Don't hold out something.・6(※18禁)


 しばらく抱き合ったまま、互いに息を整える。
「腕、大丈夫か……?」
 包帯の上にそっと触れ、カイジは心配そうに眉を寄せた。
 アカギはこくりと頷き、おおきな欠伸をする。
 情交の快い疲れとカイジのぬくみで、早々に微睡みかけているらしい。

 カイジはもぞもぞ身じろぎして、アカギの肉棒を体から抜く。
 注がれた精液のぬめる感覚に鳥肌をたてながら、アカギの隣に寝転ぶと、アカギがベッドの端に追いやられていた掛け布団をふたりの上に掛けた。
 眠そうな横顔を見ながら、カイジはぽつりと言う。
「怪我のこと、そんなに知られたくねえなら、その……最初っから、ヤらなきゃよかったじゃねえか」
 セックスさえしなければ、カイジだって気づけなかっただろう。
 あんな些細な違和感など、気のせいで片づけてしまったかもしれない。
 アカギはカイジの方へ寝返りをうった。
「本当は、我慢するつもりだったんだけど……久しぶりにあんたの顔見ちまうと、もう、ダメだった」
 ストレートな物言いに、カイジは赤くなる。
 ぽりぽりと頬を掻きながら、照れ隠しのように渋面を作る。
「面倒くさい奴だな、お前……」
 アカギはふっと笑う。
「そうさせたのは、あんたのくせに」
「オレかよ!? 責任転嫁すんなよな……」
 カイジは呆れ顔でため息をつく。

 それから、真面目な顔つきになり、
「もうお前、怪我とか病気とか、隠そうとすんなよ」
 諭すように言った。
「そんなことしたって、無駄だってわかったろ。気づかねえフリしてやるほど、優しくねえからな、オレは」
「……」
 アカギはしばらく黙していたが、やがて口を開いた。
「カイジさん」
「……んだよ」
「の、馬鹿」
「お前なぁっ……!」
 いきなりの暴言にカイジは怒ろうとしたが、アカギの瞼が重たそうだったので、言葉を飲み込んだ。
 案の定、ものの数秒もしないうちにアカギはすうすうと寝息を立て始めた。
 その寝顔は、カイジにはなんだかいつもよりずっと幼く見えた。
「ったく……」
 呟きざま、カイジは微かに笑う。
 それから、小さなくしゃみを一つして、アカギの体にくっつくようにして眠りについた。






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