Don't hold out something.・5(※18禁)



 アカギの右腕の怪我を、カイジは本当に心配しているのだ。
「ん、くぅ……っ、あ、ぁふ……」
 でなければ、羞恥心の強いカイジが、こんなーー自らの手で後孔を解してアカギを受け入れる準備なんて、するはずがない。
 中途半端にはだけていた自分の服を脱ぎ去ると、カイジはアカギの服もすべて脱がせた。そして、アカギの股の上に跨がり、自分の後ろを解し始めたのだ。
 唾液と先走りを絡めて十分に濡れた指が、ぐちぐちと卑猥な音をたてながら、カイジの中を出たり入ったりするのを、アカギは眺めていた。
「あっ、はぁ……っ」
 悩ましげな声を上げては、ぶるりと体を震わせる扇情的な姿に、アカギは左手を伸ばして濡れそぼったカイジの前を握った。
「ひぁっ!?」
 一際高く鳴いて、涙のいっぱい溜まった目でカイジはアカギを睨みつける。
「て、てめ……っ、ぜってぇ、動くなって……! あ、あっ、ん!」
「左手ならいいでしょう? 怪我してないんだし」
「だ、だけどっ……」
「ケチなこと言わないでよ。あんたに触りたい……」
 そんなやりとりをしている間にも、アカギの左手はカイジ自身を擦り上げていた。
「あ、あぁ……やめ……っ!」
 ずっと触っていなかった前への刺激に感じすぎて、後ろを慣らす手がおろそかになる。
 容赦なく責め立ててくる普段のやり方とは違う、優しくて、どこかぎこちない動き。それは、さっき目隠しされていたときの手淫と同じだった。
 目隠しをされていたとき、いつもと違うと感じたのは、利き手じゃなかったからなのだと、快楽に流されていく頭の中カイジは思った。

「あ、も、いい、アカギっ……!」
 このままされたらあっという間に達してしまいそうで、カイジは震える手でアカギを制した。
 しかしアカギは意地悪く笑ってとりあわない。
「なんで? あんたのコレ、びくびくしてるのに?」
 濃い先走りが絶えず流れ落ちる陰茎を、にちゃ、にちゃ、と音をたてて扱かれながら、カイジは頭を強く振って必死で訴えた。
「も、お前の、コレ、挿れたい、から……あっ!」
 そして、さっきまで自分の後ろを苛めていた指で、硬く反り返ったアカギの陰茎の、括れの部分に指を引っかけるようにして撫でる。
 その台詞と仕草にゾクリとして、アカギはカイジの懇願通り手淫をやめてやる。
「しょうがねえな……ほら……」
「あ……」
 促されて、カイジの瞳が戸惑ったように揺らぐ。
 しかし、ぎゅっと唇を噛み締めると、体勢を整え、アカギの腰を挟んで膝立ちになる。

 膨らんだ刀身にそっと手を添え、少しずつ腰を落としていく。
 ちゅく、と先端で孔を擦り、一度、大きく深呼吸してから迎え入れた。
「あーー! あっ……あぁあ……!」
 ぐじゅぐじゅと淫猥な水音をたて、カイジのそこは男のモノをずぶずぶと飲み込んでいく。
 カイジはひどく傷つけられたような表情でアカギを見下ろしていて、それがアカギの性感を殊更煽った。
「ん、んん……くぅぅっ……」
「全部、挿入ったね……」
 カイジの尻がアカギの股にぺたんとくっついている。
 それを労うようなアカギの言葉に、カイジは眦を吊り上げた。
「んなこと、いちいち……言うなっ……!」
 吐き捨てざま、カイジはアカギの腹に手をつくと、ゆっくり上下に動き始める。

「ん、あ……、ぁくっ……はぁ……っ」
 ギシギシとベッドを軋ませながら、カイジは腰を振りたくる。
 髪を乱し、開きっぱなしの口からは嬌声と涎を溢れさせ、涙と先走りを撒き散らしながら。
 霰もない乱れように、アカギの口角が上がる。
「すごいね……そんなにきもちいい?」
 太股を撫でながら問いかけると、
「お、まえ、はっ! あ、ふっ……どう、なん……っ、だよっ……!」
 きれぎれに問い返される。
 アカギは笑い、
「さてね、」
 と答えた。
 そして、素早く左腕を伸ばしてカイジの尻を掴むと、ねっとりとろけるソコ目掛けて激しく腰を打ち付け始めた。
「ぃ、あぁあっ! あ、ぁひっ、くぁぁっ!」
 ずんっと脳天を貫かれるような刺激に、カイジは目を見開いて悲鳴に近い声をあげる。
「あっ、あっ、また、勝手に……ッ! んっあ!」
 非難の声は揺さぶられて震え、語尾が甘く上擦る。
 ずちゅっずちゅっと深くピストンされ、肌と肌がぶつかって乾いた音がする。
 激しい責めに上体を起こしていられなくなって、やがてカイジはアカギの体の上に崩れ落ちた。
 ふたりの顔が間近になって、それを待ちわびていたかのように、アカギの舌がカイジの唇をノックするようにつつく。
 素直に応えて舌を差し出せば、たちまち絡みついて熱い唾液を注がれた。
「ん、ん……ふ、」
 くらくらするほどの快感に、カイジの全身がわななく。
 それを与えてくれるアカギ自身を離すまいと、食らいつくようにカイジの中がうねり、こみ上げる吐精感にアカギも眉を寄せた。
「あっ、あ……あっ!」
 耐えきれずに重なっていた唇を離し、犬のように喘ぎながら、カイジは思い出したようにアカギの右腕にそっと触れる。
 気遣うようなその仕草に、アカギはふっと笑い、ちゅっと音をたててカイジの唇に口づけた。
「ね、カイジさん。イっても……いい?」
「あっ! あふぅっ、だぁ……から、そ……いうこと、いちいち……っ!」
 頬を真っ赤に上気させながら、カイジはアカギを睨む。
 唇をぺろりと嘗めると、絶頂を迎えるためアカギは動きを激しくする。
「ぅあ! あっあっ、アカギ……っ! そんな、に、したら……イっちまうっ……!」
 喘ぎ声が咽び泣くようなものに変わる。カイジの絶頂も近いのだ。
 アカギはカイジの体を強く強く抱き締め、最奥へ届くほど深く突き上げると、そこで射精した。
「……っ、」
 肩を震わせながら、いやらしく絡みついてくるカイジの中に一滴残らず吐き出そうと、びゅくびゅく精を迸らせる陰茎を肉壁で扱くように、何度も何度も突き上げる。
「んあぁ、すげ、出てる……っ、あーー! きもち、いい、も、イくぅっ……! くあぁっ……!」
 体の奥まで流れ込んでくる熱い飛沫に、カイジも長い嬌声を上げてふたりの体の間に濃い白濁をぶちまけた。




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