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物語
第6話 揺らぐ心








天空世界編
第6話 揺らぐ心






ガザフ
「やっと着いた…ッ!」


あの事件から1時間経ち、カラフルで様々な種類の花が咲き乱れる街クッティルへとたどり着いた。
イルフォンスが少しずつりんの傷を回復していたこともあり出血は治まったが、出血が激しく血液不足の懸念があり、安心できない状態である。
よって、クッティルにある病院を探そうとしていた。


フレイ
「ウォード!この街に病院はあンのか?!」
ウォード
「私の知り合いが経営している病院がある」
ネリア
「知り合いがいるのか…ウォード」
ウォード
「申し訳ございませんネリア様…詳しい説明は後でします!皆…案内する、付いてきてくれ!」









クッティルの中心街からほど遠い、木々と花が沢山ある奥地の場所の中に、2階建てのレンガ造りの家があった。


ウォード
「キリク!いるか!!?」


急に中に入ってそう叫ぶウォード。
その家の中に、その主はいた。


キリク
「おや…ウォードじゃないか!久しぶりだなぁ!!元気にしてたか?!!2年振りだ―」
ウォード
「すまない、その話は後にしてくれ!患者がいるんだ…すぐに頼む!!」
キリク
「何!?こっちに運んでくれ!すぐに手術をしよう…この嬢ちゃんの血液型と同じ人はいないか?!」
フィーネ
「…確かイルちゃんとアルちゃんとガザフさんよね?」
ガザフ
「それなら俺の血を―」
イルフォンス
「僕の血を使ってくれ!それで…りんが助かるのなら…!」
フレイ
「イル…お前…?」
キリク
「ありがとう、僕についてきてくれ!他の皆は此処で待機して。好きにこの部屋を使って構わないから…では」


そうキリクという見た目25ほどの女性はりんを軽々と抱きかかえると手術部屋がある2階へと急いで駆け上がり、イルフォンスもその後を付いて行った。
姿が消えた事を確認すると、皆は緊張の糸が解けたようにホッと胸をなでおろし、各々その部屋のソファーや椅子に寄り掛かった。
ガザフは背中に背負っているアルヴォンドを部屋の中にあるベッドへと寝かせる。
彼の顔色は悪く、此処まで来る最中も酷く咳き込んだりしていた。
そして今も辛そうに咳き込んでいる。
そのアルヴォンドの様子を見た皆は不安の色を隠せないでいた。


メル
「アルヴォンドお兄ちゃん…どうしたのかな?急に体調が悪くなっちゃったよぉ」
フィーネ
「………ッ」
フレイ
「…フィーネ?どうしたんだ…顔色が悪いぞ?」


アルヴォンドを見つめるフィーネの顔色が悪い事に気が付いたフレイはすかさずフィーネに問いかけた。
フレイの声で我に返ったフィーネは、ハッとしてフレイの顔を見つめてにこっと笑うと、

フィーネ
「…い、いえ…気にしないでちょうだい」


と言い放った。
その表情はアルヴォンド同様、無理に笑っているようで…フレイ含め、皆も違和感を拭えないでいた。


ネリア
「どうしたのだフィーネ…アルヴォンドの記憶かなにか見えたのか?」
フィーネ
「それは…」
ウォード
「フィーネさん…どのような記憶なのか教えて―」
フィーネ
「なによ…ッ、私は…好きでヒトの記憶を見たいわけじゃないのッ!!私の気持ちも知らないで…勘違いしないでちょうだい!!!!」


そう叫び散らすフィーネの姿を見て皆は唖然とする。
その様子を見て、自分の言っていることに気付くと、フィーネは口を手で隠しては目を見開いて焦った表情を見せた。


フィーネ
「ぁ…ご、ごめんなさい…私…何を言って…ッ」
ウォード
「フィーネ…さん…ッ?」
ネリア
「…皆、戦闘で生心力(ヴィオゼーラ)をかなり消耗しておる。しかも蝕死力(ブラジェーラ)の影響のせいで気持ちが不安定なのだ。今は休もう…気持ちの整理の為にも…な」


そうネリアの意見に皆同意し、各自思い思いにふけていく。


メル
「パパ…」
ガザフ
「どうしたメル…?」


不安な表情を見せて父親であるガザフに近付き、服をきつく握りしめて抱きしめるメル。
そのメルの気持ちを察し、ガザフはしゃがんではメルを優しく抱きしめた。


メル
「パパ…メル怖いよ…ッ」
ガザフ
「大丈夫だよ…メル、パパがいつも傍にいるから…」
メル
「……うん」
ガザフ
(…今度は…誰も失わせない…!俺が…仲間を、大切な者を護るんだ…今度こそ…ッ)



ネリア
「フレイ…お主は大丈夫なのか?」
フレイ
「あ?何がだよ?」
ネリア
「蝕死力(ブラジェーラ)の影響で不安な気持ちや思わぬ思考などしておらぬかと聞いておるのだ!」
フレイ
「ぁあ!う〜ん…オレは大丈夫らしいな…なんでだ?」
ウォード
「ふむ…多分、フレイのその種族のおかげではないか?宝心種族は無限に生心力(ヴィオゼーラ)を生み出すことが出来る…だから大量の蝕死力(ブラジェーラ)が溢れるこの天空世界(スカイピア)でも平気という事だと思うが…」
ネリア
「なるほど…」


そのウォードの言葉を聞いたフレイは額にある宝石を右手で触れては、すぐに触れたその掌を見つめて握りしめる。


フレイ
(…オレは皆に助けられた…だから、今度はオレが皆を助ける番だ)



コニス
『忘れるなよフレイ…お前のこの力は、大切なモノを護る力だってことを…な』




フレイ
(…かあさん、とうさん…遠くからオレを見ててくれよな…!オレ…絶対あきらめないから…さ)










りんが手術を受けている2階の部屋の隣でベッドに横になって天井を見つめているのは、りんに血を与える為に献血を終え横になって安静にしてるイルフォンスであった。


イルフォンス
「りん…アル…ッ」



脳裏に浮かぶのはアルヴォンドとりんの切ない表情をした映像。
そして…





『イル…頑張って…ッ、君なら…その願い…叶う…よッ…!』


『なによ…裏切り者!!冷徹野郎!!ふざけるんじゃないわよッ!!!』


『ヒィイイ!!!;ば…化け物!!!ち…近寄るなァアァア!!!!;』





イルフォンス
「僕は…ッ」





―沢山の罪を重ねた……それも全部、僕のせいで……ッ―





イルフォンス
「僕は…どれだけのモノを失わせたら気が済むんだ…ッ」

「イル…」

今にも泣きそうな顔をしてそう言うイルフォンスの様子を心配して、従う精霊たちがイルフォンスの前に姿を現した。
イルフォンスを囲むように、アニマ・オリジン・マクスウェル・アスカが不安そうな表情で見つめている。


イルフォンス
「君たち…」
アスカ
「蝕死力(ブラジェーラ)に飲み込まれちゃだめよ…イル。気をしっかり持ちなさい!貴方は“アレ”を乗り越えた…仕方がないことなの。今を迎えるためには“アレ”しか方法がなかった…だからその道を選んだ。…それを貫き通すと決めたのは貴方なんだから…分かるわよね…イル?」
イルフォンス
「それは…」
アニマ
「そうよ…イルちゃん。それがあったからイルちゃんは強くなれた…昔の貴方とは違う。守られる側から守る側になれた…それは素晴らしい事なのよ?」
イルフォンス
「アニマ…」
マクスウェル
「過去に囚われては一生前を向けんぞ。大丈夫だ…もう誰も失わせない、りん殿もアル殿も…皆も…な。だから…蝕死力(ブラジェーラ)の操り人形になってはダメだ」
イルフォンス
「……ッ」
オリジン
「ぅ…ぅ〜ん…!お、おいらは此処に入ったばっかだからイルの昔のこと知らないけどぉ…ッ。でも、今のイルはとってもかっこ悪い!此処に入った時の輝いてるかっこいいイルが見たいよ♪ウシシ♪」
イルフォンス
「―…ははッ…!…確かに…僕らしくないよ…ね」


そう苦笑いをしてイルフォンスは弱々しく言った。



イルフォンス
(このどうしようもない不安と恐怖…悲しみ。これが…蝕死力(ブラジェーラ)の力…か)










―…コツッ、コツッ…


フレイ
「!りんは…りんは大丈夫なのか!?」


手術を開始してから…あれから1時間ほど経った。
階段を降りてくるキリクの姿を見つけたフレイは、すぐにキリクに駆け寄って問い詰める。
その不安と焦りの表情をしたフレイの顔を見たキリクは、優しく微笑んではフレイの肩をポンっと軽く叩くと、


キリク
「大丈夫さ…りんちゃんは生きてる。出血は激しかったけど、傷は浅かったから。君たちの応急処置のおかげだよ…おつかれさま♪」


そう優しい声で話す。
キリクの言葉を聞いた皆はホッと胸をなでおろし、安堵に満ちた表情をしていた。
その様子を見たキリクは吹き出すように笑い始める。


ウォード
「な、何を急に笑って…ッ!;」
キリク
「いや…2年振りの再開かと思ったらこんな事になったからさぁ…ッ。―…久しぶり、ウォード」
ウォード
「ぁあ…」


その二人の様子をメルは交互に見つめると、大きな声でこう言った。


メル
「キリクお姉ちゃんとウォードお兄ちゃんは恋人同士なの?!」
ウォード
「なッ!?;」
キリク
「ぶふッ…!!アハハハハッ!!!!!!」


目を光らせてワクワクした表情をして言うメルの姿を見て、キリクは先ほどよりも更に大きく笑い始め、ウォードは冷や汗を滲ませて固まっていた。


キリク
「自己紹介がまだだったね…ッ。僕は隼タイプのキリク・ラゥダートさ。あのヘタレバカのいとこだよ♪よろしく!」
ネリア
「隼…!?お主、守護騎士なのか!!?;」
キリク
「お久しぶりです…ネリア様。っても…一回もあったことはないんですが…ね」
ウォード
「はぁ…キリクはこの街に見惚れてから医者を目指そうと決めたんだ。そして医者になった彼女はここで診療所を開いて細々と生活している。…たまに話をしに遊びに来ていたんだ」
メル
「そうなんだ…かっこいいねキリクお姉ちゃん!」
キリク
「ありがとう…嬢ちゃん♪」


そう話をし終わった後、フレイは再び口を開く。


フレイ
「イルフォンスはどうしたんだ…?降りてこないのか?」
キリク
「血を採ったから…今は貧血も少しあって疲れたのか、点滴しながら寝てるわ」
フィーネ
「そう…」

アルヴォンド
「ゲホッ…カハッ…!!」


突然、咳き込む声が聞こえた。
そう…未だに意識を取り戻していないアルヴォンドの声だった。
その様子をいち早く察知したキリクは素早く彼の元へ駆け寄る。


キリク
「彼…酷い咳をしてるな…どうしたんだ?」
フレイ
「知らねェ…急に酷い咳をし始めたから…オレにも何が…ッ」


そのフレイの言葉を聞いた後、キリクはその場でアルヴォンドを診ていく。
シン…ッとする静かな空気。
診断を終え、フゥ…っと小さく息を吐くと、キリクは皆の方を向き、


キリク
「彼…すぐ倒れたり、よく休んだり疲れやすかったりしてないか?」
フレイ
「あ…たしかに…、精霊心術使うとすぐにバテたり…休憩したがるな」
キリク
「―そうか…」


っと、何か探るような行動をする。


ネリア
「ど…どうしたのだお主…?」
フィーネ
「……ッ」


皆は疑問に思う。
ただ、フィーネだけは険しい顔を見せて…


キリク
「彼の症状を話す前に…重要な事を聞かないと…ね」


そう話すと、しゃがんでいたキリクはゆっくりと立ち上がり、そして再び皆の方を見つめた。





キリク
「地上人が…どうしてこの天空世界(スカイピア)にいるんだ?」


そのキリクの言葉で、辺りが静まり返る。
だがその空気をすぐ断ち切ったのは彼女のいとこであるウォードであった。


ウォード
「キリク…君に説明しなければいけない…。私がここにしばらく来なかった理由も色々含めて…ね。話が長くなるが…」
キリク
「いつも言ってるだろ…僕は長話は大好きだから…って♪」















あれから30分ほど経っただろうか。
ウォードはガーディアンで起こった事…自分とネリアの身に起こった事、地上世界(アスピア)での旅の出来事やヴィオゼリンクが破壊されたこと…全て事細かに話した。
途中キリクからの質問が入り、それに皆も混ざっては柔軟に答えていく場面もあった。
そして全て説明し終わり、キリクは大きくため息をつくと、


キリク
「なるほど…ね、君たちと世界にそんな事があったなんて…部屋に篭りきってたから知らなかったわ」


そう切なげに口を開いた。


ガザフ
「君は…俺達地上人を憎んでいるのか…?」
キリク
「ん?まぁ…小さい頃はそう習ってきたから憎んでたけど、今は同じヒトだと思ってるよ。なんせ昔の出来事だ、今は違うだろ?こう思ってるやつは山ほどいるんじゃないかな…?」
フレイ
「すべてが全てそう思う奴らじゃないんだな…天空人も」
キリク
「まぁ…憎んでいる奴らはとことん憎んでるさ。今回、ヴィオゼリンクが無くなった今…隔たりが無くなったこの世界を利用して、地上世界(アスピア)に降りて積りに積もった憎しみを晴らそうと悪さをする奴が出てくる可能性が高いからな」
ネリア
「早く…そうなる前に地上世界(アスピア)に降りなければ…」
メル
「ぁ…あの…アルヴォンドお兄ちゃんの…体調は…ッ?」


心配そうに小さな声でキリクに言うメルの言葉を聞き、皆は再びキリクの方を向いた。


キリク
「ぁあ…ごめん、話が脱線したね。でもそのおかげではっきり分かったよ」
フレイ
「アルヴォンドに…一体なにがあったんだ?」


辺りに緊張が走る。




キリク
「彼…生まれつき体が弱かったのね。心術や生心力(ヴィオゼーラ)の消費量が激しいと思われる精霊心術を使って身体を酷使し続けた結果…昔より更に悪化したらしいわね。そしてトドメは天空世界(スカイピア)に来た事。蝕死力(ブラジェーラ)で溢れるこの世界は身体に毒よ…彼の肺・心臓・筋肉…あらゆるところに支障が出てる。これ以上無理をし続けると…彼、死ぬわね」



ウォード
「何…?!」
ガザフ
「ぇ…」
ネリア
「なッ…?!」
メル
「ふぇ…?」
フィーネ
「……アルちゃん…ッ」
フレイ
「死ぬ…嘘だろ…ッ?!」



「アルが…死ぬ…?」


その声が聞こえた方向を皆は向いた。
それは、階段から降りてきて意識を取り戻し偶然その話を聴いていた、目を見開いて青ざめている…アルヴォンドの兄…イルフォンスであった。


イルフォンス
「ウソだ…母さんも父さんも…アルが体が弱い事を僕に言ってくれなかった!!僕…今初めて―」
キリク
「ご両親の気持ちを察すると…それに囚われないで元気に生きていてほしいって事なんだろうな。…だから君に何も言わなかった…多分ね」
イルフォンス
「なんで…僕は…ッ」


そう悲しむイルフォンスの周りに、再びイルフォンスの精霊と…そしてアルヴォンドの8大精霊が姿を現す。


キリク
「うわ!?これが…アンタたちが話していた精霊なのね…びっくりした…!」


その精霊の姿を初めて見たキリクは、驚いた表情を見せてそう言った。


マクスウェル
「ウンディーネ…皆、君たちは知ってたのか?アルが身体が弱いって事を…」


そのマクスウェルの問いに対して、8大精霊は皆顔を合わしてはすぐに俯いて悲しい表情を見せる。
そしてゆっくりとその重い口を皆開き始めた。


ウンディーネ
「ぇえ…知っていたわ。前の契約者だった主…ガゼルから、死ぬ直前…契約者をアルに移す時に…―」



ガゼル
【皆…ッ!アルは…身体が弱い…ッ。だから…その分、アイツを…支えて、やってくれ…頼んだ…ぞッ…!】


イルフォンス
「父さ…ッ!」
ノーム
「僕…それからアルヴォンドの身体が冷えないように土の小さい家を創ったりしたんだ…」
イフリート
「俺は寒い日に体を暖めたり食事の手助けとか…」
シルフ
「めんどくせぇけど…髪を乾かしたり暑い日は風を吹かせて涼しくしたり…」
セルシウス
「…っとまぁ、生活レベルの雑用ばっかしておるが…こうやってあたしたちはアルヴォンドの身体を労わっていたんだ」
ウンディーネ
「倒れないように…ね」
ルナ
「アル…私たちにこの身体の事を言わないでってきつく言いつけてたのよ」
シャドウ
「だってよ…アイツ、皆が俺に気を遣ったり負担になるから…って言うんだ!」
ヴォルト
「アルは優しい…だから、自分よりも仲間を大事にするヤツだ。…その結果、アルの身体を傷付けていたようだな…」
イルフォンス
「アル…」


そう言うアルヴォンドの精霊たちの話を聴いて、皆は黙ってしまう。


キリク
「まぁそう落ち込むなって!…死なないように薬を大量に用意してやるから…さ♪」
フレイ
「!!ホントか!?」
キリク
「そうだな…痛み止め、貧血防止…体力増進…咳止め…胃薬…睡眠剤…全部で7種類か」
ウォード
「す…凄い量だな…ッ」
キリク
「そのぶん…最初は身体がだるくなって大変かもしれないけど、慣れれば大丈夫さ。ただ、薬に頼っているとはいえ、身体を酷使しちゃだめなのは変わらないよ。特にこの世界にいる時は…ね」
ガザフ
「わかった…肝に銘じておこう」


そのガザフの言葉を最後に、キリクは大きく手を叩いて笑顔を見せると


キリク
「悲しい話はこれでお終い!改善策も見出したことだし…皆疲れてるだろ?お姉さんがとびっきり美味い料理を振る舞ってやるから…沢山食べて元気になりな♪」
フレイ
「そう…だな」
イルフォンス
「アルが苦しんでるのに…呑気に食事なんか―…?!」


そう俯いて暗い表情をして呟いたイルフォンスの前に、アスカが立ちはだかり顔を近付けた。


アスカ
「言ったであろう!アルは気遣ったり負担にならないでほしいっと…。お主のその行動があの子の生心力(ヴィオゼーラ)を苦しめているんだ…いい加減気付かんか馬鹿者!!」
イルフォンス
「!!」
アニマ
「そうよイルちゃん。些細な事があの子にとってどれだけ大きな事か…」
マクスウェル
「それがお前さんの悪い所だ。少しは直していかんとな…」
イルフォンス
「……ッ、あぁ…ごめん…皆」
オリジン
「よぉおおし!食事〜食事〜♪ヒトの作る食べ物っておいら大好きなんだ!!」
キリク
「精霊って食事できるんだな…」
フレイ
「まぁ…精霊も一応生き物だから…な;」


そう会話を交わした後、キリクは料理の準備に取り掛かった。
その手伝いをするため、皆も準備に動き始める。
明るい太陽の光に部屋の中を優しく照しながら…













―…ドスゥウンッ…!!


ソルティー
「ぁ…も、モクマ!!」
モクマ
「も…きゅッ…!;」
ソルティー
「お前…何が目的なんだ!! 僕たちをどうするつもりだッ!!!」


此処は草原が広がるとある場所。
そこにあるのは、傷だらけで身動きが出来なくなってしまっているモクマを、同じく傷だらけのソルティーが庇う様に立ちはだかって叫んでいる姿があった。
そのソルティーの前にいるのは、3人の複数の人影。


???
「なに…?決まっているだろ…“あの方”のエサのためさ…地上人…♪」
ソルティー
「地上人…なんでそう言って…―ハッ、まさか…お前らは天空人!!ってことは…僕は、あの後…天空世界(スカイピア)に飛ばされ…ッ?!;」
???
「何言ってんだよクソガキ」
ソルティー
「なッ!!お前…ガキって言う」

―ドスッ…!!

ソルティー
「―…なッ…?!」


後ろの首元に衝撃。
気付けば後ろにもう1人がいた。
その者に首元を思い切り叩かれてしまう。
黒くなっていく視界と共に走る激痛。
薄れゆく意識の中…モクマを見つめ、ソルティーはこう口を開いた。



ソルティー
「もく…ま…に…げて…ッ」


―ドサ…ッ



静かに、ソルティーは倒れ意識を失った。
そのソルティーの姿を見たモクマも、ともに意識を失ってしまう。


???
「強い地上人様もこの世界では虫以下ってか…ハッ、ざまぁねェな!!」
???
「よし…“あの方”に捧げてこよう…」
???
「“また”良い餌が増えたぜ…これで“あの方”も満足なさるはずだ…!!ハハハッ…!」













―…コツッ…コツッ…!


???
「此処がクッティル…か。守護騎士のもう一人の生き残りのキリク…やっと見つけた」















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