ナイトプール(※18禁)・4


「んっ、んっ……」
 あれだけ周囲の目を気にしていたのが嘘のように、カイジは乱れていた。
 アカギとカイジのすぐ側では、全裸の女がバックでガツガツと犯されながら甘い声をあげているというのに、それすら目にも耳にも入らないようだ。
 アカギの指がいいところを掠めるたび、カイジは面白いほど敏感に体を引き攣らせ、その度にプールの水がちゃぷんと跳ねる。
 飽かずにずっとその反応を眺め続けていたアカギだったが、やがてカイジの呼吸が切迫してくると、ずるりと指を引き抜いた。
「んっ、く……」
「カイジさん、後ろ向いて」
 耳を甘く噛みながら囁くと、カイジは怯えたようにビクッとする。
 ひどく困ったように眉を下げ、涙の膜の張った目でなにかを訴えようとしてくるカイジを、アカギは無言であしらう。
 すると、カイジは弱った犬みたいな呻き声をあげながら、のろのろとアカギに背を向けた。

 プールの壁に手をつき、アカギに尻を突き出す格好になったカイジ。
 羞恥のためかその体は小刻みに震えており、俯いたまま頑なにアカギを振り返ろうとはしない。

 その様子に嗜虐心を刺激され、アカギは水の中で硬くなった自身を取り出すと、カイジの腰を掴んだ。
 黒い水着の上から、怒張を尻の割れ目に押しつけると、カイジの背がピクリと反応する。
「あ、アカ、ギ……っ」
 困惑したような声を無視し、先端を尻穴にめり込ませる。
 水着ごしなので、もちろんほんの少ししか入らない。
 そのまま、水着の上からピストンを続けていると、カイジの息が荒くなってくる。
「アカギ……っ」
 もどかしげに名を呼んで、ついにカイジは振り返った。
 真っ赤に上気した頬に、うっすらと誘うように開いた唇。
 濡れた黒い前髪から覗く、物欲しげに潤んだ瞳。
 ほとんど堕ちかかっているその表情にクスリと笑い、アカギはカイジにとどめを刺す。
「ほら……してほしいことがあるなら、言ってみな……」
 ほんの先っぽだけの抽送は止めぬまま、アカギが低く囁けば、黒い瞳をいっそう潤ませながらも、カイジは戦慄く唇で言葉を紡ぐ。
「お前の……挿れてほしい……っ」
「オレのなにを、どこに挿れてほしいの?」
「ッ……」
 眦を赤く染め、責めるようにアカギを睨むカイジ。
 だが、アカギはそんなものどこ吹く風といった調子で、
「ほら……早く……」
 焦らすように腰を押しつけながらカイジを促す。
 羞恥に気が遠くなりつつも、快楽に弱いカイジはもどかしさに耐えきれず、結局はアカギの望む言葉を口にしてしまう。
「お前の、ちんぽ……、オレの、ケツに、挿れてほしい……」
「そう。挿れるだけでいいの?」
「うぅ……っ」
 容赦なく男の矜持を踏み躙ろうとする残酷さに泣きそうになりながら、カイジは震える声に自らのふしだらな欲望を乗せる。
「お前の、ちんぽで……っ、オレのケツん中めちゃくちゃに突いて、き、きもちよくして……くれ……っ」
 言い切った瞬間に頬を伝った涙は、きっと悔し涙なのだろう。
 肉体の快楽の前に陥落してしまった憐れな恋人の姿に、アカギは薄い唇を舐める。
 その獰猛な表情は、まるで獲物を喰らおうと舌舐めずりする悪魔のようだった。


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