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物語
第1話 オレンジ色の髪の女の子





【第1話 オレンジ色の髪の女の子】




現在、A.F5000


 ここは地上世界(アスピア)世界首都ルイセンド王国ルイセンド城。
 城内に繋がる大きな門扉の前の広大な庭では、ルイセンド王国騎士団の者が大勢特訓を受けている様子が見られる。
 その中で一際目立つのは、つんつんとした蒼い髪の毛に後ろで長い一本結びをしており額には大きな宝石なようなものを付けている、騎士団の衣装を纏った青年の姿があった。

???「コラ!!ちゃんと大きく腕を振るんだフレイ!!」
フレイ「痛ッ!?!〜…なにすんだよこのクソおやじ!!特訓はあくまで特訓だ、だから本番になったら真面目にやればいいだろ…―痛ぁッ!!!;」
???「特訓あればこその本番だ、特訓を疎かにすると本番なんか上手くいくわけがない!」
フレイ「ぁーあ、これだからガザフおじいさんは頑固だからイヤナンダヨナー」 

 青年―フレイは話す相手―ガザフに向かってそう言い放った。
 青年の名はフレイ・ミューレント、思春期真っ盛りの17歳だ。フレイはルイセンド王国騎士団の騎士である。
 彼は幼いころに両親を事故で亡くし、以来父の親友であった現在ルイセンド王国騎士団総指揮官のガザフによって引き取られ、父のように慕いともに育ってきた。

ガザフ「よし、今日の特訓はここまでだ!各自個人でトレーニングするように!!こい、フレイ」
フレイ「ぇええ!!また説教かよ…もう勘弁してくれ…」
ガザフ「違う、今日は例の“アレ”だ」
フレイ「あれ?…ぁあ、アリスタ誕生祭か。そういやそうだったな」

 アリスタ誕生祭。それは女神アリスタがこの星…アリスタが誕生した日であり、女神アリスタの命日でもある日。毎年その日になると、世界中で思い思いに祝いを表すのだ。
 ルイセンド王国での祝い方は、街の所々に派手な飾りを付け、人々は様々な特異な衣装やきれいな衣装を身にまとい、女神アリスタのシンボルマークのアクセサリーを身につけてアリスタ誕生祭をする風習となっている。
 ルイセンド城では一般人も参加できる宴会が行われ、先ほど同様の衣装を纏いながら踊る、ダンスパーティが行われるのが唯一の名物とされている。

しかも今年は生誕5000周年。


フレイ「また俺とガザフで毎年恒例の不審者がいないかの為にルイセンドの森に行かなければいけないのか…」
ガザフ「これも特訓の一部だと思え、と何度言えばわかるんだ」
フレイ「わかりたくもない」
ガザフ「はぁ…ったく、いいからこれを着て森に向かうぞ」
フレイ「…はぁ〜い…面倒くさいな…」



   ************



場所は変わり、ルイセンド王国近くの森林。
そこをあたりを見渡すように歩いているのは、全身を黒い服で覆っているフレイとガザフ。
どうやらその恰好が毎年アリスタ誕生祭で見回りの際に着る変装らしい。

フレイ「毎年やってて思うんだけど」
ガザフ「どうしたフレイ?」
フレイ「これやってても意味ないと思うんだけど…何もないし」
ガザフ「何もないからいいではないか。平和の証だ」
フレイ「まぁ…そうなんだけど…さ」
フレイ(毎年この暑苦しい恰好で見回りするの嫌なんだよ;)

そう心の中で悪態をつきながらあたりを注意して見回してみると、何か胃変に気が付く。
フレイたちから前方200m先の草木が不定期にガサゴソとうごめいている。

フレイ(?!なんだ…あそこの草木…動いてる…!)
ガザフ「いるな」
フレイ「…だな」
ガザフ「今年は…嫌な年になったりして」
フレイ「は、冗談よせよな親父」

そう軽い会話を交わしながら二人は戦闘態勢に入った。
すると草木から突如現れてきたのは、手のひらサイズ位なうさぎだった。

フレイ「な、なんだ…うさぎかよ;」
ガザフ「!?まて…様子がおかしい」
フレイ「はぁ!?なにがおかしいってーッ?!」

空気が変わった。
ブチぶちと、生々しい音が森の中に響き、手のひらものサイズだったうさぎが急に人間と同じ大きさへと姿を遂げた。
その姿を見た二人は、驚きと動揺を隠せない表情を見せている。

フレイ「な、なんだよ…これ!なにが、どうなって…ッ」
ガザフ「こんなのは生まれて初めて見た…異常かつ想定外だ…ッ」
うさぎ?「グゥウウルゥウウ…〜ッ」
フレイ「やば…!」
ガザフ「やるぞフレイ!!」

そうガザフが言い左右に跳んで回避した瞬間、モンスターが振り上げた拳がフレイたちが元居た場所を直撃し地面がのめりこんでいた。
これは相当なバカ力の持ち主だということがこれで分かった。これは排除しなければいけない。
町の安全として、市民の安全として、世界のために、

フレイ「はぁあああああッ!!魔神剣ッ!虎牙破斬!電裂翔ッ!!」

フレイは次々とモンスターに連続攻撃を行う。
相当効いているらしく、モンスターは断末魔のような叫び声をあげた。

ガザフ「くらえ!これで最後だ化け物!」

最後の止めとばかりに、ガザフはモンスターとは離れた場所で連続で銃弾を放った後、モンスターへと近づき、銃の形から今度は二つの剣に変化したものでモンスターへと素早く切りつけた。

ガザフ「連刻斬!!」

ガザフの止めの攻撃により、モンスターは倒れ、跡形もなく砂のように消え去っていく。
どうやら倒したようだ。
それを確認した二人は、武器に着いた血を払い、素早く鞘に仕舞い込んだ。

フレイ「なんだったんだ…あの化け物?」
ガザフ「知らん…初めての現象だ。急に狂暴化して、しかも人を襲うモンスターなど存在するはずもない」
フレイ「しかも急に変貌したりとかもな…」
ガザフ「これは、ほんとに大変なことになるかもしれない。城に戻ったら一刻も早く国王にこの事態を報告しないと」
フレイ「だな…一応まだ探索してみるか?」
ガザフ「アリスタ誕生祭パーティまで少々時間があるからな、時間になるまでもう少し探索するとしよう」
フレイ「了解」




―20分後―




フレイ「ふぅ…結構いたな、さっきと同じようなやつら」
ガザフ「あぁ…こんなにいるとは」

あれから5分ごとに敵に遭遇し、倒してはまた遭遇するの繰り返しでかれこれ10体くらいは倒しているだろうか。
さすがの二人も疲労の色が見える。

ガザフ「そろそろアリスタ誕生祭が始まるな。引き返そう、これほど倒せば問題ないだろう」
フレイ「そうだな―…ん?」
ガザフ「?どうしたフレイ…なんだ?気配がする。誰か近くにいるな」
フレイ「ぁあ…」

また二人はその気配を感じ取った瞬間、再び武器を構える姿勢に入った。
段々足音が大きくなり、近づいて来るのがわかる。
嫌な緊張感が走る。
そしてーーー

それは目の前に現れたかと思うと倒れてしまった。
それはどう見ても…

フレイ「女の子…?」
ガザフ「な、なんだ…?嬢ちゃん!大丈夫か?!」

二人は危険じゃないと判断し武器を仕舞い込んで、その倒れた女の子へと駆けつけた。
すると女の子は目を開けて、二人を見つめる

ガザフ「良かった…生きてる」
フレイ「ぁあ…お前大丈夫か?」
???「誰だお前ら…ここは、いったいどこなんだ」

目の前の女の子は、髪の色といい目、服の色が全体的にオレンジと赤で統一されており、髪型は外ハネでボブより顎より上あたりの短めな髪で、上着は手が見えないほど振袖のように広がっている、ズボンはだぼっとした膨らんだようなズボンをはいているその容姿。
まるでそれは…

ガザフ「天空人…?」
フレイ「は?天空人って…ぇ、ぇええええッ!?!?」
ガザフ「間違いない…見た目といい…これはおそらく…」
???「確かに私は天空人だ」

天空人。それは、天空世界―スカイピアに住む飛空種族のことを指している。
つまり、彼女はスカイピアから地上世界―アスピアへとやってきたらしい。

フレイ「うわ…これが、天空人…初めて見た…!」
ガザフ「嬢ちゃん、名前はなんていうんだ?」
???「私か?私はネリア・フェニスだ。だから、ココはどこだといっている」







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