初夜・3(※18禁)


 了承を得たしげるはカイジの唇に啄むようなくちづけをいくつも落とし、徐々にそれを深いものへと変えていく。
「しげ……んッ、」
 舌先を軽く唇に触れさせ、うすく開いた隙間から舌を差し込む。
 ゆっくりと探るように口内を舐めあげ、舌先をやさしく吸うと、されるがままだった舌が遠慮がちに絡んでくる。
 しげるはカイジに悟られぬよう口角を上げた。

 布団のなかで、しげるの脚とカイジの脚が触れあう。
 まだ細っこいその脚の、寝間着の布越しからでもわかる氷のような冷たさに驚き、カイジの脚がぴくんと揺れる。
 その拍子にゆるく曲がった膝が、今度はしげるの脚の間の、熱い塊に触れた。
「あっ、」
 カイジは短く声をあげ、慌てて脚を引く。
「……わ……悪い、」
 しげるはうっすら笑い、カイジの太腿に固くなったそれを押し付けた。
「っ……」
 カイジは顔を真っ赤にして、ひどく落ち着かない様子で視線をさまよわせる。

(たったこれだけのことでその反応……カイジさんに『上』なんて無理だよ)

 しげるはカイジの手を握り、そこへ誘導する。
「触って」
 しげるが促すと、カイジはそろそろと指で服の上からそれを撫で始める。
「ん……」
 ぎこちない手の動きにも、しげるは切なそうな吐息を漏らす。

 しげるはカイジのスウェットに手を忍ばせ、下着の中の、柔らかいそれを直に握った。
「あ……っ」
 ぴくんとしげるの手の中で肉塊が反応する。
 掌に力を込めて上下に扱くと、カイジの口から控えめな喘ぎが漏れ始める。
「あ……、はっ、ん、しげ……る」
 初めて聞くカイジの婀娜っぽい声に、しげるはどうしようもなく情欲をそそられる。

「ほら……カイジさんも直接触って?」
 耳朶を噛みながら囁くと、カイジは困ったように眉を下げつつも、手をしげるの寝間着の中に侵入させてきた。
 緊張に湿った大きな掌に包まれ、しげるの背筋にゾクリと震えが走る。
 未だ照れから抜け出せないらしく、カイジの手淫はたどたどしくてお世辞にもうまいとは言えない。
 だが、カイジに触られているという事実だけで、しげるは自分でも驚くほど高ぶった。
 衝動のままに手の動きを速めれば、ひときわ大きくなる嬌声が耳からもしげるの性感を高める。

「ん……、いいよ、カイジさん……」
「ふ、ぅ……あっ、はぁ……」
 互いの手の中でドクドクと脈打ち始め、いよいよ限界が近くなったところで、しげるはすっと手を離した。
「……?」
 のぼりつめかけたところで突然放り出され、カイジは涙をいっぱいに貯めた目でしげるを見上げる。
 しげるは体を起こし、寝間着を脱いで床に放る。
「服、邪魔。カイジさんも脱いで」
「あ、ああ……」
 カイジも体を起こしてスウェットを脱ぐ。
 上をすべて脱ぐと、部屋の寒さに体が震え、鳥肌が立つ。
 下履きに手をかけたところで、脱ぐのを躊躇してしまい、カイジはしげるをチラリと伺う。
 男同士だし、着替えのときなんかに互いの裸など見慣れているのに、いざこういう段になると妙に気恥ずかしい。
 だが、しげるがなんの迷いもなく下履きに手をかけ、脱ぎ去っているのを見て、意を決して下履きを下ろした。


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