Trick or Threeway(※18禁)・6



 淫猥なセックスに存分に高ぶっていたふたりのカイジの射精は長く続き、甘い声を上げながらしっかりと抱き合うふたりの恋人の姿を、アカギは愉快そうに眺める。

 ようやくふたりがすべて吐き出した頃、アカギが兎カイジの中から硬いままの自身を引き抜くと、兎カイジはぜえぜえと胸を弾ませながら、猫カイジの中から抜け出ていった。
 絶頂の余韻で力が入らないのか、そのまま猫カイジの隣に寝転ぶ。
 ぐったりと床に仰向けになり、快楽に濁った虚ろな目でぼんやりと宙を眺めるふたりのカイジの様子に、アカギはくつくつと笑う。

「どうやら……この勝負、引き分けだね。それじゃ……」
「!!」
「あ、っ!?」

 呟きざま、アカギが猫カイジの腰を引き寄せると、ふたりのカイジは泡を食ったように目を見開いた。


「今度は、オレの番。」
 そう言って、素早く猫カイジの体を裏返し、四つん這いにさせると、血管を浮き上がらせてビクビク脈打つ怒張で、潤んだ窄まりを後ろから貫いた。
「やっ、ふあぁっ……!?」
 イったばかりの敏感な体にふたたび挿入され、猫カイジはなにが起こったかわからないという風に悲鳴じみた声を上げ、床に爪を立てる。
 三角の耳はピンと立ち、長いしっぽは恐慌に大きくのたくっていた。

 自分抜きで突然始まったセックスに、兎カイジは文字通り跳ね起きる。
「アカギっ、てめぇっ……! なに、勝手なことっ……!」
「『勝手』……?」
 朱に染まった眦を跳ね上げる兎カイジに、アカギはクスリと笑い、ゆっくりと猫カイジを突き上げながら言う。
「勝手もなにも……あんたら、どっちもオレのものなんだから、オレのやりたいようにやって構わないでしょ」
「……ッ!!」
 傲慢なアカギの発言に、兎カイジは憤りにカッと顔を赤らめたが、自分とアカギの会話をかき消すかのような猫カイジの嬌声に長い耳をピクリと動かし、続く文句の言葉を飲み込んだ。

「あっ、んっ……ひぁ、あぁっ……!!」
 反り返った怒張に中を擦り上げられ、早くも四つん這いを保てなくなった猫カイジは、腰だけを高く上げ、まるで本物の猫にでもなってしまったかのような体勢で、只々アカギに犯されている。
 開きっぱなしの口から涎と喘ぎ声を絶え間なく垂れ流し、涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でよがり狂う猫カイジの姿を、兎カイジは黙ったままじっと見つめていて、アカギは笑って乾いた唇を舐めた。

「ふふ……溢れてくる……、たくさん出したね、カイジさん……」
 ぐちゅっ……ぬちゅっ……とピストンするたび濡れた音をたてて結合部から溢れてくる白濁に、アカギは兎カイジを褒めてやるかのように声をかける。
 そのくせ、腰の動きは自分の居場所から他の男の精液をすべて追い出そうとするかのごとく激しさを増すばかりで、肌のぶつかる乾いた音が響くほどの責めに、猫カイジはいつの間にか、子供のように泣きじゃくっていた。
 その陰茎は激しく勃起し、ぴくぴく震えながら粘ついた先走りをフローリングの床にとろとろ垂れ流していた。


「ひっ! ふぁっあっ、た、助け……っ」
 あまりに感じすぎて怖くなった猫カイジが、救いを求めて兎カイジに震える手を差し伸べる。
 抽送の激しさを物語るように、猫カイジの首につけられた鈴から鳴るチリチリという密やかな音は途切れることがない。
 どろどろに溶けてしまったかのように哀れな猫カイジの姿と、非情なほどの責めをやめないアカギを、兎カイジは怒ったような顔で、睨むように見つめていた。

「ひょっとして……、妬いてる?」
 ピストンの合間にアカギが問いかけると、兎カイジは黙ったまま、より不機嫌そうに顔を歪める。

 図星か。心の中で呟いて、アカギは浅く笑う。
 いったい、どっちに? アカギにか、もうひとりの自分にか。それとも、両方?

 アカギがそんなことを考えていると、兎カイジはゆっくりと猫カイジの側にいざり寄る。
 アカギに蹂躙されながらも、『助けてくれるのか』と縋るように兎カイジを見上げる猫カイジ。
 その黒々と潤んだ瞳をチラリと見たあと、兎カイジは伸ばされた手を取る代わりに、悩ましげにうねる長いしっぽに手を伸ばした。
 それから、ぽかんと瞬く猫カイジの顔を見ないように目を伏せると、猫カイジのしっぽを強く掴み、その先端を口に含む。
「え……っ? ッぁあ、あーー!!」
 瞬間、背骨が痺れるような快感が走り、猫カイジは背中を限界までしならせて絶叫した。
 突如として与えられた意識が飛びそうな快楽に、中が歓喜してビクビクと強く痙攣し、搾り取られそうになったアカギは思わず抽送を緩めて眉を寄せた。

「……へぇ?」
 ニヤリと笑って兎カイジに目線を送れば、やさぐれたような顔でアカギを睨みつけながらも、挑発的に赤い舌を出して黒いしっぽを舐め上げてみせる。
「や、あッだめ……っ! しっぽ……、やめっ、離し……ッ」
 どうやら、しっぽは性感帯らしい。しかもそこから得られる快感は強烈なようで、猫カイジはいやいやをするように激しくかぶりを振り、気の狂いそうな気持ち良さから逃れようと必死にもがく。
 痛々しさすら感じられるその姿を見下ろしながら、兎カイジは黒いしっぽを性器に見立て、フェラチオするようにくるくると円を描くようにして舐め回す。
 猫カイジが悶えれば悶えるほど、アカギ自身を包み込む恥肉はキツく絡みついてきて、肌が粟立つほどの快感にアカギは低く唸り、猫カイジの腰を乱暴に引き寄せて貪るようにソコを突きまくった。

「ぁアっ! で、でる、でちまうっ、も、イくぅっ……!!」
 激しく揺さぶられて跳ねる声で猫カイジがそう訴えた瞬間、兎カイジは口の中のしっぽをキツくキツく吸い上げる。
 すると猫カイジはヒクリと喉を引きつらせ、声にならない声を上げて二度目の絶頂を迎えた。

「〜〜〜〜ッッ……!!」
 強く体を痙攣させながら、床に向かって色の薄い精液をビュクビュクと放つ猫カイジ。
 絶頂の瞬間、驚くほどの繊細さで絡みついてきた肉襞の齎す快感に、アカギも再奥へと自身を埋め込んだまま、たっぷりと射精する。
 すると熱い迸りを飲み干そうとするかのように、猫カイジの中がさらに締まり、腰の震えるような激しい絶頂感に、アカギは深く眉を寄せる。
 熱いため息を漏らしつつ、ねっとりとしつこく抽送を繰り返し、竿全体で余すことなく、ヒクヒク蠢く媚肉の快感を味わうのだった。




 長く続いた吐精を終えてアカギが腰を引くと、ずるんと男根が抜け出た瞬間、猫カイジはくったりと床に伸びてしまった。
 中出しされたばかりの濃い白濁を尻孔からトロトロと滴らせ、猫カイジは汗だくで目を閉じ、はぁ、はぁ、と息を整えている。

 その様子を兎カイジがじっと見つめていることに気づき、クスリと笑ってアカギは問いかけた。
「これ、あんたが先にイかせたってことになるんじゃない?」
「……」
「ギャンブル、する?」
 オレは構わないけど、とアカギが言い募ると、すこしの間を置いたのち、兎カイジは頭をバリバリと掻きながら、盛大なため息をついた。
「なんか、興が削がれた……」
 ぶっきらぼうに吐き捨てる兎カイジに、アカギは喉を鳴らして笑う。

「ねぇ。さっきの」
「……あ?」
「『お前さえ、いなければ』ってヤツ」
「……」
「あれ、本心?」

 不器用で泣き虫で、生きたがりなもうひとりの自分を、ひどく憎たらしげに睨めつけ、呪うような言葉を吐いていた兎カイジ。
 だが、セックスの最中に見せたほんのわずかな労りや、アカギが猫カイジを一方的に責め苛んでいたときの苛立ったような表情を見るにつけ、この強気で血気盛んな兎が、実はそんなに猫カイジのことを嫌っていないのではないかと、アカギには思えてならなかったのだ。


 アカギの質問に長い耳をピクリと動かすと、兎カイジは仏頂面でフンとそっぽを向いてしまう。
 質問に対する答えはなかったが、その態度がなによりも雄弁に兎カイジの本心を物語っている気がして、アカギは口端をつり上げると、ウサギの耳を持つ意地っ張りな恋人にそっと近づいた。

「まぁ、いいや。それより、ココ……」
 そう囁いて、アカギは兎カイジの股間にするりと手を伸ばす。
 そこにあるモノは、アカギと猫カイジの濃厚なセックスを散々見せつけられたせいで、すっかり硬度を取り戻していた。
「あんたって、ホント、やらしい……」
 くちゅくちゅと指を絡めてあやすようにソコを刺激すると、兎カイジはふるりと体を震わせて小さく声を上げる。
「来なよ。あんたの中にも、いっぱい出してあげる……」
 妖艶な表情でアカギが囁くと、兎カイジは欲情に潤む目でアカギを睨み、その首に腕を回して噛み付くように口付けた。





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