sandwich(※18禁)・1 神しげカイ3P ちょっとだけ神しげ要素を含みます



 どうして、こんなことになってしまったのだろう。

「あっ、あ……しげる、赤木さ……っ」
 ベッドの上。素っ裸で仰向けに転がされ脚を開かされ、カイジは情けない鳴き声を上げていた。
 肘をついて上体を僅かに起こせば、ふたりの人間が、自分のイチモツに競い合って舌を這わせるという、AVさながらの光景が広がっているーー
 ただし、AVと大きく違うのはふたりとも男で、その上年齢は違えど同一人物であるという点だ。


 少年と中年。ふたりの赤木しげるの舌技に、カイジはびくびく体を震わせながらも拒否を口にする。
「っく……も、やめ……ッ」
「やめないよ。……売られた喧嘩は、買う主義だからね」
 そう言って、尖らせた舌で幹をなぞりながら、しげるはすぐ側にある赤木の顔を横目で睨む。
 その視線を受け、赤木は愉快そうに目を細めた。
「はは、若ぇな。だけど勢いだけじゃあ、相手を悦ばすことなんてできないぜ?」
 言うやいなや、根本を唇で挟んで扱くと、カイジの口から悲鳴じみた嬌声が漏れる。
「ぅあ! あ、赤木さん……っ!!」
 明らかに今までと違う、敏感な反応に勝ち誇ったような目線を送ってくる赤木に、しげるは憎たらしげに舌打ちし、今度は鈴口を舌でつつく。
「あっ、あっ、しげ、るぅ……」
 啜り泣くような声で名前を呼ばれ、今度はしげるがしてやったりという顔で赤木を見る。
 赤木は余裕の笑みでそれを受け流した。

 どうして、こんなことになってしまったのだろう。
 ふたりの赤木しげるによって否応なく体を昂ぶらされながら、カイジは混乱の中回想する。



 そもそもの原因は、うっかりしていたカイジが、しげるが来る日だということを忘れ、訪ねてきた赤木を部屋に上げてしまったことである。

 久しぶりに会えたことですっかり舞い上がってしまったカイジは、赤木としばらく会話などして、流れでなんとなくいい雰囲気になって、いざキスしようとしたところで部屋の扉がノックされた。
 その乾いた音を聞き、カイジはしげるが今日来ると言っていたことを思い出し、サッと青ざめた。
「放っておけよ」と囁く赤木に心揺さぶられながらも、ここで本当に放っておいたら後できっと恐ろしい目に遭わされると思ったカイジは、つまらなさそうな顔をする赤木に謝ってから、玄関へと向かった。

 扉を開けると、そこに立っていたしげるに、カイジはすぐさま手刀を切った。
「しげる、悪い! 今日はどうしても都合が悪くなっちまって……明日また、来てくれねえか?」
 精一杯すまなそうな顔で謝罪してみせるカイジの顔をじっと見てから、しげるはその足許に視線を落とす。
「ふうん……どうしても、ね……」
 低い声にハッとして、半眼になったしげるの目線を追うと、その先には赤木の革靴が、どんと鎮座していた。
「あっ、いや……こっ、これはその……っ」
 ……しまった!! と、慌てて取り繕おうとするが、当然ながら遅すぎた。
「オレとの約束すっぽかして、ジジイとよろしくやろうとしてたわけ?」
「ちっ、違……」
 違わないでしょ、と突っぱねるように言い、間抜けなカイジの制止を無視してしげるはズカズカと部屋に上がる。
 そして、居間で堂々と胡座をかいて座る赤木を見て、怒りにすっと目を細めた。
「よっ」
 暢気に片手を上げて挨拶する赤木を無視し、しげるは後を追ってきたカイジを睨みつける。
「……いい度胸じゃない、カイジさん」
 まだ中坊とは思えないほどの物凄い迫力に、カイジは蒼白な顔で「ひぃっ」と声を漏らす。
「おいおい。人がせっかく挨拶してるのに、無視すんなよ」
 気の抜けた声で非難する赤木をギロリと睥睨してから、しげるはふたたびカイジに目を向ける。
「……カイジさん。この落とし前、どうつける気?」
 ずいと迫られ、カイジは冷や汗をたらりと垂らす。
 落とし前って……たかがこんなことくらいで大袈裟な、とカイジは思った。
 が、口に出せば火に油を注ぐこと間違いなしなので、黙っていた。のだが。
「落とし前って……こんなことぐらいで大袈裟な。ヤーさんかお前は」
(ひぃぃ、赤木さんっ……!!)
 しれっとした顔で、横から火に油をどぼどぼと注いでくれた赤木に、カイジは内心悲鳴を上げる。
 案の定、しげるの怒りオーラが、一瞬にしてさらに真っ赤に燃え上がる。
 ゆらりと一歩カイジに近づくと、赤木の方を見もせずに、しげるはドスの利いた声で命令する。
「……あのうるせえジジイ締め出せよ。言い訳なら、それからゆっくり聞いてやる」
 普段のしげるとは明らかに違う、高圧的な物言いに、カイジは不覚にも泣きそうになった。
「あーあー……お前、カイジ泣かすなよ。それと『うるせえジジイ』はねえだろ……一応、未来のお前なんだからよ」
 飄々とした様子で、外野から赤木が口を出す。
 おそらく、フォローしてくれているつもりなのだろう。
 だけど残念ながら、完全に逆効果な気がする……っていうか赤木さん、頼むからもうこれ以上、喋らないで下さい……
 カイジはしげるの顔を見られず、深くうつむいてしまう。どんな顔をしているかなんて、見なくてもわかるからだ。
 ピリピリと張りつめた空気をまったく気にする様子もなく、赤木は「あ……そうだ」と膝を打った。

「せっかくだから、三人でしねえか? マンネリ解消にもなるし、一石二鳥だぜ?」

 ……なにが『せっかくだから』なのか。
 そんなカオスな提案を、どうしてしゃあしゃあと『一石二鳥』なんて言い切れるのか。

 我ながら妙案を思いついた、と言わんばかりのドヤ顔をする赤木に、しげるは額に青筋を立て、カイジは泣き笑いのような妙ちきりんな顔で、それぞれ視線を赤木の方へ向けたのだった。



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