ナイトプール(※18禁)・7


「ちょっ……なんで、お前まで……っ」
 シャワールームの個室でようやく一息つけると安堵したのも束の間。狭い部屋になぜかアカギまで押し入るように入ってきたため、カイジは目を白黒させた。
「後処理、あんたひとりじゃ満足にできないでしょ」
「自分で……できるって……」
「そんな状態でなに言ってるの」
 壁に縋りつき、立っているのもやっとの状態であるカイジを一蹴し、アカギはさっさと個室のカーテンを閉じてしまう。
 目をつりあげて口を開きかけたカイジを遮るように、アカギがシャワーのコックを捻る。
 熱めの湯が、ふたりの頭上に降り注ぐ。
 冷えた体に熱いシャワーがじんわりと沁みるように心地よく、言おうとしていたアカギへの罵詈雑言まで洗い流されていくようで、カイジは体を弛緩させた。
「カイジさん、ケツこっち向けて」
 しゃあしゃあとそんなことを命じるアカギを、カイジは胡乱げに見つめる。
「お前……変なことすんなよな……」
「変なことって、たとえばどんな?」
 茶化すような切り返しに、カイジはギロリとアカギを睨みつける。
 腹が立つことこの上ないが、悲しいかな、今はアカギの言うとおり、誰かの手を借りないと後処理なんて到底できそうにない。
「変なことしやがったら、殴る……」
 脅すように吐き捨てて、カイジは壁に手をついた。
「はいはい……じゃあ、挿れるよ……」
 つぷ……と静かにアカギの指が入ってきて、カイジは全身を緊張させる。
 アカギの下心を疑ったカイジだったが、予想に反してその指はきちんと後処理を行っていた。
 長い指で掻き出された精液が腿を伝う感触に鳥肌をたてながら、生理的嫌悪感やら屈辱やら羞恥やらをカイジが必死に耐えていると、突然、静かなシャワールームに女の声が響き渡った。
「あっ、あっ、ダメぇっ……」
 カイジは飛び上がらんばかりに驚き、目を見開く。
 声の出どころは、べつの個室のようだった。
 ズラリと並んだシャワールームの個室のどこかで、誰かがセックスしているのだ。
 どこへ行ってもセックスセックス……なんなんだこの状況はっ……!
 カーッと赤くなりつつも、男の本能はどうしても聴覚に集中してしまう。
「あっ、やぁ……ん、そこ、やだぁっ……」
 ぜんぜんダメじゃなさそうな声で拒絶を示す女の声に、「嘘つけ……ココがイイんだろ……?」などと陳腐な男の台詞が被さる。
 パンパンと激しくなにかがぶつかり合うような音も聞こえてきて、カイジはごくりと生唾を飲んだ。
 あんなに他人のセックスを見せつけられ、自身も恋人と二度も交わったというのに、シチュエーションが変わるだけでいとも容易く興奮してしまうのが、男の悲しい性である。
『姿が見えない』ということが、カイジの興奮に拍車をかけ、響き渡る嬌声と卑猥な音で、いったいどんなプレイをしているのかと、妄想が膨らんでいく。
 むろん、アカギには悟られぬよう、細心の注意を払いつつ、カイジはひとり悶々としていた……つもりだった。
 だが、ふいに背後からくつくつと笑い声が聞こえてきて、カイジは反射的に振り返る。
 すると、アカギは可笑しくてたまらないといった風に、顎をあげて言い放った。
「あんた、こういうのが好みなんだ」
「!?」
 いきなり図星を指され、反駁の声も出ないカイジ。
「オレのこと、よく変態だって言うけどさ。あんたも、大概だね」
 嘲るような言葉にすかさず噛みつこうとしたカイジだったが、ずるりと後ろから指を引き抜かれ、思わず息をのんだ。
 代わりに、後ろに当てがわれた熱い感触。
 その正体を嫌というほど知っているカイジは、サーッと青ざめた。
「あっアホっ……! やめっ、ア、あーー!!」
 制止の声むなしく、グズグズに解れた後孔に、逞しい男根が三たび挿入される。
「んっ、くっ……こ、の、アホっ……! ぅあっ、抜けっ、抜け、よっ……!!」
 いやらしい抽送に翻弄されつつも、カイジは必死で噛みつく。

 プールの中では聞こえなかった、ぐちゅっ……ぐちゅっ……という粘着質な音が、ふたりの耳に届く。
 それは二度も中出しされたアカギの精液が泡立つ音で、カイジの中に出し挿れするたび、己の陰茎に白く絡みついてくるその淫らな光景に、アカギは目を細めた。

 竿肌の長いストロークを十分に活かしながら、奥まで穿てば、豊満な尻が水滴を飛び散らせながら瑞々しく揺れる。
 その先、まっすぐな腰と背中のラインは、自堕落な生活を送っている割に引き締まってはいるが、もちろん、外見から見て取れるほどの脂肪もうっすらと乗っている。
 思わず触りたくなるような、絶妙に程良いバランスを持つその体が、生々しく水に濡れながら男根に嬲られているその姿は、視覚からもアカギを存分に昂らせる。

 たわわな尻肉を鷲掴みにすると、しっとりと濡れた肌が手のひらに吸いついてくるようだ。捏ねるように揉みしだき、もっちりとした極上の触感を愉しみながら、アカギはねちっこい腰使いでカイジを犯す。
「あっ、んっ! クソっ……抜けっ、抜けったらぁっ……!!」
 とろけた中を容赦なく蹂躙され、カイジは半ベソで喘ぎつつも、吠えるのをやめない。
 男である自分の浅ましい声が、静かなシャワールームに響き渡るのがいたたまれないのだろう。
 キャンキャンと仔犬のように喚くカイジに、アカギ低く舌打ちする。
「うるせぇな。そんなに抜いてほしいなら……」
 そう言ってアカギはするりと前に手を伸ばし、カイジの陰茎を握りこむ。
「お望みどおり『抜いて』やるよ」
「あっ、くっ! んぁぁっ……!!」
 震えながらゆるゆると勃ちあがっていたカイジのものを、アカギは容赦なく扱きたてる。
「あっ、アホっ、抜くって……、そういう、意味じゃ……ぁふぅっ!」
 生真面目なカイジの指摘に笑い、カイジ自身への手淫を速めながら、アカギは白い蜜に満たされた肉壺をぐちゅぐちゅと突く。
「は……、すげ……きもちい……」
 ヌルヌルに潤ったカイジの中は、よく滑るくせに締めつけはキツいままで、一度味わうと病みつきになりそうなハメ心地だ。
 カイジの陰茎を刺激すると、より強く絡みついてきて、ずっとこうしていたいと思うくらい、アカギに強い快感を与えてくれる。

 アカギは荒い息をつきながら、カイジに囁きかける。
「イキそう……中に出していい?」
 熱い息を耳に吹きかけると、カイジは裏切られたような悲壮な顔をする。
「だっ、だめ……だって……っ」
「……どうして?」
「あっ、あっ……!!」
 ぐちゃぐちゃに濡れそぼった陰茎を強く扱くと、白濁した先走りをピュッ、ピュッ、と噴射しながら、カイジはよがる。
「あっ、うぅ……っ、後処理、したのにっ……」
「そんなの、またいくらでもしてやるよ。だから、カイジさん……」
 アカギは甘くねだりながら、カイジの耳を噛む。
「中に出すと……、あんたの中、嬉しそうにうねって、きもちいいから……」
「……ッ……」
 自分でも気づかなかったような恥ずかしいことを言われ、カイジは茹で蛸のように真っ赤になる。
「イッたあとも、もっと飲ませろって、吸いついてくるし……、ほら、今だって、『早く出せ』って急かして……」
「っわかったっ……!! わかったからっ、もうやめろっ……!!」
 羞恥に耐えかね、カイジは大声でアカギの言葉を遮る。
 してやったりといった表情でアカギはニヤリと笑い、カイジの頬に口づけた。
「あっ、あぅ……、も、でる……でちまうっ……」
 精液の上ってくる快感にゾクゾクと背を震わせながら、カイジは譫言のように呟く。
 アカギは抽送を速め、パンパンと乾いた音をたてて腰を打ちつけながら、カイジの鈴口を指先でぐりぐりと押しつぶすように刺激した。
「ぅあっ! あっ、あっ、あっ……!!」
 それが引き金になったかのように、カイジは色の薄い精液をシャワールームの壁にぶちまけた。
「あ、いく……っ」
 キツく収縮する中に逆らわず、アカギもカイジの中に三度目の精を吐き出す。
 最高にきもちいい肉穴をゆるゆると突きながら、思う存分搾り取られる快感に、アカギは深く息をついた。


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