出会い系
──1


学生といえば、コンパが第ニの課題みたいなモンである。
そう公言するサンジは、暑苦しい恋人となし崩しに付き合う事になっても、まだ積極参加を続けていた。
そこで運命的な出会いを果たす。

「サンジ君って、可愛いわよね」
魅惑的に微笑むのは、オレンジ髪の美女。
名前はナミ。隣の女子大生だ。
一つ年下なのに君呼びでも違和感が無いくらい、大人びている。

アドレスを交換して、有頂天で帰った彼を待っていたのは、同居人もとい同棲人だった。
玄関で仁王立ちで待ち構え、酔っ払った彼を軽々と攫い、セミダブルベッドに押し倒す。
安物のスチールが悲鳴を上げた。
「いでっ!何しやがる!」
「それはこっちのセリフだ」
人を射殺しそうな視線。
「てめェ、あれほどコンパには行くなっていったのに、まーた人の目かいくぐって行きやがって」
「う、うるせェ!コンパはオレの趣味、ライフワークなんだ!それを奪う権利はおめェにはねェ!」
「あるだろうが!お前は俺のモンだぞ!」
「勝手に所有物にすんな!あ〜もう!話は後だ。トイレ行かせてくれ」
「そうか」

より強くガッチリ四肢を固められた。
「おい」
イヤな悪寒。
邪悪に微笑む間近の顔。
「漏らしたくなければ、もう二度とコンパ行かないと誓え」

──そうきましたか──!!
「ふざけんなてめェ!離せ」
「誓え」
「いやだ!」
「じゃあ漏らせよ」
「〜〜〜〜」
サンジは酔いと怒りで目眩をもよおしながらも、涙目で叫んだ。

「オレは…可愛いレディとの出会いを絶対諦めねェからーー!!!」

大体、こんなに嫉妬してくるのがレディだったら、メロリン愛しくて抱きしめちゃうだろう。
だが目の前に居るのは…突然転がり込んで居付いて告ってきた、同級生の『男』なのだ。
名前はロロノア・ゾロ。同じ専学の建設科2年。
大事にしているサボテンに頭が似ているだけで、特に役にも立たないクソマッチョだ。

「…ふん」
ゾロは唇の端を不敵に吊り上げた。
「往生際の悪い奴には、お仕置きが必要だな」
いつも家で腕に巻いている手ぬぐいで、器用に手をベッドヘッドに縛り上げる。
ジーンズを一気に引き抜き、ボクサーパンツ一丁にした。
ぎゃーぎゃー叫んで暴れる凶暴な脚を秘技・灯篭流しで避け、秘所を握ればフニャンと大人しくなった。

「さて…どうする?」
「ひ、卑怯もの…」
「うるせェ愚か者」
「あっ…!」
布越しとはいえ一擦りされサンジは肩を震わす。
「っ…危ねェ…!おい、マジでやめろ。トイレ行かせろナウ!」
「お前次第だな」

ゾロはパンツのゴムを引っ張った。
「新品か。勝負パンツのつもりかよ」
「これは…紳士のたしなみ…」
「てめェのここは、二度と女に使わせねェぞ」
「──この人でなし!ケダモノ!」
「おっ勃ててるくせに文句いうな」
「おまっ…!同じ男なら分るだろうが…!」

尿意があれば射精感が高まる。これ豆な。
彼方へ説明しながら気をそらそうとしてもムリだ。

おしっこ出したいのにアッチも出したいし、オレ、もうどうしよう!?な状態に、金色の髪を振り乱した。
ゾロはもどかしい愛撫を布越しのまま与えている。
「さぁ、どうする?」
「うっ…!」
先端に人差し指が食い込み、ダークブルーのパンツに一点濃い染みが出来る。

「わ、分った…もう、行かねェから…」
「本当か」
ウソだよ〜ん!心で叫ぶと、
「──嘘だな」
冷ややかな視線で見抜かれた。
「…分ってねェな。サンジ」
ゾロは笑みの張り付いた唇に、自らの指を挿し入れベロリと舐めた。
セクシャルな仕草に、不覚にも身体の芯がズクリと鳴る。
「お前はもう、女じゃ満足いかねェ身体なんだよ」
「そんなこと──うわっ!」
下肢を捻られたかと思うとパンツをずらされ、尻の割れ目に…
「──!!」
濡れた人差し指が一気に捻じ込まれた。

「サンジ…」
熱い息を首筋に感じる。
「たくさん出せよ」
──どっちをだよ!!
そう返す言葉は一点を撫でられ悶絶に消えた。
布を痛い程突き上げ、濡れていくのが分る。
「あ…!やめ、あ、んあ…!」
内壁を押すように刺激され、膀胱も限界を訴える。
「も…、出る…ゆる、して…!」
金色の髪がイヤイヤと振られ眩しい。
涙の溢れる蒼い眼は余計に嗜虐を煽り、ゾロは自らのモノを取り出しまだ狭いそこへ──

閉じた両足がゾロの左肩でビクビク痙攣する。
「はは…すげェ…」
中も生々しく痙攣して最高に気持ちがいい。
パンツの前はぐっしょり濡れていた。量的にザーメンのようだ。
「クソ、やろ…」
虚ろながらも睨みつける濡れた目に、
「悪い」
ゾロは突っ込んだままサンジを抱えると風呂場に直行した。

その後激しい肉を打つ音と荒々しい呼吸が聞こえ、一切の音が止まったと同時に、控え目な水音がしたのだった。

***

「おはよう、サンジ」
「…はよ…」
朝の陽気に相応しい爽やかな挨拶に陰気な表情を向ける。
先輩のエースはそれでもニコニコして、サンジの肩を抱いた。
「その顔は痴話ゲンカか。昨日のコンパばれた?」
「…あいつの野生の勘、どうにかなんねェかな…」

結局昨夜はとんでも無い羞恥プレイまでされて、怒る元気も無くしたサンジは不貞寝するしかなかった。
いつも朝起こしてやるのが役目だが、当然無視してきた。朝食も用意していない。
(将来の)コックを怒らすとまず兵糧攻めという事を、身を持って知ればいい。

「で、どうだった?上玉ばっかだっただろ?」
「おお!それがよ!」
急に元気になったサンジは、ナミという美少女からアドレスゲットした事を告げた。
「ナミちゃんか…そうか…」
一緒に喜んでくれるかと思った先輩は、難しい顔で顎を擦っている。
「どうした?まさか、彼氏持ちとか!?」
「うーんそうでは無いんだが…。まぁ、色々と気をつけろよ」
「?はっきり言えよ」
「そのうち分るさ。じゃあまたな」

コンパを主催したりサークルの部長をしたり、何かと忙しい先輩は始業のベルと共に去っていった。


ゾロは昼過ぎになってからようやく講義に現われた。
不機嫌な顔は犯罪者とイコールだ。
それに果敢にも声をかけたのは後輩のビビだ。
「ゾロ先輩、具合でも悪いんですか?」
どうみても悪いのは機嫌である。彼女はお嬢様育ちのせいか、ちょっぴり天然が入っている。
時代劇で見た武士にゾロが似ていた事から憧れを抱き、ファンレターを送った経歴があったが、
今では普通の先輩後輩として接している。

ビビはちょっと声をひそめ、いきなり「気をつけて下さいね」と言ってきた。
「何をだよ」
「これです」
彼女は携帯を取り出すと画面を操作して、メール受信を表示した。
「幼馴染の男性から転送してもらったんです。最近流行ってるみたいですよ」

内容は、よくありがちな出会い系サイトの勧誘だった。
「くだらん」
「ゾロ先輩はそうでも、サンジさんは危なくないですか?」
「………」
確かに。あのアホは危ない。
一応注意しとくとビビに礼を言って別れた。

しかし昨夜のお痛が過ぎて、今日アパートに帰ってくるかも怪しい。
ならメールしとくか。ついでに謝って…と尻ポケットを探ったら、ない。
「忘れた…」
今日は遅刻で慌てたからだが、ゾロの不携帯っぷりは今に始まったことではない。

休憩時間が終わり、教室を移動する間に彼はこの事をすっかり忘れていたのだった──



[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!