態度で示そうよ(※18禁)・3


 くぐもった声を無視してわずかに舌先を忍ばせると、カイジは身を固くしてそれを受け入れる。
 ほんのわずか、舌と舌を軽く触れ合わせてすぐに離れ、焦らすように唇の周りを舐めたり口の端に啄むようなキスを落としたりしていると、カイジの息がもどかしげに上がってきた。
「……わざと、やってるだろっ……」
 キスの合間を縫い、恨めしそうに睨んでくる視線を受け、アカギは目を細める。
「まだ、足りない?」
 自分の唾液を纏った唇を指でなぞりながら問うと、カイジは気難しげな顔のまま、こくりと頷いてみせる。
「なら、口開けて……?」
 アカギが囁くと、カイジは言われたとおり、うすく唇を開く。
 親鳥から餌を与えられるのを待つ雛のような従順さに、アカギは声を立てずに笑い、唇を深く重ね合わせて舌を入れた。
「んッ……ぁ、は……っ」
 ぬるぬると絡めると、カイジの方からも遠慮がちに応えてくる。
 互いに探るようだった舌の動きは、徐々に大胆さを増していき、先を争って貪りあうような口づけへと変化してゆく。
 呼吸が荒くなり、くちゅくちゅと唾液を混ぜ合わせるいやらしい音が鳴り始める。
「あ、ん……ぁふ、んぅ……っ」
 鼻にかかった声を上げて口づけに没頭しながら、カイジは無意識にアカギのシャツをぎゅっと握り締めていた。

 たっぷりと時間をかけ、唇がふやけるくらいに互いの口内を堪能したあと、アカギはようやく口付けを解いた。
 透明な糸が艶めかしくふたりの間を繋ぐのを、カイジは呼吸を整えつつ、とろんとした目で眺めている。
 真っ赤に上気した頬を指で撫で、アカギが問う。
「……どう、満足した?」
 物欲しげな表情を見る限り、カイジがその問いに頷くことはあり得ないということが、アカギにはわかっていた。
 案の定、カイジはぐっと言葉に詰まったあと、うつむいて微かに首を横に振る。
 そして、のろのろと立ち上がると、躊躇いを見せつつもベッドに上がり、怒ったような顔でアカギの方を見た。
「……」
「っ……なんだよっ……!!」
 思わず笑ってしまったアカギに、カイジが目を三角にして噛みつく。
 まだ若干の羞恥心はあるのか、涙目になってしまったカイジに、アカギは「なんでもないよ」と首を振り、立ち上がった。



[*前へ][次へ#]
[戻る]