転じて福・5(※18禁)


 完全に足音が聞こえなくなると、カイジの口から、無理やり押さえ込んでいた声が堰を切って溢れ出す。
「んぁあっ! あっ、くうっ……!!」
 目許を朱に染め上げ、霰もなく喘ぎながら、カイジはきっと赤木を睨み下ろす。
「あっ、アホっ……! ばれたら、どうすん……だよっ! うあっぁっ」
「……でもお前、いつもより興奮してねえか? 出したばっかりだってのに、ここ、びしょびしょに濡れてるぜ?」
「なっ……!!」
 濡れそぼった陰茎を弄くりながら揶揄され、カイジは赤木に噛みつく。
「し、してねえよっ……!! んっ、あぅ、ひとを、変態みたいに、言う、なぁっ……!」
 ムキになって怒るカイジに、赤木は目を閉じ、笑う。
「……そうか」
「……ぁ、っ……」
 手を止め、後孔からずるりと指を引き抜くと、カイジの口から不満そうな声が漏れる。
 素直なその反応に赤木が思わず笑えば、カイジが目を吊り上げる。
「っ、笑ってんじゃねえっ……!!」
「ああ、悪い悪い」
 軽く息をついて立ち上がり、赤木はスーツの前を寛げて張り詰めた自身を取り出す。
 よく解れ、ひくひく蠢く後孔にぴたりと押し当てると、途端にカイジの眉が下がり、濡れた表情へと変貌する。
「んっ……あ、赤木さん……っ」
 カイジ自ら突き出してくる腰を左手で支え、自身に右手を添えて先端でぬるぬると割れ目を擦りながら、赤木は眉を寄せた。
「ん……滑るな……」
「あ、は、はやく……っ」
 すっかりとろけきった顔で男のモノをねだるカイジから、赤木はいったん離れる。
 そして、洋式の丸い便座に腰掛け、カイジの方を申し訳なさそうに見る。
「悪い。お前のそこ、ぐちょぐちょで、ぬめってうまく入れらんねぇから、お前が乗っかってくれねぇか?」
「っ……!!」
 目を見開き、信じられないといった顔でカイジは赤木を振り返る。
「ばかやろっ、なに童貞みてーなこと言ってんだよっ……!」
 カイジの剣幕に、赤木はちいさく声を上げて笑う。
「ほら……カイジよ。コレが欲しくはねえのか?」
 そそり勃った自身を見せつけるようにして軽く扱くと、カイジはごくりと唾を飲み、そこに釘付けになる。
 口許を撓め、赤木は手の動きを速める。
「ほら……早くしねえと、このままイっちまうぞ? いいのか? カイジ……」
 くちゅくちゅとわざとらしいほど大きな音をたててながら挑発され、カイジは軽い舌打ちとともに、プライドや羞恥心をかなぐり捨てた。
「っくそ……! この、エロジジイ……!!」
 やけくそで襲いかかるように、どっかりと赤木の足の上に向かい合って座る。
 間近で赤木の目を睨みつけながら、手を後ろに回し、赤木の手ごと陰茎を支える。
 腰の位置を合わせ、先端で孔を擦りながら、カイジは緩く息を吐く。
「んっ! あ、あうぅっ……!!」
 ゆっくり腰を落としていくと、久しぶりなだけあって、最初はかなりの抵抗があったが、雁首を飲み込んでしまえば、あとは重力に従って、カイジのそこは順調に太いモノを受け入れていく。
「っく、ん、ふうっ……」
 尻を赤木の腿にぺたりとくっつけ、根元まで飲み込んでひくりと肩を引きつらせるカイジに、赤木は深くため息をつく。
「ああ、やっぱり狭いな……いい具合だぜ、カイジ……」
 僅かに上擦った声で呟き、赤木は手を伸ばしてカイジの尻を撫でる。
「ほら……動けよ。お前の好きなようにしていいんだぜ?」
 頬にいくつも口づけを落としながら囁かれ、カイジは震える手で赤木の肩を掴む。
 赤木の体に体重を乗せ、そっと腰を持ち上げれば、限界まで中を押し広げた赤木のモノが腸粘膜を擦りながら抜けていき、たまらない快感がカイジを襲う。
「っふぁ……あ、あっ!!」
 先っぽまで抜けきったところで、一気に腰を落とすと、肉壁を無理やり割り開き侵入してくる怒張に、腹の奥から脳天まで貫かれるような感覚で、カイジの体は感電したかのように、足のつま先までビリビリと痺れた。
 病みつきになりそうな悦楽に、カイジはもう、歯止めがきかなかった。
 なんどもなんども腰を持ち上げては落とし、徐々に慣れてくると、今度は太い部分にきもちいいところが当たるようにして、ひたすら腰を揺さぶる。
 当初の抵抗からは想像がつかない、別人のような乱れっぷりと、カイジの体内から絶え間なく鳴り続ける卑猥な音、ぴったりと自分を咥えこんで離そうとしない腸壁に、赤木の息も上がる。
「クク……お前のここ、よっぽど俺のが好きみたいだなぁ。嬉しそうに吸いついてきやがる……」
 赤木はカイジの腰をぐっと掴むと、下から激しく突き上げ始める。
「あっ!? あっ、あかぎさ、んんっ……!!」
 突然の刺激に目を見開き、喉を反らして喘ぐカイジを、赤木は非情なほど強く、激しく責め立てる。
「っひ……! ぅあ、あっ! あぁっ……!」
 あまりの激しさに体がずり落ちそうになり、カイジは赤木の背に腕を回して縋りつく。
 腹の中を掻き回される苦しさはあるものの、それすら霞ませてしまうほどの快感に、カイジは自分でも気づかぬうちに、激しく咽び泣いていた。
 嗚咽で喉が詰まって息をしづらそうなカイジの背を撫でてやりながら、赤木は腰の動きを緩くする。
「あっ……んっ……んうっ……」
 なんとか呼吸を整え、カイジは赤木に抱きつく腕を緩めてほっと息をつく。
 だがその後、赤木の動きは先ほどまでの激しさが嘘のようにおとなしくなってしまい、物足りなさにカイジは自ら赤木に腰を寄せようとする。
 しかしそれも、赤木に腰を固定されて阻まれ、とうとうカイジの口から不満げな声が漏れた。
「なっ……なんで? もっと、うごいて、くださ……っ!」
 ぐずるような声を出すカイジに、赤木はクスリと笑い、ピストンを完全に止めてしまった。
「……いやなぁ。お前の体がきもちよすぎて、なんだか、イっちまうのがもったいなくってなぁ」
「なっ……!」
 燃えるように頬を赤らめ、カイジは赤木に怒鳴りたてる。
「バカなこと言ってんな……あぅ!」
 しかし、言葉の途中でいきなり突き上げられ、語尾は意味をなさない喘ぎ声に溶けた。
 低く喉を鳴らしながら、また動きをぴたりと止める赤木を、カイジは憎たらしげに睨む。
 いつまた、誰が入ってくるかもわからないこの場所から、一刻も早く出てしまわなくてはならない。
 僅かに理性を取り戻したせいで、そんな考えがふっと沸いてきて、カイジは焦りながら赤木に声をかける。
「も、もったいないなんて思わなくても……っ、また、いくらでも、させてやるからっ……! は、はやくっ……!!」
「……本当か?」
 訝しげに言って、赤木は浅く突き上げを始める。
「それじゃあ……いつ、どんな場所でヤるのかも、俺の好きにさせてくれるか?」
 雁首で入り口辺りを捏ね回しながら、耳許で囁くと、カイジはがくがくと頷いた。
「あっ、わっ、わかったから、もっと、深くっ……!」
 カイジの返事を聞き、赤木はすこし奥まで自身を沈める。
「んあっ……!!」
「……すげぇやらしい体位で、今日の比じゃねぇくらいスケベなこといっぱいさせても、いいんだな?」
 被虐的な快感に、ぞくぞくっ、と背筋を震わせ、カイジはぎゅっと目を瞑って、ふたたび赤木にきつく抱きついた。
「ぁふ、い、イイですっ……! いい、から、もっと……!」
「いい子だ……」
「ああぁっ! あぅっ、赤木さぁんっ……!」
 ずちゅっと最奥まで貫かれ、そのまま激しく抜き挿しされて、待ち焦がれた刺激にカイジは歓喜の鳴き声を上げる。



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