ボール遊び(※18禁)・6



 しげるはバイブのスイッチを切り、カイジの腕を取ると、狭い路地にその体を押し込める。
「しげ、ん、んっ……」
 冷え切った煉瓦の壁に体を押しつけられ、名前を呼ぶ暇もなく性急に唇を奪われ、カイジは微かに身じろぎする。
 存分に絡め合ってから唇を離し、性感にとろんと潤んだカイジの瞳を見つめたあと、しげるはその体を返して壁に手を突かせ、カイジのジーンズに手をかける。
「っ、は、ちょっ……まさか、ここでっ……?」
 慌てた様子でカイジはしげるを振り返るが、しげるはその手を止めようとはしない。
「オレもそろそろ、限界だったんだ。あんたのせいで、歩きづらくって仕方なかった……」
 そう耳に吹き込まれる言葉の興奮した響きにも、カイジはゾクゾクと背筋を震わせる。

 下履きとジーンズをまとめて下ろされ、カチャカチャとベルトの金属音がしたあと、硬くて熱いモノが尻の窄まりに宛がわれた。
 その生々しい感触にカイジははっとして、焦ったような声を上げる。
「あっ、しげ……ちょっ、待っ……」
 しかし、カイジへの情動に突き動かされているしげるは、制止の声も耳に入らない。
 硬く反り返った陰茎の先端を孔にあわせると、無言のまま、一気に押し込んだ。
「あーっ! ぅあ、あああっ……!!」
 待ち望んだ快感に、カイジは仰け反って歓喜の声を上げる。
 カイジの中は狭くてキツく、しげるはカイジの腰を強く掴んで突き上げていたが、ふと自身の先端になにかが当たるのを感じて、動きを止めた。
「あ……そういえば、先客がいたんだっけ……」
 たった今その存在を思い出したかのように、しげるはそう呟く。
 動きを止めたバイブを、先端でつんつんとつつくようにすると、カイジは泣きベソをかきながらしげるを見る。
「い、やだ……それ、ふかい……、んっ、とれなく、なっちまう……」
 ぐずぐずと情けない泣き顔になぜか情欲を煽られ、しげるは獰猛な顔でぺろりと唇を舐めた。
「べつに、いいんじゃない……? あんた、まんざらでもなさそうだったじゃない……」
 さらにぐっと奥まで押し込むと、言葉責めに感じたのか尻孔がきゅんきゅん締まる。
「っ、いや、だっ……! しげ、これ、抜けよっ……!」
 それでも、赤く染まった目許を吊り上げてオモチャを抜けと主張するカイジの耳朶を食みながら、しげるは囁く。
「なんで……? きもちよくない?」
 カイジはひくりと喉を引き攣らせ、怒ったように叫んだ。
「よく、ねぇっ……! じゃま、だろっ……! お前の、もっと、奥に、ほしいのにっ……!」
 駄々をこねる子供みたいに、泣き顔を晒して喚くカイジに、しげるはぴくりと眉を上げ、それから苦笑した。

 体だけ素直で心はそうじゃないカイジは、陥落するまでが長い。
 だが、一度こうして深い快楽に落ちてしまえば、頑なだった心も水飴のようにぐにゃぐにゃになり、自分の欲望に忠実にしげるを求めてくる。

 しげるはカイジのこの変化を見るのが好きだったが、同時に、嵌まったら抜け出せないほどの深い沼に足を取られているような、危うい気分になるのだ。

「っあぁ……!!」
 深くまで押し込んだボールをようやく抜き取られ、カイジは広い肩をぶるりと震わせる。
 休む間もなく、ヒクヒクと痙攣する孔にふたたび先端を宛がわれ、カイジは期待に目を潤ませてしげるを振り返った。
「あっ……んっ、しげ……るっ、」
 ずぷずぷと沈み込んでくる肉棒の熱さに、カイジはきつく目を閉じる。
「はぁ……カイジさん、っ」
 悦びにうち震え、痛いほど締めつけてくるぬめった粘膜を味わいながら、しげるはカイジを突き続ける。
 ぬちゅっ……ぬちゅっ……、という淫靡な音と、互いの息遣い。
 ここが屋外だということも忘れ去るくらい、濃厚に交わってお互いを求め合う。
「んっ……奥……、きもち……もっと、」
「ん、こう……?」
 しげるが根元までぴったりと収めたまま、カイジの臀部に密着した腰をグラインドさせると、カイジは舌を突き出して犬のように悦ぶ。
「あっ! あッ、そ、そう、そこ、もっと……っ」
「クク……カイジさんの淫乱っ……!」
 生き物のように蠕動し、収縮する中に息を乱しながら、しげるは意地の悪い顔で言う。
 だが、それを聞いたカイジはなぜか笑っていて、その表情を見たしげるは思わず動くのを止めた。
「なに……? 淫乱なんて言われて、悦んでるの?」
 始末に負えないね、と呆れるしげるに、カイジは首を横に振り、
「おま、え……が、すげ、きもち、よさそ……だから、う、うれしく、て……」
 途切れ途切れにそう言って、涙でぐちゃぐちゃになった顔でへにゃりと笑った。
 それを聞いたしげるは、すぐに激しく律動を再開させる。
「あっ、ふあっ、ぁっ……!」
「あんまり……そういうこと言わないで。すぐ、イっちゃいそう……」
 カイジの首筋に顔を埋め、拗ねたみたいに呟かれた言葉はずいぶん余裕がなさそうだった。
 カイジはすこしの微笑ましさを感じ、腰を支えるしげるの手に自分の手を重ねる。
「いっ、いい、からっ……! イって、くれっ、しげる、っ……!!」
 懇願するような声を聞き、しげるはカイジの手を上から強く握り込むと、神経の焼き切れそうな絶頂感の中、その首筋に強く歯を立てて噛みついた。






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