同病相哀れむ(※18禁)・1 ただのエロ イタい




 セックスするとき、カイジさんは決まって、はじめは乗り気じゃないふりをする。
 それでも、
「おいで」
 って命令すると、悔しそうに唇を噛みながら、オレの前に膝をつくんだ。
 真っ黒な頭を撫でてやると、反抗的に睨みつけてくる大きな目はもう潤んでいる。本当は期待しているのが丸わかりだけど、本人はバレてないと思ってるに違いない。

 頭を撫でていた手で顎を持ち上げ、口の中に指を突っ込んでやる。
 ぐう、と犬みたいな唸り声を上げるカイジさんの、やわらかな舌を好き勝手に弄んで、喉の奥まで指を突き立てると、カイジさんの顔が苦しそうに歪んだ。
 丸めた背中を震わせて辛そうにえづきながら、それでも、カイジさんはオレの指を吐き出そうとしない。
 その頬はうっすらと赤らんで、太い眉がきつく寄せられている。
 クク、と喉を慣らして笑ってやると、カイジさんは目許をいっそう赤く染め、勝ち気な視線を一瞬揺るがせた。
 たったそれだけのことで、オレは勃起してしまう。
 まったく、毎度のことながら、カイジさんはオレを煽る天才だと感心する。

 五本揃えた指を無理やり、つけ根まで深く押し込むと、カイジさんは目を見開いてびくんと肩を揺らす。
 吐き気を耐えているせいで涙の滲んだ目に微笑みかけると、オレはゆっくりと手を引き抜いた。
 は、と息をつくカイジさんの口から覗いた赤い舌は、くちゅりと音をたててオレの指と透明な唾液で繋がっている。
 べたべたに濡れた口許を拭ってやるふりをして、ぬらぬらと手を光らせる唾液をカイジさんの顔になすりつけると、自分の唾だっていうのに、カイジさんはひどく嫌そうな顔をした。
 オレの唾なら、悦んで飲むのにね。
 心中でそう罵ってやりながら、オレはベルトを外す。
 見せつけるようにゆっくりと、スラックスと下着を落としていくと、カイジさんの視線が痛いほどソコに注がれる。

 現れた性器は腹につきそうなほど硬く反り返っていて、思わず苦笑が漏れた。
 真っ赤な顔で窺うようにオレを見上げるカイジさんの吐息も、興奮で荒くなっている。
 片手を自身の根元に添え、焦らすように頭を撫でてやると、カイジさんはもどかしそうに顔を歪めた。
「どうしたいの?」
 クスリと笑って髪を梳いてやると、カイジさんは怒ったような、泣きそうな顔をしてうつむいてしまう。
「そんなかわいい顔したって、駄目。ちゃんと言わないと、あげないよ?」
 腰を引くと、カイジさんは弾かれたように顔を上げる。
 屈辱に噛み締められた唇の奥にある、ぬるぬるとあたたかい粘膜にすっぽりと包み込まれることを想像するだけで、腰がゾクリと痺れてたまらない気持ちになる。
「ほら……早く、言って?」
 興奮に、声が掠れてしまった。
 ね、早く。
 オレだって、あんたの口に今すぐ突っ込んでやりたいのを、一生懸命我慢してるんだから。

 カイジさんはぎゅっと眉を寄せて短い睫を伏せると、そろそろと唇を開く。
「しゃぶり……たい、お前の……」
 情けないのか悔しいのか、今にも零れ落ちそうな涙を堪えているカイジさんの様子にオレは目を細め、すでに先走りで濡れ光っている鈴口を、カイジさんの唇に押し付けてやった。
「いいよ。気の済むまで、好きなだけ吸わせてあげる……」
 やさしい声でそう告げると、カイジさんは戸惑ったように瞳を揺らしたけど、すぐに舌をだしてちろりとオレのものを舐めた。
 軽く舌先が触れただけなのに、感電したみたいにビリビリと、背筋を快感が駆け抜ける。
 おっかなびっくりといった様子で、カイジさんは猫みたいにオレのを舐めては、いちいちオレの様子を窺っていたが、だんだんと気分が乗ってきたのか、亀頭を口の中に入れて愛撫し始めた。

 なんども教え込んだとおり、カイジさんは口に溜まった唾液を飲み込まず、それを潤滑剤にして、にゅるっ……にゅるっ……と雁首を出し入れている。
 溢れた唾液がダラダラと幹を伝い、陰嚢までしとどに濡らしていく。
 まだ色の薄いオレのを、一心不乱に舐めしゃぶるカイジさんの目は完全に蕩けていて、やらしいその顔を眺めていると、ひどく乱暴な気分にさせられる。
「ずいぶん……美味しそうに咥えるじゃない。オレの、食べちゃわないでね?」
 嘲り笑うと、カイジさんはキッとオレを睨みつける。
 この期に及んでまだ矜持を捨て切れていないその瞳を、今から自分がすこしずつ屈服させていくのだと思うと、それだけでイってしまえそうなほどゾクゾクする。

 オレはカイジさんの後ろ頭に手を伸ばすと、ぐいと乱暴に引き寄せた。
「!! んぐ……ッ!!」
 一気に根元まで咥えさせられ、カイジさんの体が苦しげに跳ねる。
 先っぽが、喉奥に当たってる。カイジさんがえづくたびにきゅうきゅう締まって、すごくきもちいい……。
 思うさま腰を振りたくなるのをなんとか我慢して、カイジさんの頭をあやすように撫でながら待つと、カイジさんは真っ赤な目でオレを睨み上げ、ぜえぜえと肩で息をつきながらフェラチオを再開させた。
 裏筋に尖らせた舌を沿わせて舐め上げながら、根本から先っぽまでスライドさせてくる。
 口いっぱいに反り返ったモノを頬張り、じゅるじゅると唾液を啜りながらの口淫に、腰が融けそうなくらい感じてしまう。
 初めての頃はすごく下手くそで、すぐに顎が疲れて休んじゃってたのに、今じゃ見違えるようだ。
 鈴口をぬるぬる舐めながら唇で幹を強く扱かれ、ため息が漏れた。
「うまくなったね……オレ、もうイっちゃいそう……」
 上擦った声で褒めてやれば、カイジさんは妖しく目を光らせて根本に指を絡めてくる。
 じゅぷっ……じゅぷっ……
 口で竿を扱きながら、陰嚢から精液を押し出すように根本を擦られ、下腹をぞわぞわと射精感が駆け上ってくる。
「あ……いい……、カイジさん、出る……っ」
 譫言のように呟いて、オレはカイジさんの髪を鷲掴みにすると、腰をぶつけるようにして振りたくった。
 苦しそうに呻き声を上げるカイジさんを無視して、オレはひたすら快感を貪り、絶頂へと駆け上る。
「ね……このまま、あんたの口ん中に出したい……オレの精子、飲んで……?」
 甘えた声でねだると、カイジさんはきつく目を閉じ、根本まで咥えたオレのモノを、抜けちまうんじゃないかってくらい強く吸い上げてきた。
「っ、あ、イくっ……! 出すよっ、カイジさんっ……!」
 直後、オレはカイジさんの頭を抱きかかえながら、やわらかい喉奥に叩き込むようにして射精した。
 精液がびゅるびゅると迸る快感に陶然としながら、ゆるゆると腰を動かしてカイジさんの唇で扱く。
 カイジさんは目を閉じたまま顔を顰め、黙ってオレにされるがままになっていた。
 よく見ると、その喉仏がときどき、ゴクリと上下しているのがわかる。
 言われたとおり、ちゃんとオレの精液を飲み込んでいるのだ。
 愉快な気持ちになりながら、オレはカイジさんの口内で射精を終えると、半分萎えたソレをずるりと引き抜いた。
「ぁ……は……、んく、っ……」
 どろっと白濁した濃いザーメンを赤い舌に絡ませながら、カイジさんは一生懸命飲み下していく。
 健気な様子を褒めてやるように頭を撫でながら、オレはすっと目を細めた。
「すごく……よかったよ、カイジさん。オレ、今日はこれだけでもう、満足しちゃった」
 嘘だった。こんなにやらしくてかわいい人を目の前にして、一発でおさまるわけがない。
 だけど、カイジさんはオレの言葉にさっと顔色を変え、「え、」と呟いた。
 呆然としているカイジさんに、「どうしたの?」なんてわざとらしく声をかけてやれば、カイジさんはなにかを訴えるように、オレの顔を見上げてくる。

 だから、そんなかわいい顔したって、許してあげないってば。
 オレは知らんぷりを決め込み、カイジさんをさらに追い詰めるために、床に落とした下着に手をかけてゆっくりと引き上げていく。
「あ……、うぅっ……」
 カイジさんは縋りつくような視線をオレに送っていたが、オレがそんなもの意に介さないとわかると、焦ったみたいに、とうとうオレのに吸い付いてきた。
「ん……? どうしたの……? 他にもなにか、してほしいことあるの……?」
 下着を引き上げる手を止め、粘液に濡れ光るソレをはしたなくちゅうちゅうと吸い上げるカイジさんに問いかける。
 恨めしげな目をしながらも、真っ赤な顔でこくりと頷くカイジさんを見ていると、今射精したばかりだというのに、また硬くなってくるのがわかる。
「じゃあ……さっきみたいに言ってごらん。オレに、どうしてほしいのか……」
 髪を梳いて促してやると、カイジさんは鈴口にぴちゃぴちゃと舌を這わせながら、まっすぐにオレを見上げて、ねだった。
「ん……っ、ほしい……、お前の、コレ……オレの中に、入れて……くれ……っ」
 羞恥を誤魔化すように目を伏せ、亀頭をぱくりと口に含んでぬちゃぬちゃ愛撫し始めるカイジさんに、オレは口許を撓めて笑う。
「そう……カイジさん、入れてほしいんだ? オレのちんぽで、ぐちゃぐちゃに犯されたいんだ?」
「ん……ぁむ、んんっ……」
 傷ついたみたいに眉を寄せながら、カイジさんはなんども頷いてみせる。
「ん、入れて……お前の、で……オレの、中、きもちよく、してくれっ……、んっ、は、ぁ……」
 夢中で男のモノを咥えながら、震える声でおねだりするカイジさんの愛らしさに舌舐めずりする。
 調教の賜物だ。苦労してここまで手懐けた甲斐があったというものだ。
 オレはそっと爪先を浮かせると、カイジさんの足の間をやわらかく足で踏みつける。
「あっ! あ、あっ」
 カイジさんはびくりと背を仰け反らせ、その拍子にぷるんと口からちんぽが抜けてしまう。
 ジーンズの下で熱く脈打つソレを、足の裏にぐりぐりと押し付けると、あっ、あっ、と短く声を上げながらカイジさんは感じ入っていた。
「こんな風にされても、感じちゃうんだね……」
 変態……と囁くと、カイジさんは泣きそうに顔を歪めるが、足の下の塊は萎えるどころか、ますます硬度を増すばかりだ。
 オレは喉を鳴らして笑うと、足を動かしながら命令した。
「脱いで、ぜんぶ。そしたら望みどおり、いっぱい犯してあげる……」




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