昼下がりの情事(※18禁)・4




「……ん……」
 カイジが浅い眠りから目覚めると、隣でしげるがすうすうと寝息をたてていた。
 どうやら幾度目かの行為を終えたあと、ふたりとも素っ裸のまま眠ってしまったらしい。

 まるで普通の中学生みたいに穏やかなしげるの寝顔を見ながら、カイジはひとり頭を抱える。

 ……やっちまった……
 行為に及ぶ前の初々しい様子から考えるに、しげるは初めてだったに違いない。
 つまり……よりにもよって男である自分が、年端もいかないこの少年の童貞を奪ってしまったのだ。

 しげるへの申し訳なさに、カイジは情けなく泣きベソをかきそうになる。
 しかも一度や二度では済まず、口だけはダメだダメだと言いながら、熱に浮かされた獣のようなしげるに流され、結局はあの体位で繋がったまま、立て続けになんどもなんども交わったのである。
 
 射精しても体の中ですぐに硬さを取り戻すしげるの若さに慄きつつも、快楽に弱いカイジはすぐに順応し、しげるの欲望の飛沫を最後の一滴までキッチリと搾り取った。
 その後は流石にぐったりと疲れ、後処理もそこそこに意識を失ってしまったから、起き抜けの体中の不快感にカイジは顔をしかめる。
 特に、しげるの精液を幾度も飲み込まされた尻孔は、眠ってしまう前に軽く掻き出してティッシュで拭いはしたものの、量が量なだけに完全には始末できておらず、すこし身じろぐだけでヌルヌルとした液体の残滓を体内に感じるほどであった。

 カイジは深くため息をつき、再度しげるを見る。
 あれだけ自分を翻弄しておきながら、しげるはまるで邪気の感じられない寝顔ですやすや眠っている。
 その寝顔を見ていると、なんだか毒気が抜かれてしまうようで怒るに怒れず、カイジは自分の甘さにほとほと嫌気がさしつつも、しげるを起こさないようゆっくりと、痛む腰を庇いながら起き上がってソロソロとベッドから抜け出すのだった。





 キュッと音を立てて水栓を捻り、熱いシャワーを頭から浴びて、カイジはホッと息をついた。
 汗や精液で汚れた体が洗い流されていく心地よさに、思わず目を細める。
 ボディーソープを泡立てて全身を洗い、体の表面が綺麗になったところで、ふたたびボディーソープを右手の指にたっぷりと纏わせる。
 慣れた様子でその手を後ろへ回し、窄まりに指を二本突っ込んだ。

 不自由な体勢に眉を寄せつつ、細かく指を動かして中出しされたモノを掻き出していく。
「ん……、くっ……」
 たかが後処理であっても、指先が内壁を引っ掻くと、体が痺れるような感覚が走る。
 唇を噛んで指を蠢かせながら、カイジはいつしか、さっきまでしげると行っていた性行為のことを回想していた。

 超然としていて、まるでヒトの子供じゃないみたいに感じられるしげるが、慣れない性欲の虜になり、夢中で腰を振ってカイジの体を貪っていた。
 目覚めたばかりの、若く、愚かなくらい真っ直ぐな性欲を一心不乱にぶつけてくるしげるの、理性や余裕など消し飛んでしまったかのような表情や仕草を思い出し、カイジはゾクリとする。

 肉欲に憑かれ、熱に浮かされた獣のようだったあの少年と、ココで幾度も、激しく交わったのだーー

 そう思いながら後ろを弄っていると、体が芯から疼いてたまらなくなってくる。
「あ……ぁっ、ん……ぅ」
 体を捩って甘い声を上げながら、カイジは後処理という目的を完全に放棄し、しげるとのセックスを反芻しながらのアナルオナニーに没頭し始める。
 さっきは掠める程度にしか突いてもらえなかった前立腺を、己の指で思い切り擦ると、腰が砕けそうな快感に、萎えていたカイジのモノもヒクヒクと震えながら勃ち上がる。

 震える足でなんとか立ったまま、ぐちゅぐちゅと激しく指を抜き挿ししていると、しげるの精液が太腿をドロリと伝い、敏感な内股の肌を這い下りていく。
 その感触に目をとろかせ、カイジはひどく物欲しげな顔で喘いだ。

「ふぁ、んっ……しげ、る……」
「カイジさん……」

 いきなり名前を呼ばれ、ガバリと後ろから抱き竦められて、カイジは飛び上がらんばかりに驚く。
「!? し、しげるっ……!」
 いつの間に、浴室へ入ってきたのだろう?
 部屋に入ってきたときと同じく、その気配にまったく気づくことのできなかったカイジは、アナルオナニーを見られていたことへの羞恥に赤くなり、嫌な汗が止まらない。
 だが、後ろからグイと腰を抱き寄せられ、たった今まで指を突き挿れていた窄まりにちゅくちゅくと硬いものを擦り付けられ、驚愕に声を上げた。
「ちょっ……しげるっ……!!」
 慌てて振り返ると、しげるは完全に勃起した陰茎の先端を、カイジの尻孔にぴたりと充てがっていた。
 張り出した亀頭の熱さにカイジはビクッとし、大慌てでしげるを嗜める。
「だ、ダメだって……! もう、これ以上は……ッ」
「……なんで? あんなにたくさんしたんだから、今さら一回や二回増えたって、変わらないでしょ……」
 そんなことを言うしげるの息はすでに上がっていて、空気を通してその興奮がカイジにも伝わってくる。
「それに……、カイジさん、オレの名前呼んでたじゃない……ひとりでココ、弄りながら……」
「あ、っ」
 ずぷっ……と、ほんの先端だけをめり込まされて、カイジはヒクリと喉を引き攣らせる。
「あんなやらしい声で呼ばれたら……オレ……、っ」
「や……! あぁ、んっ……だめ、待て、ったら……あ、んっ……」
 上擦った声とともに、ズズッ……と肉棒を挿入され、カイジは涙目で嬌声を上げる。
 この期に及んでカイジは逃げようともがくが、当然しげるはそれを許さず、指が食い込むくらいにガッチリと後ろから腰を支え、怒張を一気に根本まで突き入れてしまう。
「……この体勢、さっきより、深く入る……」
「ぅあっ……! ふ、あぁっ……!」
 根本から先端までをピッタリと包み込むような肉壁の感覚に、しげるは舌なめずりし、ゆっくりと中の感触を堪能するようにカイジを突き上げ始める。

 しげるの言った通り、尻を突き出す格好となるこの体位は、先ほどまでふたりが交わっていた正常位よりも深く挿入することができ、硬い怒張に奥の方をズンズンと突かれ、強い快感にカイジも背をしならせて喘ぐ。
 足が戦慄いて立っていられず、床に崩折れそうになったところを風呂場の壁に押し付けられ、さらにガツガツと貪るように後ろから犯された。
「奥、熱くて狭くてドロドロしてて、すごく気持ちいいよ ……カイジさんは?」
「ぁんっ、あっ、あぅ、う……っ」
 ぱちゅ、ぱちゅ、と肌のぶつかり合う音が反響して響き渡り、カイジは目の前の壁に縋りつきながら快感に涎を垂らして感じ入る。
「あ、あーー! いい、しげ……っ、きもち、い……」
 さっきまで心悩ませていた罪悪感はどこへやら、ほとんど咽び泣くようにカイジはひたすら快感を訴えながら、ピクピクと揺れて先走りの露を垂れ流す自身の先端を壁に擦り付けている。
「すご……締まる……、もしかしてカイジさん、ココ、好き?」
「ひっ、アーー! あ……あうぅっ、すき、そこ、好き……ッ」
 偶然、見つけた前立腺を、新しいおもちゃでも発見したかのような執拗さで突き回され、カイジはガクガクと壊れそうなくらい頷く。

 しげるはカイジを後ろから激しく穿ちながら、その耳許に獰猛な顔で囁いた。
「ねぇ、カイジさん。これからもオレと、これ、してよ……」
 耳朶をきつく噛んでねだられ、カイジは戸惑いに潤んだ瞳を揺らす。
 後ろを好き勝手嬲られ、気持ち良さに声を途切らせながら、カイジは必死にしげるの申し出を拒否しようとする。
「あっ、あっ、ダメ、ぁあっ……!」
「どうして……? あいつとは、いつもしてるクセに……」
「んぁあっ……! あっ、あぅっ……!!」
 苛立ちをぶつけるように動きが大きくなり、カイジは風呂場の壁に強く爪を立てる。
 完全に掻き出されていなかったしげるの精液が空気を含んでぐちゅぐちゅと白く泡立ち、激しく出入りする男根に纏わりついてテラテラと妖しく光らせている。
「オレだって……、カイジさんといっぱい、気持ちよくなりたい。カイジさんの中に、ぜんぶ出したい……」
 荒い吐息に乗せ、掠れた声でそんな欲望を口にするしげる。
 カイジが思わず振り返ってその表情を窺うと、ベッドの上で散々交わったときの、実直で必死そうな子供らしい表情は完全に形を潜めていて、代わりに本能を剥き出しにした、一頭の雄の獣がそこにいた。
 まだ中学生である少年に、こんな風にいいように犯されているという被虐的な快感が、カイジの脳内でスパークする。
 食らいつくようにぎゅうっとキツくなった締め付けに、しげるは低く呻き、カイジに囁いた。
「ね、また、中に出して、いい? カイジさんの中で、いっぱい、きもちよくなって……いい?」
「あ、あぁっ、はぁ……ッ」
 快楽に瞳を潤ませてのしげるのおねだりに、単純なカイジの胸はギュッと引き絞られる。
 ぎこちなく、こくりと頷いてやると、しげるはカイジの項になんどもキスを落としながら、ひたすらカイジの前立腺を狙って中を突き上げてきた。
「ふぁ、ぁアっ! ソコ、そんなに、したらぁっ……!」
 身も世もなくよがり狂いながら、カイジはしげるのモノを食らい尽くすかのように締め上げる。
「ん、出る……っ」
 目を閉じて眉を寄せ、しげるはカイジの最奥を突くと、そこで思う存分、精を解放した。
「ぁ、は……熱……っ、ん……」
「はぁ、カイジ、さん……」
 とろけるような声で名前を呼ばれながら、ドクドクと欲望を注ぎ込まれ、目眩のするようなその熱さに、カイジの体からはくったりと力が抜ける。
 ひしと抱きしめるようにしてそれを支えながら、快感に頬を染めたしげるが仔猫のようにチロチロと唇を舐めてきたので、カイジは僅かに口を開いてその舌を受け容れてやる。
 卑猥な水音を響かせて唾液を交換し合いながら、ふたりはそうして長い間、脳味噌がふやけてしまうような絶頂感を味わうのだった。




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