夕間暮れの秘め事(※18禁)・3


 ギシギシと、ベッドが軋む音が鳴り続けている。
 その音に重なるように、獣じみたふたつの呼吸音が部屋の空気を揺るがせていた。
「ん……、カイジさん……、」
 ベッドの上に仰向けになったしげるが、熱っぽくカイジの名を呼ぶ。
 その声に応えるように、カイジは汗びっしょりになりながら、しげるの上で腰を揺すっていた。

 剥き出しのカイジの尻の下には、勃起したしげる自身が、覆い隠すものなく直に当たっている。
 その状態で腰を動かし、尻の割れ目でしげるのモノを扱く。
 いわゆる、『素股』である。
 
 これが、しげるの提示したセックスの代替案≠セった。
 突拍子もない要求に戸惑いながらも、結局カイジはしげるを拒みきれず、自ら風俗嬢まがいの奉仕をしげるに施している。
「っ、大丈夫……か? しげる……」
 息を弾ませて腰を前後させながら、カイジはしげるの顔を覗き込む。
「う、ん……気持ちいいよ、カイジさん……」
 微かに上擦ったテノールに、カイジは胸をドキドキさせていた。

 最初は、乾いた皮膚同士が擦れ合う摩擦が大きくて、ピリピリと引き攣れるような痛みを感じるほどだったが、カイジがぎこちなく尻での愛撫を続けるうち、しげるのモノは先走りの汁で濡れそぼってゆき、それを潤滑剤にして徐々にカイジもスムーズに動けるようになっていた。

 熱く濡れた感触が、尻に直に伝わってくる。
 腰を動かすたび、しげるの陰茎が怖いくらいにどんどん硬さを増していくのが感じられて、カイジは思考に霞がかかってまともな判断ができなくなりつつある。
 ふたりの肌の間から鳴る粘着質な音が、ますますカイジを興奮させていくのだった。

 普段は何事にも動じないしげるの、なにかを耐えるような切なげな表情に愛おしさが募り、もっと、もっと気持ちよくしてやりたいと、カイジの動きが大胆に、激しくなってくる。
 しっとりと汗に濡れたワイシャツが体に張りつき、肌の色が透けて見えるほど必死になって腰を振って、カイジがしげるを慰めていると、やがてしげるが細い眉を寄せてちいさく声を漏らした。
「あ……いい……」
「……っ、」
 ほんの微かに頬を染め、薄い唇から吐息を零すしげるに、カイジは目眩がするほどの興奮を覚える。
 ーーこのまま、しげるをイかせたい。
 その欲求に抗えぬまま、ひたすら淫らに腰を振るカイジ。
 その痴態をじっくりと見上げながら、しげるは前にそっと手を伸ばす。

「あっ、ぅ!」
 突如、ビリビリと電流が体を突き抜けていくような快感が襲ってきて、カイジは悲鳴のような声をあげた。
 目線を下ろすと、ワイシャツの裾を持ち上げるようにしてテントを張っているカイジ自身に、しげるの指が触れていた。
「……たってる……」
 確認するようにそう呟いて、しげるは手を動かし始める。
「あっ……! そ、ソコはダメっ……あっ、ぁ……」
「どうして、駄目なの……?」
 ワイシャツの裾から見え隠れする手にくちゅくちゅと扱かれ、カイジは身をよじって喘ぐ。
 ほどなくしてカイジのモノの先端からは先走りが溢れ始め、ワイシャツの裾にちいさなシミをつくった。

 しげるの手淫に翻弄されているカイジはもはや素股どころではなく、しげるの上でただ甘い声をあげ、腰を震わせていた。
「あ、んっ……んっ……」
「カイジさん……」
 熱いため息とともに名前を呼ばれ、それすらも快感に変わる。
 竿を伝った先走りが陰毛から滴るほどに感じながら、カイジはピクピクと体を引きつらせて絶頂を訴えた。
「あっ、いくっ、いくっ……」
「いいよ、出して……」
 穏やかな声と、やわらかく亀頭を揉む指先に促され、カイジは精を吐き出した。
「あっ、ああぁっ……!」
 ぴゅっぴゅっと勢いよく噴き出る精液は、白いワイシャツの裾をびしょびしょに濡らし、しげるの開襟の腹にまで飛び散って汚す。
 他人の手によって導かれた射精の快感はすさまじく、カイジはとろんと融けた表情でひたすら酔い痴れていた。

「はぁ、はぁ……、ん……っ……」
 精を吐き切ってしまうと、カイジは思わずベッドに後ろ手を突き、ヒクヒクと鈴口を痙攣させる自身をさらけ出したまま、しげるの上で尻餅をつくようにしてクッタリと脱力してしまった。
 大きく胸を上下させて呼吸を乱しながら、恍惚の表情でカイジが絶頂の余韻に浸っていると、しげるがカイジの太腿をぐいと押し上げ、淫らな液でぬるぬるになった後孔を露わにさせた。
 すかさず、勃起した自身の根元を支えながら、腰をずらしてカイジの後孔に挿入する。
「あっ、あぁッ、んっ!?」
 ズッと亀頭がめり込んできて、油断しきって緩んでいた体に突然走った衝撃に、カイジは限界まで目を見開く。
 指などで慣らしてはいないが、アカギのモノを受け入れ慣れているカイジの後孔は、しげるの硬い亀頭をすんなり飲み込んでしまった。
 
 ねっとりと熱い粘膜が絡みついてくる感触に、しげるは熱い息を吐くと、ゆっくりと律動を始める。
「あっ、んっ……こ、こら……しげ、る……っ」
「やっぱり、気持ちいい……カイジさんのなか……」
 必死に嗜めようとするカイジの震える声など耳に入らないかのように、しげるはひたすら下から突き上げる。
「んぅっ……だ、だめだって……言って……」
 ずちゅっ……、ぬちゅっ……、と卑猥な音がこだまする。
 敏感な粘膜を硬いもので擦り上げられる感覚に、カイジの目が快感による涙で潤んでいく。
 早く離れなくてはと思うものの、もともと力の抜けきっていた体は、ビクビクと跳ねるばかりで碌に動かすことすら叶わない。

「……だって……、あんなやらしい姿見せられたら……我慢できない……」
 理不尽にカイジを責めるしげるの口調は、どこか拗ねたように幼く、子どもらしさの欠片もない普段の様子とのギャップに、カイジはぎゅっと胸を引きしぼられ、なにも言えなくなってしまう。
「この前したときから、ずっと……ここに入れたかった……」
 しげるの切れ長の双眸に、快感によってうっすら水の膜が張っている。
 細い腕からは想像もつかないほどの力強さでカイジの腰を支え、ひたすら陰茎を突き込んでくるしげるの、肉欲に取り憑かれたような獰猛さに、とうとうカイジの理性のタガも粉微塵になって吹っ飛んでしまった。

「あっ、はぁっ……! しげ、るっ……!」
 しげるの腹に手をついて震える体を支えながら、カイジは上下に激しく腰を振りたくる。
(こんな……、オレには、アカギがいるのにっ……、)
 完全に勃起した陰茎がカイジの動きに合わせてぷるんぷるんと揺れ、ワイシャツの裾からチラチラと見え隠れする。
(オレの恋人はアカギなのにっ……他のヤツと……生ハメなんてっ……)
 自身の先端から恥ずかしい汁をぴゅくぴゅく飛び散らせながら、ベッドのスプリングで跳ねるようにして怒張を扱きたてる。
(ダメッ、ダメなのにっ……、でも……っ)
 流れる汗でますます濡れるワイシャツから、ツンと尖った胸の突起が透けて見えている。
(腰が……とまんねぇ……っ!)
 いまや、カイジはアカギに対する罪悪感や、この秘め事への背徳感すら、快感にすり替えてしまうようになっていた。

「あっ、あっ、はぁっ、んぅっ……」
「っ……カイジさん……、」
 あられもない姿を晒して自分の上でよがり狂う、八つ歳上の男。
 卑猥すぎるその姿に、しげるはたまらずガバリと上体を起こし、その勢いのままカイジを押し倒して正常位でガツガツと犯し始める。
「ひぁっ……!! あ、しげ……あぁうっ……!」
 乾いた音をたてて腰を打ちつけながら、しげるはカイジの胸に顔を埋め、ワイシャツの上からいやらしく透けた乳首を吸う。

 前回、初めてのセックスのときに学習したのか、しげるの動きは的確にカイジのイイところを刺激してきて、中学生にガンガン犯されまくっているという被虐的な快感とともに、カイジを追い詰めていく。
 すさまじいほどのカイジの感じように呼応して、搾り取るように蠢く中に、しげるは眉をひそめた。
「そんなに締めつけないでよ……すぐ出ちまう……」
 荒い呼吸の合間にそんな可愛いことを言われ、腹の中でしげるの陰茎がピクピクと気持ちよさそうに動くのを感じて、カイジは興奮のあまり涙ぐんだ。
 そろそろとしげるの背中に腕を回して抱きしめると、しげるも目を閉じてカイジをきつく抱き返す。
「もう……出そう……」
 ちいさな呟きを耳にしたカイジは、ハァハァと息を荒げながらも、最後の理性で首を横に振る。
「な、中はやめ……っ」
「……うん、いっぱい、中に出すね」
「ちょっ、えっ? あッ、んうぅっ……!」
 まったく噛み合わない会話にカイジが困惑しているうち、しげるはカイジの尻に腰を叩きつけるようにして穿つと、腰を震わせながら射精した。
 ビュッビュッと熱い精液を体の奥へ流し込まれ、その勢いと量の多さに、カイジもまた、仰け反りながら白濁を撒き散らした。
「あっ出るっ、あっあっ、あっ……!」
 ひときわ高い嬌声をあげ、全身を痙攣させながら中イキするカイジ。
 その姿に嗜虐心をそそられ、しげるは最奥までしっかり届くようにグリグリと腰を押しつけながら、よく締まるカイジの中に子種を出し尽くしたのだった。




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