solo【その3】(※18禁)・5


「どんな風にしてたか、やってみなよ」

 強引に連れて行かれたベッドの上で、冷たく言い放たれた命令に、カイジはぎゅっと眉を寄せ、俯く。
「で、できるわけないだろっ……そんなのっ……」
「そんなこと言って……あんたのチンポ、ガチガチのまんまじゃねえか……」
 笑われて、カイジはカッと頬を染めてソコを隠そうとする。
 だがアカギはそれを許さず、力尽くで足を割り開いて、ふっと亀頭に息を吹きかける。
「ひゃっ……!」
 冷たい感触に思わず身を縮こまらせるカイジに怪しく笑いかけ、アカギはその先端に唇をつける。
「あっ、アカギっ……」
 フェラチオへの期待に腰を揺らめかせるカイジだったが、アカギは唇で先走りの露を掬い上げただけで、さっさとそこから離れてしまった。
「あ……」
 肩透かしを食ったような声を聞き、アカギはクスリと笑って唇を濡らした液体を舌で舐め取る。
「ほら……恥ずかしがらないで。ちゃんとできたら、うんときもちよくしてあげるから……」
 見せつけるような舌の動きに、カイジは思わず喉を鳴らす。

 舐められたい……アカギにフェラチオしてほしい。
 でも、目の前でオナニーしろなんて……

 カイジはアカギをチラリと見て、すぐに顔を伏せる。
 恥ずかしくてとても嫌なはずなのに、アカギの言ったとおり、アカギの前でオナニーすることを考えただけで、カイジの体は熱を持つ一方で、中途半端に嬲られた前も後ろも、ヒクヒクと疼いてしまうのだった。

 カイジは壁に凭れて熱っぽいため息をひとつ漏らすと、震える手でスウェットをたくし上げる。

 本当は、不本意なんだ……
 このままこうしてたってアカギが許すはずもないから、仕方なくオレはこうしてるんだ……

 自分自身にそう言い訳しつつ、カイジはドキドキと胸を高鳴らせながら、指で乳首をつまむ。
「あっ! あっ、はぁ……」
 すぐに反応して艶めかしい声を漏らすカイジに、アカギは笑い、なにかを投げて寄越した。
「それも、ちゃんと使いなよ……」
 それはベッドの下に隠したはずの、ローションだった。
 アカギは性悪な笑みを浮かべる。
「あんた、わかりやす過ぎ……さっきから、ベッドの下のこれが、気になって仕方ないみたいな顔してた」
「……っ、」
 目線の動きでばれてしまったのだ。カイジは唇を噛む。
「どうせ、乳首もそれ垂らして弄くってたんでしょ? オレに舐められてるとこでも想像した?」
 クスクス笑って図星を指され、カイジは泣きそうになりながらも震える手でボトルを取った。
 蓋を開け、中の液体を手のひらに垂らす。
 両手を擦りあわせてまぶしつけると、濡れた指でふたたび乳首をつまんだ。
「あっ、んっ……」
 そのまま、指の腹でクリクリと押し潰したり、周りを擽るようにやわやわと揉みしだいたりしていると、むずむずとした快感が、体の底から湧き上がってくる。
 そろそろと顔を上げてアカギの方を見ると、アカギは余裕の表情で口端を釣り上げて自分を見ていた。
 それがなんとなく面白くなくて、カイジの闘争心に火が点く。

 くそ……自分だけ涼しげな顔で、高みの見物しやがって。
 その余裕、突き崩してやるっ……!


 しっかりとアカギの双眸を見つめたまま、手つきをより大胆にする。
 先端を強く引っ張ったり、爪を立てたり。いつもアカギが与えてくれる、すこし痛いくらいの刺激を自身の胸に施しながら、カイジは快感に濡れた目でアカギを見る。
「胸、自分で弄くるの、そんなにきもちいい?」
 嘲笑うようなアカギの声にゾクゾクしながら、カイジは素直に、こくりと頷いてみせる。
「ぁ……ぅんっ……、き、きもち、い……はぁ、あっ……」
 それから、ローションのボトルを掴むと、足を大きく開き、アカギに見せびらかすようにして容器の口を自身の先端につける。
「は……ぅン……ぁん……」
 そのまま、敏感な鈴口をくるくると撫でるようにしてなぞると、腰が震え、とぷりと溢れ出た先走りが容器の口を汚す。
 容器を鈴口からゆっくりと離すと、にちゃっ……、と透明な糸が容器とカイジの陰茎を繋いだ。

 熱を孕んだ、誘うような目つきでアカギを見据えたまま、カイジはボトルをさらに傾けて陰茎にローションを垂らす。
 とろりとした液体は赤黒い肉棒に蜂蜜のように絡み、その下のはちきれんばかりの陰嚢、果てはヒクつく蕾までもしとどに濡らし、シーツに落ちてシミをつくる。
 カイジはローションを置くと、アカギの目を見ながら、自身の根本を握り、扱き始めた。
 初めはあまり力を入れすぎず、ぬちょっ……ぬちょっ……と、ローションの濡れた音をわざと響かせるように。
 徐々に気分が盛り上がり、大量の先走りが幹を伝い落ち始めたら、自身を射精へと導く貪欲な動きに切り換える。
「はぁ……んっ、あぁ……いい……アカギ……」
 欲望に澱んだ目でアカギを見つめ、嬌声混じりにその名を呼ぶ。
 アカギの顔からは、さっきまでの余裕の笑みがいつの間にか消え去り、ひどく獰猛な目つきでカイジを見つめている。
 その目に射貫かれるだけで、神経を直接揺さぶられるような快感が体を走り抜け、カイジは足の爪先でシーツを強く掻いた。

 たまらない。
 さっき、ひとりでしていたオナニーよりも、数倍きもちがいい。

 目の前にアカギがいて、その目に見つめられているというだけで、カイジは背筋が震えるほどの快楽を感じていた。
「あっ、あ、あか、ぎっ……んぁ、あかぎっ……」
 舌足らずな声で名前を呼びながら、カイジは左手を下ろし、ひくつく孔を指でつつく。
「あっ……、はぁ……っ、よく、見てろよ……ここに、入れるぜ……?」
 さっきまでこれは本意でないと言い聞かせていた自分を忘れたかのように、カイジは赤い舌を出して唇を舐めると、アカギの視線が自分にしっかりと固定されていることを確認して、自分の指を一気に三本、窄まりに突き入れた。
「はぁ、はぁっ……、どうだ? アカギ……ちゃんと、見えるか? オレのケツに指、入ってるとこ……」
 カイジは激しく指を出し入れし始める。
 にゅぷっ……にゅぷっ……
 ローションが大きな音をたて、充血した窄まりからどろりと溢れてくる。
 前立腺をぐりぐりと指で押し潰すようにしながら、カイジは身を捩り、涎を垂らして喘いだ。
「あっ、あっ、んっ……アカギっ、ぁん、アカギぃっ……!」
 目の前にいる恋人の名を譫言のように呼びながら、ひたすら陰茎を扱きたて、自分の尻孔を弄くり続けるカイジ。
 一心不乱に快感を追うその様子はひどく淫らで、見ている者の劣情を昂ぶらせる。
 夢中でオナニーに耽るカイジの手を、アカギは掴んで止めた。
「このスケベ……これじゃあ、おしおきにならないじゃない……」
 そして、不満そうな声を上げるカイジの体を抱き寄せると、濡れて甘い香りを放つ乳首を口に含んだ。
「ふぁっあっ……!」
 いきなりの刺激にカイジは目を見開き、大きく仰け反る。
 チュクチュクと唾液を絡めてそこを吸いながら、もう片方の乳首を強く抓りあげると、カイジの顔が痛そうに歪む。
 だが、鋭い痛みを与えられたにも関わらず、カイジの陰茎は萎えるどころかますます大きく張りつめ、それを見たアカギはカイジの乳首に軽く歯を立て、ニヤリと笑った。
「痛いのも好きだなんて、始末に負えねえな……」
 頬を赤らめたカイジはすぐさま抗議しようと口を開くも、まるで飴玉でも舐めるように、やわらかく舌を押し当てるようにして転がされると、言葉などすべて甘い喘ぎに変わってしまう。

 アカギは手を伸ばし、今にも達してしまいそうなカイジの陰茎に触れる。
「あっ……!」
「おしおきにはならなかったけど……ちゃんとオナニーできたから、あんたにご褒美あげる……」
 足開いて、と静かに命じられ、カイジは震える足を大きく開いた。
 アカギはベッドの上に伏せるようにしてカイジの腰を抱き込み、目の前でぴくぴくと震えて涙を零すイチモツに、舌を押し当ててカイジを見上げる。
「あっ……アカギっ……」
 期待に息を荒くして自分を見下ろす濡れた表情に笑い、アカギは先端に口づけを落とし、ぱくりと亀頭を口に含んだ。
「あっ……あ、ふぁぁっ……!!」
 待ち望んだ刺激が訪れたその瞬間、カイジは体をヒクヒクと痙攣させて呆気なくイッてしまった。
「……んっ……」
 ビュル、ビュルルッといきなり口の中で始まった射精に、アカギは驚きつつも、頭をゆるゆると上下に動かして手助けしてやる。
「あっ……あっ……ぁあっ……」
 涙をいっぱいに湛えた目で絶頂の快感に浸りながら、カイジは申し訳なさそうにアカギを見る。
 その視線を受け、アカギは『構わない』と言うように目を細めた。




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