちゃん、私のこときらいになったの…?」
「ううん、違う、違うよ」

君を幸せに出来ないのが怖いんだ。そう言えたらどんなに楽か。

「好きだからこそ、だよ」

声に苦笑の色が混じる。悲しげに顔を伏せた彼女にどう思われたって構わない。嫌われてしまったとしても、彼女が、ルシェが、幸せであれるならば。

「お兄ちゃんのっ、バカ!」
「ル、」
「私、お兄ちゃんじゃなきゃ嫌なの!私まだ小さいけど、お兄ちゃん以外の人となんて…っ」

言うだけ言ってルシェは泣き出してしまった。らしくなく声を押さえて、オレよりも小さな小さな掌で顔を覆って。ああ、泣かせてしまった。泣いて欲しくなんてないのに。ここで抱き寄せられれば彼女との未来はあるのか。彼女に幸せはあるのか。分からない。分からない。
オレは、どうすればいいんだろう。

















自分がルシェを幸せに出来るのかと自信がないフィディオとフィディオとじゃなきゃ幸せになりたくないルシェ
名前を知ったあとの文がこれってどうよ…(´^q^`)

2010/7/4



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