学校で(※18禁)・7



 間延びしたようなチャイムが鳴り終わる頃、ふたりは射精を終え、折り重なって荒い呼吸を整えていた。
 鼻をつく生臭い匂いに、すこしずつ冷静さを取り戻したカイジはサーっと青ざめ、背後から自分を抱きしめて動かないしげるに目をつり上げる。
「おいっ……! どけよっ、しげるっ……!」
 このエロガキを一発殴ってやらなきゃ気が済まないと、ドスのきいた低い声でカイジが促すと、しげるはカイジを抱きしめている腕に力を込め、
「もうちょっと、このまま……」
 と呟いた。
「はぁっ……!? 寝言は寝て言え、この野郎っ……!!」
 しげるの下から逃れようとカイジは四苦八苦したが、ガッチリと固定された体は微動だにせず、無駄に体力だけ消耗しながら、カイジはようやく諦めて体の力を抜いた。

 カイジは怒りに打ち震えながら、マイペースにセックスの余韻に浸っているらしいしげるが、満足して離れるのを待つ。
 休み時間になったためか、廊下が騒がしい。
 美術室の前を通り過ぎる生徒たちの声にカイジはビクビクし、嫌な汗が止まらない。
 一刻も早くここから抜け出さなければと、焦りばかりが募った。

 すると、今までピクリとも動かなかったしげるが突然体を起こし、熱い息を漏らした。
 カイジは心の底からホッとして、苛立ちに任せてしげるをどやしつける。
「っおい、さっさと離れーー、ッッ!?」
 言葉を途中で切って、カイジは息を飲む。
 しげるが繋がったままの腰を、ゆっくりと揺すり始めたからだ。
「なっ、なにしてーーッうぁっ!?」
 もう抜かれるとばかり思っていたしげるの男根はいつの間にか硬さを取り戻しており、予期せぬ事態にカイジは目を白黒させる。
「だって……カイジさんの中、オレのに絡みついて、離れようとしないから……」
 規則的な抽送を続けながら、しげるはまるでカイジが悪いかのようにそんなことを言う。
「は、はあっ……!? ヘンなこと、言うなっ……あ、んんっ……!」
 怒りと羞恥で顔を真っ赤に染め上げ、カイジはしげるに噛みつこうとしたが、硬い男根に言葉をとろかされてしまった。
「んっ、んっ……あ、アホ……、ぁうっ……」
 ぐちゅっ……ぐちゅっ……と中出しした精液が泡立ち、さっきまでとは違う刺激をふたりに与える。
「すご、……なか、トロトロ……きもちい……」
 恍惚と上擦った声が降ってきて、そんなこと言われても全然嬉しくないはずなのに、カイジの内壁は勝手に反応し、しげるを更に締め上げてしまう。

 突くたびにガクガクと揺れるカイジの背中を見ながら、ねっとり潤った肉壷の中を堪能していたしげるだったが、しばらくして動きを止め、自身を抜き取った。
「……え……っ?」
 急に訪れた喪失感に思わず不満げな声を上げてしまい、慌ててカイジが咳払いで誤魔化そうとしていると、不意に視界がぐるんと反転した。

 テーブルの上に仰向けに寝かされ、足を大きく抱え上げられる。
 赤子のような体勢を取らされ、耳まで赤くなるカイジを見下ろし、しげるはフッと笑った。
「やっぱり、あんたの顔、見える方がいい」
「!! アホっ……、ふぁあっ……!!」
 正常位の体勢でふたたび怒張をねじ込まれ、カイジは喉を仰け反らせる。
 肌がぶつかり合う音をたてながらピストンされ、たまらない快感にカイジの陰茎は三たび勃ち上がっていた。

 カイジの前立腺を竿肌で擦ってやりながら、しげるはカイジに覆い被さり、開きっぱなしの唇に深く口づける。
 くちゅくちゅと舌を絡める淫靡なキスに、カイジは戸惑いながらもいつしか翻弄され、思考力を奪われて自ら舌を突き出していた。

 二限目の始業のチャイムが部屋に響くが、カイジはそんなもの耳に入らないくらい、しげるとのキスに没頭していた。
 同じ音にさっきあれだけ怯えていたのが嘘のように淫乱な姿だった。

 唾液の糸を引きながら唇を離し、ぼうっと頬を上気させているカイジを見て、しげるは喉を鳴らして笑う。
「オレのキス、きもちいい?」
「! そういう訳じゃ……ん、ん……、ぅ」
 ムキになって反論しようとするカイジの唇を、しげるはすかさず塞いだ。
「だって……、ん……っ、キスすると、すげぇ締まる……」
 舌を吸う合間にそんないやらしいことを囁かれ、カイジは羞恥に目眩すら覚えるが、同時に、しげるとのキスがあまりにも気持ちよすぎて、どうしようもないほど体が火照っているのも感じていた。
 いつの間にか、カイジはしげるの律動に合わせて腰まで振り始めていて、貪欲に快楽を求めるその様子に、しげるの下腹も熱くなってくる。
「ん……、カイジさん……、そんなにしたら、また出したくなっちまう……」
 細い眉をせつなげに寄せたしげるの表情に、カイジはドキリとした。
 余裕のない様子のしげるは中学生とは思えないくらい艶めかしく、自分がしげるをこんな風にしたのだと思うと、カイジはますます興奮してしまう。

 カイジはおずおずと手を伸ばし、しげるの白い頬に触れた。
 至近距離で絡まる視線。
 どちらからともなく、うすく開いた唇を重ね合わせようとした、そのとき。

 靴音高く廊下を歩く音。ふたりのいる美術室に近づいてくる。
 カイジはギクリとし、文字どおり固まった。
 しげるはお構いなく行為を続けようとしたが、パニックを起こしたカイジが自分の下から逃れようと暴れたため、鋭く舌打ちして渋々体を起こす。
「カイジさん、こっち」
 言うが早いかしげるはカイジの腕を掴み、テーブルの下へと身を隠した。
 それとほぼ同時に、美術室の扉がガラリと開かれる。

「…………」
 テーブルの下で、カイジは蒼白になっていた。
 美術室の中に入ってきたのは、どうやら教師らしい。灰色のスラックスに包まれた二本の足が、カイジたちのいるテーブルの下からも見えていた。
 教師はカイジたちのいるテーブルとは反対側の棚の方へとまっすぐ歩いていく。どうやら、なにかを探しているようで、ちいさな物音が聞こえてくる。

 カイジは生きた心地もせず、教師にバレないようひたすら息を潜める。
 すっかりぶり返した社会的抹殺への恐怖心にガタガタと震えていたカイジは、背後から迫り来る魔の手に、まったく気がつかなかった。
「……!?」
 ヌッと伸びてきた二本の腕に体を捕えられ、床に押し倒されてカイジは危うく声を上げそうになった。
 バクバクとうるさい心臓のあたりを押さえながら、自分の上にのしかかるしげるを睨みつける。
 が、しげるが悪戯っぽく笑い、自分の足を大きく開かせたので、カイジは仰天した。
 まさか、と信じられないような気持ちでしげるの顔を見上げると、恋人は人さし指を唇の前に立ててみせ、腰の位置を合わせてカイジの後孔に自身の先端を擦りつけた。
「……ッ……」
 最初の頃に見せていた強気の姿勢はどこへやら、憐れっぽく縋るような表情で、精一杯首を横に振るカイジ。
 焦らすようにほんの先端だけをめり込ませ、怯えるカイジの反応を愉しんでいたしげるだったが、やがてカイジに目だけで合図すると、グッと腰を突き入れて一気に奥まで挿入した。
「〜〜〜〜!!!!」
 限界まで背をしならせ、体を痙攣させながらカイジは挿入の衝撃に耐える。
 間髪入れず、しげるは大きく腰をグラインドさせた。
「……っ、ぁ……ぅ……ッ」
 深く挿入したまま中を掻き回され、カイジは激しく身悶える。

 教師にバレたくないというカイジの心情を察してか、できるだけ音を立てないように動いていたしげるだったが、ヌルヌルとした肉の中が気持ちよくてたまらないのだろう。徐々に動きが激しく、抜き挿しを伴うものに変化していった。
 ぬちゅっ……ぬちゅっ……と卑猥な音が響き、カイジは恐慌に陥りそうになる。

 もし、気づかれたらーー
 そう思うと怖くてたまらないのに、この異常な状況下で、目の前の中学生に犯されるのが死ぬほど気持ちいい。
 カイジ自身は今までにないほど硬く反り返り、教師が物音を立てたり咳をしたりするたびに、後ろを強く締め上げてしまう。
 自身を心地良く絞られる快感にしげるも息を荒げ、カイジの弱いところをしつこく突きまくる。
 美術室のテーブルの下に隠れて野蛮な性行為に没頭しながら、ふたりは深く唇を重ね合わせ、舌を吸い合った。
「……やっぱり、キス、気持ちいいんでしょ?」
 音を消した声でしげるが囁くと、カイジは涙目でこくこくと頷き、自らしげるの下唇を甘噛みしてキスをねだる。
 上も下もぐちゃぐちゃに混ざり合いながら夢中で交わり、やがてふたりに限界が訪れた。
「っ、出そう……」
 カイジの耳許でしげるが熱っぽく囁き、耳朶に歯を立てると、それが引き金となったかのように、カイジは勢いよく射精した。
「……ぁ……く……ッ」
 ビクビクと体を跳ねさせながら、カイジはしげるの腹に白濁を撒き散らす。
 まるで生き物のように蠕動する内壁にしげるも歯を食いしばり、ドクッ……ドクッ……と二度目の精を思う存分カイジの中に注ぎ込んだ。

 目も眩むような快感の中、ハァハァと荒い息を重ね、ふたりは深くキスをする。
 ぬるぬると舌を絡ませ、まるで唇でセックスの続きをしているような口づけに惑溺している間に、教師は探し物を終え、教室の扉を開けてスタスタと出ていった。
 自分のすぐそばで、中学生にふさわしくない淫らな行為が行われていたことなど、すこしも気づかなかったようだった。

 教師の足音が遠ざかると、虚ろな表情でぼんやりしているカイジに、しげるはうっそりと囁く。
「ね、カイジさん。もう一回……」
 ゆるゆると腰を揺すると、しどけなく投げ出していた体をピクリと反応させ、カイジはちいさく声を上げる。
「もう、我慢しなくていいから。かわいい声、いっぱい聞かせて……?」
「あっ! あっ、ぁ、ん……しげ、る……」
 しげるはカイジに覆い被さって獣のように腰を振り、カイジは甘い声を上げながら、しげるの体を力いっぱい抱きしめたのだった。





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