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蔦とロベリアのセレナーデ



いつか戦う舞台が分かたれることは元より覚悟していた。性別の壁は勿論あったし、それにあたしはパパのような政治家になりたかった。女性初の総理大臣になろうと決めていた。サッカーは好きだ。可能なら一生続けていたい。けど、あたしにはそれよりも大きな夢があった。パパが守り、発展、繁栄させてきた日本を、もっともっといい国にすること。ヒロトたちのようなかなしい子供が二度と生まれないように、仲間と助け合って、誰もが楽しく笑える国にすること。所詮は理想だと一笑に付されようとも、あたしがこの手で現実にしたいと。必ず現実にすると、幼さの中で決意したのだ。

「それじゃ、僕は塔子を支える主夫になろうかな」
「無理だよ。アフロディは料理ができないじゃないか」
「…、…頑張って覚えるよ」

付き合い出してから、何ヵ月かが過ぎた頃。なんとなく将来の話になって、あたしはあたしの夢を話した。笑われるかもしれない、アフロディのことだからそれこそ盛大に。……そう、覚悟してたのに、アフロディは笑わなかった。どころか、冗談めかしてあたしを支えると言ってくれた。変なところで照れ屋なアフロディだから、そうする時は本気でそう思ってくれてるときだ。それがわかっているから、嬉しくて口元が緩むのを抑えられなかった。

「アフロディは、あたしの夢を笑わないんだな」
「笑う必要なんてないだろう?それに塔子の夢なんだから、僕は絶対に笑わないよ」

照れたかと思えば、次は真面目になってあたしを肯定してくれた。今度はあたしが照れてしまった。物凄く自然に、それが当然と言うみたいにきれいな手があたしの頬をなぜたから余計に。低めの体温のせいで、あたしがどれだけ赤くなってるかを自覚させられてしまった。

「ふふ。林檎みたいに赤いよ。おいしそうだ」
「……人を食う趣味でもあったのかよ」
「いいや?塔子なら話は別だけどね」
「ぶ、物騒なこと言うなよ!」

最初の可愛らしい表情はどこへやら、もうすっかりアフロディのペースだ。話題の転換についていけなくて戸惑った。まあこれがアフロディの通常運転なんだけど。何ヵ月隣にいても、未だに慣れていないだけだ。
頬に添えられるだけだった手が髪の毛をいじりだすと、脈絡もなくアフロディが喋り出した。あたしはされるがまま、奴の声を聞くだけだ。

「ねえ、塔子。君が夢を叶えて、僕とフィールドを駆けなくなっても、君の隣にいてもいいかな?」
「それ、あたしの台詞なんだけど。先に言うなよ、ばか」

後頭部に添えられた手が、ゆっくりあたしの頭を前に押す。だんだんアフロディの、照美の顔が近付いてくる。キスをしてしまう前に、アフロディがそっと言った。

「プロポーズくらいは僕からしないと、ね」












何を書きたいのかわからなくなった

2011/6/13



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