夏の昼の夢(※18禁)・3



 午後五時のチャイムが、暮れかかるオレンジ色の空に響き渡る。
 真昼の暑さはだいぶ和らぎ、喧しかったアブラゼミの声に代わり、儚げなひぐらしの声が聞こえてくる。
 その頃になっても、まだしげるとカイジは汗だくの体で交尾を続けていた。

 あまりの暑さに服をすべて脱ぎ捨て、ふたりは長時間、前から後ろから、立ったり座ったり寝転んだり、ありとあらゆる体位で睦み合っていた。
 氷が溶けてぬるくなった麦茶を口移しで飲ませ合ったり、数分の休憩を幾度か挟んではいたが、およそ五時間もの間、ぶっ続けで生セックスに耽り続けている。
 ふたりの体液と汗で、フローリングの床はドロドロに汚れ、窓を開け放っているというのに、むわりと雄臭い匂いが鼻を突くほどだった。

 正常位で密着した腰を振りながら、しげるはカイジの乳首を吸う。
 ほんのり塩辛い汗の味が、しげるの舌を刺す。
 敏感な胸への刺激に仰け反りながら、喘ぎすぎて枯れた声で、カイジはしげるに訴えた。
「あっ、ぁ、も……もぅ、やめ……ッ」
「っ、本気で、やめてほしいならさ……、ちょっとはココ、緩めてくれない……? このままじゃ、気持ちよすぎて……止められない……っ」
「あ、あ、あぁ……ッ!」
 じゅぷじゅぷと滴るような水音をたて、しげるが激しくピストンすると、カイジは恍惚の涙を零し、しげるの体に縋り付く。
 ゴムを着けるという約束を裏切られ、めそめそと泣いていたのが嘘のような、淫猥な姿態だった。

 もう幾度も生の陰茎で凌辱し、たっぷりと熱い子種汁を注いできたというのに、カイジの中は飽くことなくしげるを求め、熱い肉壁を絡みつかせてくる。
「んっ……、カイジさんのスケベ……、オレの、ずっと硬いままなんだけど……っ」
「あっ、う、うぅ……っ」
「責任とって、ぜんぶ飲んでよね……、っく、また出る……っ」
 ぐちゅぐちゅと肉棒で雄膣を擦り上げながら、しげるはカイジの乳首に歯を立てる。
「い……ッ!! ひっ、あぁあ……ッ!!」
「んっ、は……っ、」
 その痛みすら快感にすり替えて、乳首への刺激でカイジは絶頂した。
 もはやカイジの陰茎は吐き出すものを失い、鈴口を哀れにパクパクと開閉させている。
 それでいて、後ろはすこしも緩むことなく、むしろ中出しされるごとに精液の味を覚え、どんどん破廉恥にしげる自身を求めて生き物のように収縮している。

 その貪欲さに答えるように、しげるは奥を穿ちながら、存分に精を吐き出す。
 すでに幾度も射精しているのに、ドロリとした濃さを保つ中学生の若い子種を、淫乱な体は歓喜に打ち震えながら飲み干していく。
 ゴクゴクと音すら聞こえてきそうな猥雑さに、しげるは小さく呻いた。

 抱き合ったまま、ふたりは束の間、呼吸を整える。
 過ぎた快楽に涙と鼻水と涎を垂らし、ぼんやりと放心しているカイジの姿を見て、また芯を持ち始めた陰茎をしげるがゆっくりと抽送し始めた、そのとき。

 乾いたノックの音が、ふたりの耳に届いた。
 たっぷり間を開けて三回。特徴的なノックの仕方に、カイジの顔がサッと青ざめる。

 あたかも一瞬で夢から醒めたかのようなカイジの慌てように、しげるはひどくつまらない気分になった。
「ーーカイジさん、」
「……えっ? っあッ!? ぁ、ふあぁっ……!!」
 予告なく肉壺をズンズンと穿つと、不意を突かれたカイジは悲鳴のような声をあげて身をよじらせる。
「あっ、あッ、だ、ダメっ……、しげ、離し、あっ、ぁんっ……」
 カイジは弱々しく拒絶を示しながらも、リズミカルな律動に合わせて自ら腰を振っている。
 もう何度目かわからない生セックスに溺れようとするふたりに水を差すかのように、ふたたび聞こえてくるノックの音。
 やや荒々しくなったその音のする方を睨み、しげるはカイジに囁く。
「ねぇ、カイジさん。このまま……、繋がったまま出ようか……?」
「っ、えっ……?」
 言われたことの意味が理解できず、キョトンとするカイジ。
 しげるはビクビクと震える陰茎を引き抜くと、その手を引いて立ち上がった。

 栓を失ったカイジの窄まりから、しげるの放った粘液がぽたぽたと滴り落ち、玄関までの白い道しるべができる。
 素っ裸のままドアに向かって立たせると、カイジの顔から血の気が引いた。
「な、なにをーー、やめ……しげ……ッ」
 外に漏れないよう抑えた声で、必死に止めさせようとするカイジ。
 だが、しげるは藻掻く体を後ろから抱き竦めると、ちゅくちゅくと亀頭でカイジの窄まりを擦り上げた。
「声、我慢してね……」
「!! くっ……、ふぅ……っ」
 ズッ……と一息に根本まで挿入すると、カイジはたちまち表情を甘くとろけさせながらも、唇を噛んでどうにか声を耐えていた。
 その健気な様子を眺めながら、しげるはねっとりと腰を使って肉穴を犯す。
「……っ、ん……、ん……ッぁ……」
 咄嗟に自分の指を噛みしめ、快感を堪えようとするカイジ。
 しかし、じゅぷっ……じゅぷっ……という異常なほど大きな水音は掻き消しようがなく、確実に扉の向こうまで届いているようだった。
 ドン! とさらに強くなるノックの音を嘲るようにしげるは笑い、カイジの両手首を無理やり掴んで前立腺を突く。
「ぁあぁっ……!!」
 いちばん気持ちいいところをズクンと突かれ、カイジはついに声を漏らしてしまう。
「あっ、んっ、そ、そこ、だめ……、あっ、あっ……!」
 一度声を出してしまえばもう止めようはなく、カイジは甘い声を狭い玄関いっぱいに響かせながら、中学生の陰茎に凌辱される快感に溺れていく。
「し、しげ……、だめ、ダメっ、あッ、んぅ……ッ」
 涙目で振り返るカイジの憐れな体を、バックでガンガン突きながら、しげるは口端をつりあげる。

 あられもないカイジの声に重なるように、ドン! ドン! と激しい音を立てるドア。
 ドアの向こうにいる男は、この部屋の合鍵を持っているはずなのだが、しげるへの憤りと威嚇を込め、ドアを蹴破ろうとしているらしい。
 もうあと数分もすれば、古ぼけたこのドアは、いとも簡単に開かれてしまうだろう。

 それを感じ取ったのか、カイジの中が恐慌にぐねぐねとうねった。
 まるで自身を犯されているかのような快感に熱いため息を漏らし、くつくつと喉を鳴らしてしげるはドアを見遣る。

 嫉妬に狂った相手が自分を殺そうとしてくるかもしれないが、構いやしない。上等だ。
 どちらがこの犬の飼い主として相応しいかってこと、思い知らせてやる。

 まるで悪魔のような凶悪な顔で笑い、しげるはカイジとより深く繋がるため、その腕を強く引き寄せたのだった。






 


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