夕間暮れの秘め事(※18禁)・2




 三十分後。

(や、やっぱこうなるのかよっ……!!)

 カイジは目に涙を溜めながら、スースーする下半身を隠すようにワイシャツの裾を引っ張っていた。



 しげるの誘いにカイジが乗る形で始まった野球拳。
 蓋を開けてみれば、例によって例のごとく、しげるの全戦全勝。

 今日のカイジは偶々スーツを着ていて、いつものラフな格好より格段に脱ぐものが多い。
 すなわち、それだけ金を得るチャンスも多いということで、それも計算に入れてカイジはこの勝負を引き受けたはずなのに、懐があたたまるどころか、逆に寒々しい姿を晒す結果と相成ったのであった。

(ううっ……、畜生ッ……)
 情けなさに、ギリギリと歯を食いしばるカイジ。
 しかもなぜか、しげるに指定された服を脱いでいくというルールにいつの間にかなっていて、今カイジが着ているものは、ワイシャツとその下の白いインナーシャツのみ。
 俗に言う『裸ワイシャツ』に限りなく近い状態なのであって、こんな変態的な格好をさせられている羞恥と屈辱で、カイジは気が遠くなりかけていた。

 中途半端に陰部が外気に触れていて、落ち着かないことこの上ない。
 モジモジと前屈みになるカイジの姿を舐めるように見ながら、しげるは一歩、カイジの方へ近づいた。
「……カイジさん」
 ひんやりとした手のひらに手首を掴まれ、カイジの心臓が跳ねる。
「なっ……なんだよっ……!?」
 わけもなくビクビクしながら問いかけるカイジ。
 だが、黙ったままのしげるに強く手を引かれ、そのままベッドに誘導されて、泡を食って抵抗し始める。
「まっ待てっ……! なにする気だよっ……!?」
「こないだみたいなことはダメなんでしょ。わかってるよ。でも……」
 そこで言葉を切り、じっと自分を見つめてくるしげるの顔つきに、カイジは息を飲んだ。

 熱に浮かされたような、はっきりとした欲情の滲む表情。
 側で感じるしげるの呼吸は微かに荒くなっていて、スラックスの上からでもわかるくらい、幼い陰茎が硬く張り詰めているのが、カイジからも見て取れた。

「あ……、」
 カイジはちいさく呟き、動きを止める。
 さっきまで万札に釘付けになっていたカイジの視線は、黒い布地を押し上げるようにして膨らんだ股間に、完全に固定されていた。

 自分のこんなみっともない姿を見て、しげるが勃起している。
 その事実が、カイジの背筋をゾクゾクと震わせ、呼吸を荒くさせていく。

「このままじゃ、苦しい。カイジさん、ちょっとでいいから……」

 縋るように懇願され、カイジはグラグラと茹だったような頭で、ゴクリと唾を飲み込んだ。



[*前へ][次へ#]

103/116ページ

[戻る]