初夜・8(※18禁)




 結局流されるまま2回目をしてしまい、自分でやると言い張るカイジを押さえ付けて中に出したものを処理したあと、しげるは糸がふつりと切れたようにカイジの体の上で眠ってしまった。
 すやすやと眠るしげるの寝顔を見ながら、カイジは今更襲ってきた恥ずかしさに苦しんでいた。

 子どもだと思っていたしげるに、ああまで翻弄されてしまうとは。
 男との経験などないカイジだが、初めてでああも乱されてしまったことに自分でも驚いている。
 もしかして、自分の思っている以上にしげるは経験豊富なのだろうか?
 しかし、しげるの熱に浮かされたような表情や必死な声を思い出して、カイジはその考えを打ち消した。
 しげるはしげるで余裕がなさそうだったし、きっとたまたまだ。

 それにしても。
 している最中は必死だったが、終わってみるといろいろ、とんでもないことを沢山したし、されたし、言われたし、口走った気がする。

 カイジは羞恥に煩悶しながらしげるを見る。
 その寝顔は健やかであどけなく、さっきまでガツガツと自分の体を貪っていた人間とはまるで別人のようだ。
 最中に見たしげるの嬉しそうな表情を思い出し、カイジはふっと力を抜いて微笑んだ。

 正直もう二度と、一生思い出したくないほど恥ずかしい思いをさせられたけれど。

「ま……いいか。これはこれで」

 呟いて、癖のないしげるの髪を柔らかく撫でてやる。
 しげるの体のあたたかさに、瞼が重くなってきた。体の上にしげるの体を乗せたまま、カイジも目を閉じ、やがてうとうとと微睡みはじめた。
 


 カイジが寝息をたて始めたころ、しげるはすっと目を開けた。
 顔を上げ、カイジの寝顔をじっと見る。
(カイジさん……あんた、甘すぎ)
 正直、こんなにうまくいくとは思っていなかった。
 多少の抵抗は覚悟していたのに、しげるが猫を被っていたことに気づかないまま、最後まで体を許してしまうなんて。
「あんた、本当にバカだね」
 呟いた声は、思いの外やわらかく響いた。

 釣った魚に餌など要らぬ。
 しげるはそういう主義だったし、体を繋げてしまえばこっちのものだと思っていた。

 だけど、しげるの体を労って受け入れる側に甘んじたことや、肩に布団をかけてくれたこと、そっと頬に触れてきた掌や、髪を撫でる手を思い出すと、心臓のあたりがじわりと熱く湿るような心地がする。
 これで夜の方の主導権は握ったも同然だし、もっと好き勝手してやろうと企んでいたのに、お人好しのカイジにどうにも邪気を削がれてしまった。

 (惚れた弱味、か)

 胸中で呟くと、それは思った以上にぞっとしない響きで、しげるは睨むようにカイジを見る。

「ま……いいか。これはこれで」

 じっくり時間をかけ、カイジの体を優しく優しく暴いてやって、しげるなしでは生きられないほど快楽の虜にしてやるのも悪くない。
 カイジに教えてやりたいことや、してやりたいことは山ほどある。
 なにせ、二人はまだ始まったばかりなのだ。
「覚悟してなよ……カイジさん」
 暢気な寝顔にそう囁き、しげるはカイジの胸に頬を擦り寄せて目を閉じた。






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