Je jouis!(※18禁)・3



 はぁ、はぁ、と息をつきながら、カイジは度重なる絶頂の余韻に浸っていた。
(ヤバい……、すげぇ、気持ちいい……)
 他人の手で齎されるドライオーガズムの快感は、カイジの想像を遥かに上回っていた。
 正直、なんども意識が飛びそうになった。気持ち良すぎて気が狂うんじゃないかとさえ思った。あまりの快感に、恐ろしささえ覚えたほどだ。
 だが、呼吸が落ち着いてくるにつれ、意識の隅に追いやられていた羞恥心やらなにやらが、カイジの心に戻ってくる。

 こんな淫乱な姿を、アカギに見られてしまった……
 しかも、アナルオナニーしてたことまでバレちまってる……

 この上ない屈辱に、カイジは歯を食いしばって涙を流す。
 本当は子どものように喚き散らしたかったが、粉々に砕け散った矜持のカケラが、辛うじてそれを踏み止まらせていた。

 しかし、さめざめと泣くカイジの体は、無慈悲にぐるりと仰向けに反転させられる。
「どうして、泣いてるの」
 体の上に覆い被さったアカギに尋ねられ、カイジはハッとしてゴシゴシと目を擦る。
「泣、いて、ねぇっ……!!」
 涙声で精一杯、カイジが虚勢を張ると、ふうん、と呟いて、アカギはカイジの体に視線を巡らせる。
「ココも、号泣してるみたいだけど、」
「ぁ、んッ……!」
 透明な蜜でしとどに濡れたまま天を仰いでいる陰茎を指で弾かれ、カイジは甘い声を零す。
「だ、から……っ、オヤジくせぇこと、言うな……ッ!」
 きれぎれに言葉を途切らせながらも、どうにかツッコミを入れるカイジに、アカギは微かに笑い、体を下にずらした。
「あっ! や、あぁ、ん……っ」
 次の瞬間、生あたたかい感触に亀頭をすっぽりと包み込まれ、カイジは悩ましげに身をくねらせた。
 上目遣いでカイジの反応を窺いながら、アカギはカイジのものをゆっくりと根本まで口内におさめる。
 じゅぷっ……じゅぷっ……といやらしい音をたてながら、舌と唇を巧みに使ってフェラチオされ、もともと限界をとうに超えていたカイジの陰茎はあっという間に絶頂へと上り詰めていく。
「あっ、やっ、いく、あかぎっ、イクっ、でちまうっ……! あぁぁぁッ……!!」
 とどめとばかりに敏感な雁首を強く吸い上げられ、カイジは情けない声をあげながらアカギの口内に精をぶちまけた。

 それは『爆発』と呼んでも差し支えないような、激しい射精だった。
 石のように硬く張り詰めた睾丸が持ち上がり、限界まで溜め込んだ濃厚なザーメンを竿へと送り出す。
 全身を巡る血潮のようなスピードで、瞬く間に竿を駆け上った特濃ザーメンは、充血した鈴口から止めどなくビュルビュルと発射される。

 まるでもの言わぬ性器が、解放の喜びを叫んでいるかのような激しい射精。
 本来ならば子孫を残すために出されるはずの精液が、アカギの口内に吐き出されていく。
 止めようとしても止まらない噴水のような射精に、快感を通り越して苦しささえ覚え、カイジはトロけたイキ顔のままちいさく呻いた。


 やがて、カイジの陰茎はヒクヒクと震えながら硬度を失ってゆき、永遠に続くかとも思われた長い射精は、ようやく終わりを告げた。
 すべてを出しきり、まるで白痴のように虚ろな目で呆けているカイジ。
 アカギは尿道に残ったわずかな露までちゅっと吸いあげ、唇を離す。
 激しいオーガズムの余韻にハクハクと鈴口を開閉させながら、強すぎる射精の快感によって軽く勃起している卑猥な陰茎に目を細めながら、アカギは体を起こす。

 アカギの口の周りが、己の淫液でべたべたに濡れ光っているのを見て、カイジは羞恥で死にそうになる。
 大量のザーメンで口中をいっぱいにしたまま、顎をあげて見下ろしてくるアカギが、目だけでなにかを促してきて、その意図に気づいたカイジは、唇を強く引き結び、意地でも口を開けまいと頑張る。

 かたくなな様子に、仕方ない、とでも言いたげにアカギはため息をつくと、カイジの膝裏に手を差し入れ、そのまま両脚を大きく抱え上げた。
「っ、ちょっ……!!」
 秘部を丸出しにされ、カッと赤くなったカイジが抗議の声をあげようとするも、硬く太いモノがピタリと押し当てられ、ヒクリと喉を引きつらせる。
「あっ……や、やだ……、やめ、アカ……!」
 気丈な態度から一転、怯えきったように太い眉を寄せ、小動物のように震えるカイジ。
 指と舌だけで三度もイかされてしまったのだ。この太いモノで蹂躙されたら、きっとイキすぎて気が狂ってしまう。
 圧倒的な恐怖と、無意識下での快感への期待に、呼吸を切迫させるカイジに喉を鳴らし、アカギはちゅくちゅくと腰を擦りつけ、亀頭をヒクつく窄まりに引っかける。
「アカ、ギ……たのむ、から……ッ……! はぁっ、あぁぁぁ……っ!!」
『やめろ』とも『挿れろ』とも、どちらとも取れるような懇願の声を耳で愛でながら、無慈悲なアカギはカイジの後孔にゆっくりと押し入っていく。

 指とは比べ物にならないくらい太く硬い怒張で後ろを押し広げられ、カイジは驚きと快感に獣のような声をあげながらドライオーガズムに達した。
 カイジの恐慌をそのまま伝えるかのように蠕動する肉筒の中に腰を進めながら、アカギは開きっぱなしのカイジの口内に、己の唾液と混ぜ合わせた濃いザーメンを垂らす。
「う、っぷ……! げほっ、んぅ……っ」
 とろとろと注がれる青臭く粘度の高い水で溺れそうになり、激しく咽せ返るカイジ。
 嫌悪感に歪められた恋人の顔を見て、アカギは嗜虐的に笑い、腰を動かし始める。
 ずちゅっ……ぬちゅっ……
「あっ、アッ、もぅ、あ、ッ、くぅぅっ……!!」
 アカギにピストンされるたび、カイジの口からはあられもない声が撒き散らされる。
 その声は、今までのセックスとは明らかに違う、男に媚びるような甘やかさをどこかに捨ててきたかのような、雄そのものの嬌声だった。

 最大の性感帯である前立腺を竿肌でゴリゴリと擦りながら、指では届くことのなかった奥の方まで、凶悪なまでに太い肉棒でズンズンと犯される。
 ついぞ味わったことのなかった未知の快楽の扉をこじ開けられ、カイジの本能が咆哮をあげているのだった。

 もともと、アカギとのセックスが嫌いではなかったカイジだが、アナルオナニーにどっぷりとハマり、空イキという禁断の味わいを知ってしまった今だからこそ、以前にも増してアカギの陰茎で犯されることの気持ちよさに気づかされてしまったのだ。
 カイジの陰茎はすでに硬く勃起し、新しい露に幹を濡らし、ふたりの繋がっている部分にまで垂れ落ちて、律動のたびにクチュクチュといやらしい音を奏でていた。

「あっ、あっ、ぅ、うぅっ、アーー」
「……っ……」
 今まで知らなかったセックスの甘美さに激しく悶えるカイジの肉壺は、根こそぎ精を吸い上げようとしてくるかのように媚肉がにゅるにゅると絡みつき、アカギにも未知の快感を与える。
 胸に膝がつくほどに大きく脚を抱えあげ、ぱちゅ、ぱちゅ、と腰をぶつけてこれ以上ないほど長いストロークで抽送しながら、アカギはカイジの右手を取る。
 
「あんた、まるで人が変わっちまったみたいだ……」
「う、うっ、アッ、ふぁ、あっ!」
「オレがいない間、いったいどんな悪さしてたの? この指で……」
 ひとりごちるように呟いて、アカギはカイジがアナルオナニーに使っていた右の手指を一本一本ぬるぬると丹念に舐め、甘く噛む。
 悪戯を咎めるような仕草。指先をチリリと焦がすようなその刺激だけで、カイジはまた絶頂した。
「ーーーッ!! んあぁぁっ……!!」
「く……っ……」
 ビクビクと血管を浮かび上がらせるほど勃起した陰茎を震わせながらも、ソコからは吐き出すことなく後ろだけでイキまくるカイジ。
 凄絶さが匂い立つようなその痴態と、精子をおねだりするように荒々しく波打つ肉の快感に、アカギも歯を食いしばり、大きな尻にぐりぐりと腰を押しつけながら射精した。
「あ、ぁ……んぅっ、熱ッ、ま、また……ッ」
 びゅくびゅくと勢いよく中出しされた精液に前立腺を打たれ、絶頂の最中にあってカイジはまた甘イキした。
 喉を反らし、腰を浮かせるようにして、浮世離れしたイキ狂いを見せるカイジにそそられ、アカギはカイジに覆い被さってドロドロに融けたその唇を吸いながら、何度も、何度もしつこく最奥を穿つ。

 結局、アカギがすべてを吐き出すまでの間に、カイジは軽く三回は果てた。
 湯上がりのように全身を上気させ、くったりと脱力してしまったカイジ。
 開きっぱなしの口から粘つく唾液を纏った赤い舌を覗かせ、過呼吸でも起こしたかのようにひくひくと不規則な息を繰り返すその様子は、あまりの快感に知性を失ってしまったかのように滑稽でしどけなく、この上なく淫猥だった。

 ーーこんなことを覚えてしまったが最後、病みつきになってしまいそうだ。
 このことしか考えられなくなりそうで、溺れることに恐怖すら感じる。

 しばらくの間、気だるさの中で後悔の念にぐるぐるしていたカイジだったが、後ろに挿入されたままのアカギの陰茎がなんの前触れもなくゆっくりと律動を始めたので、びくんと四肢を跳ねさせて目を見開く。

「や、やめっ……、あっあッ……! あ、アカ、いったん、落ち着……んあぁっ……!!」
「無理。そんな余裕ない……」
 きっぱりと断言するアカギの声も、いつになく切迫している。

 禁断の快楽に病みつきになってしまいそうなのは、カイジだけではなかったのだ。
 といってもアカギの方は、溺れることに恐怖などこれっぽっちも感じておらず、むしろ底までどっぷり沈んで骨も残さないほど味わい尽くすつもりのようである。

 そんなことに付き合わされたら本当にイキ死んでしまうと、カイジは泣きベソをかきながらアカギの胸をポカスカと殴りつけた。
「やっ、あっ、だめ、だって……! ホントに、しッ、しんじゃうっ……!! ふぁっあッ……!!」
 涙と鼻水でぐちゃぐちゃの情けない顔に、普段ならば揶揄うような余裕の笑みを浮かべるはずのアカギが、今は雄の本能を剥き出しにして、獣のように腰を振りたくる。
「いいね……、どっちが先にイキ死んじまうか……、勝負しようぜ、カイジさん……?」
 荒い息の合間に、冗談なのか本気なのかわからないことを野蛮な顔つきで言って、アカギはカイジの胸に顔を埋め、ぷつりと勃ちあがったちいさな乳首をちゅうちゅうと吸う。
「あっ、だめ、やっ、あ、ア、あーー!!」
 力の入らない腕で白い頭を抱え込みながら、カイジは掠れたイキ声をあげて繰り返し絶頂した。

 色欲にまみれた部屋には、うっすらとただよう青草のような香りがタバコの匂いすら掻き消して、漂う空気さえもが淫靡な薄桃色に染まっているような錯覚さえ覚える。
 めくるめく官能に惑溺しながらも、果たしてアカギが去ったあと、ただのアナルオナニーだけで満足できるのかと、大いなる不安を抱くカイジであった。





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