嫉妬(※18禁)・5


 どちらのものともつかないような、呻き声と荒い吐息が漏れ出す頃、アカギはようやくカイジの唇を解放した。
 腕を押さえ込む力が緩むやいなや、カイジはアカギの体を力いっぱい押しのける。
 濡れた唇を忌々しげに拭い、大急ぎで玄関の扉を閉めると、カイジは激昂を露わにした。
「っ、てめぇ……っ、いきなり、なにしやがるっ……!」
 整わない呼吸の合間を縫って、カイジは怒鳴る。
 だが、切るように冷たいアカギの目に射竦められ、ギクリと言葉を飲み込んだ。
 今まで、カイジはアカギのこんな目を見たことがなかった。
(怒ってる……?)
 理由はわからないし、こんな目で睨まれる謂われだってない。だが本能的な恐怖で、カイジの背中を冷たい汗が伝う。

 金縛りにあったように動けなくなるカイジに、アカギは表情を変えぬまま、冷え切った声で言い放つ。
「あんたさ……どういうつもり?」
「は? なんのこと、だよっ……」
 声が震えぬよう、精一杯虚勢を張って言い返すカイジを、アカギはふたたび壁に押しつける。
「……他の男とベタベタしてるとこ、オレに見せつけたかったの?」
 軋るような呟きを聞いて、カイジは瞠目する。
 居酒屋での佐原とのことを言っているのだと理解するのには、すこし時間がかかった。
 だって、アカギがこんな月並みなことで、嫉妬という感情を露わにするだなんて、思ってもみなかったからだ。

 すぐ目の前にあるアカギの顔を、カイジは唖然とした表情で見つめる。
 誤解だ、と言いかけたところで、アカギだって見知らぬ女性と一緒にいたのだということを思い出し、カイジは口を噤んだ。
「……さぁ、どうだかな。ま、お互い様なんじゃねぇ? お前だって人のこと、言えねぇだろうが……!」
 わざと挑発するように笑うカイジの顔を、アカギは瞬きもせずに黙って見つめていたが、いきなりカイジの両手首をギリギリと強く掴んだ。
「……っ! おいってめぇ、なにす……ッ!?」
 痛みに顔を歪めるカイジには構わず、掴んだ手を乱暴に引き寄せると、カイジの首にかけられていたタオルを使い、両の手首を纏めて縛り上げる。
「ちくしょ……っ、なに考えてんだお前っ……!!」
 自分の力では決して解けないくらい強く拘束され、軽くパニックになるカイジを、アカギは力尽くで引き摺り倒す。
 そして、上がり口の床にうつ伏せに倒れ、呻き声を上げるカイジの下履きに手をかけると、ずるりと引きずり下ろした。
「!!」
 カイジは驚きに声も出ず、アカギを振り返ろうとしたが、それより先に熱を持った馴染みのある感触が露わにされた秘部に押し当てられるのを感じ、体を強張らせる。
「ちょ、アカ……うぁ、あっああぁ!」
 前戯もなく、いきなり押し込まれてカイジは絶叫する。
 引き裂かれるような痛みと混乱に、思考が追いつかない。
 なんでこんなことをされているのかもわからず、逃げだそうにも腕は拘束されているし、腰を強く掴まれているのでそれもできない。
 青ざめた顔で息を荒げながら、カイジはアカギを振り返り、痛みによる涙をいっぱいに湛えた目で睨みつける。
 悠々とその視線を受け止めると、アカギは狭い中を割り開くようにして無遠慮に腰を進めていく。
「あ……あ……くぅ、ッ!」
 裸の背を大きく震わせて苦悶するカイジの姿を眺めながら、アカギは無理やり根本まで挿入する。
「はぁ……、はぁ……ッ、う……っく……」
 腹の中を抉られ、涙と鼻水で早くも顔をぐちゃぐちゃにしているカイジが落ち着くのも待たずに、アカギは大きく腰を引くと、抽送を始めた。
「あっ、ひ! あ、あ、あっ……い、痛っ……!!」
 労りなど微塵も感じられないような激しさで、膚と膚を力いっぱいぶつけるようにして犯され、ビリビリとした鋭い痛みにカイジは身悶える。
 体が壊れてしまうのではないかというほどの無体を強いられ、アカギを責める言葉すら出てこない。
 硬い後孔に容赦なく自らの肉棒を叩き込みながら、アカギは低く喉を鳴らす。
「やけに馴染みがいいから、切れちまったかと思ったけど……血は出てねぇな。ってことは……あんたのココ、慣らす必要もねえってことか……つくづく、スケベな孔だよな」
 下卑た嘲笑を聞き、カイジの頭にカッと血がのぼった。
「っく、てめぇ……ッ、ぶっ殺す……っ! ひ、ぐうっ……!!」
「事実なんだから、しょうがないでしょ」
 アカギの言うとおり、カイジの後ろは限界まで広がり、皮膚だって伸びきって破れそうなほど張りつめているのに、中は何度も受け入れたことのあるアカギの男根に早くも順応し柔らかく緩んでいるお陰で、濡らしてもいないところへ無理やり突っ込まれたというのに、すこしも傷ついてはいなかった。
 それどころか、アカギにずぷずぷと突かれるたび、男の味を覚えてしまった粘膜はいやらしく絡みつき、痛みよりも快楽を拾い始めてしまう。



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