温泉へいこう(※18禁)・2
「はぁ〜〜っ、生き返る〜〜っ……」
「カイジさん、ジジ臭い」
「うるせぇ……」
熱い湯に肩まで浸かり、あまりの気持ちよさにカイジは脱力していた。
男ふたりが一緒に入っても、充分な広さの浴槽。
たっぷりとした熱めの湯で体はポカポカしているのに、首から上は凍るような外気に触れ、ひんやり冷えている。
不思議な感覚にぼんやりしているカイジの頭上から、ちらちらと白い雪が舞い落ちては、湯に溶けて消えていく。
カイジは掌を水面に出してみる。綿のような雪のかけらが、その上に落ちてはすうっと水に変わるのを、熱心にじっと見つめていると、隣からクスクス笑う声がして、カイジはアカギの方を見た。
「……ガキみてぇ」
「うっせぇな……ジジイだとか、ガキだとか……」
唇を尖らせてぶつくさ言うカイジの、汗に濡れた長い髪を掻き上げるように撫で、アカギは囁いた。
「……かわいい」
音を消した静かな声に、カイジはドキリとする。
おずおずとアカギの方に顔を向けると、微かな笑みを滲ませる目と目があって、待ち構えていたかのように唇が重なった。
「ん……っ」
カイジは体を固くして、アカギの唇を受け入れる。
嫌がるそぶりを見せないカイジに、アカギは幾度か角度を変えながら唇を啄んだあと、ぬるりと舌を潜り込ませた。
「っ……ん、ぁ……ふ、」
淫らな水音を響かせながら、ふたりは舌を絡ませ合う。
屋外であるのに、外界から切り取られた空間。
誰の目も気にしなくていい、ふたりきりの空間。
そのシチュエーションに、カイジは胸を痛いほど高鳴らせる。
カイジの口腔内を舌でまさぐりながら、アカギは湯の中でカイジの腰を抱き寄せる。
足の間にそっと手を伸ばし、まだ柔らかい刀身に触れると、カイジの身体がビクッと跳ねた。
「あっ!? ど、こ、触って……っ」
困ったように身じろぐカイジの腰をさらに強く抱き、アカギはカイジ自身を完全に握り込んだ。
「あ、や、嫌だ、っ、んっ、あかぎ……っ」
軽く扱いてやっただけで、カイジはアカギから顔を背け、濡れた唇から甘い声を零れさせる。
もともと感じやすいカイジだが、この特殊な空間に興奮し、さらに敏感になっているらしい。
「あっ、ぅ、ダメ、だって……あっ、んぁっ……」
「カイジさん……」
ダメだと言いながら、いやらしい声を止められないカイジ。
その声に煽られ、アカギはカイジの唇に噛みつくようにキスをしながら、ゆっくりと手を動かし続ける。
「んむ……っ、ふ……ぁっ、ん、んぅ……っ」
弾む吐息と、すでに潤み始めている大きな瞳。
力の抜けたカイジの手が、震えながら咎めるようにアカギの腕を掴んでいる。
恋人の唇と、卑猥な表情を堪能しながら、アカギがカイジ自身を擦っていると、みるみるうちにソコは固くなっていく。
裏筋をなぞりながら幾度も竿を大きく擦り上げ、張り出した亀頭の先端、敏感な鈴口に指を当てると、ぬめった感触がアカギの指先に伝わってくる。
「ここ、ヌルヌルしてる……湯の中なのに……」
ちいさな穴をくるくると撫でながら揶揄されて、カイジはカッと赤くなった。
「〜〜ッ! もう、あがるっ……!!」
気力を振り絞ってアカギの手を避け、カイジはザバリと立ち上がる。
完全に勃起したイチモツを見られないようにと、逃げるようにして浴槽から出ていくカイジの裸の背中を、あらら、と苦笑してアカギは見送った。
アカギの目の届かない場所で、カイジは急いで体を拭う。
(あの、むっつりスケベ……まだ、宿に入って一時間も経ってねぇのに、がっつき過ぎだろうがっ……!!)
愚痴るように心中で呟き、ゴシゴシと髪を拭く。
まるで怒っているかのような荒っぽい仕草だが、カイジの本心は、憤慨しているというよりも、戸惑っているという方が正しかった。
ふたりきりになった途端、あんな風に求められ、普段のクールな様子とは別人のようなアカギに、カイジはドギマギしているのだ。
そして、アカギに迫られて初めて、この一泊二日、ふたりきりで過ごすということが、いったいどういうことなのか、ようやくカイジも理解し始めていた。
外に出ることも叶わず、部屋の中や温泉、どこへ行くにもアカギと一緒で。
いったい、どんなことをされてしまうんだろう……
考えるだけで、緊張と期待で心臓がドキドキしてしまう。
先ほどまでの淫靡な行為の余韻も相まって、カイジの呼吸があっという間に荒くなっていく。
視線を下ろすと、陰茎はさらに固く勃起し、涎のような汁を先端から垂れ流していた。
ゴクリと、カイジは唾を飲み下す。
今……触ったら、きっと、ものすごく気持ちいい……
誘惑に押されるように、そろそろと右手を下に伸ばしかけ、ハッと我に返って頭を強く振ると、カイジはガラス戸を開けて部屋へ踏み込んだのだった。
ごく短い時間の入浴だったが、体は温まり、額にはうっすら汗が滲むほどだ。
部屋の隅にあるハンガーラックにかけられた浴衣に手を伸ばそうとした瞬間、後ろからガバリと抱きつかれて、カイジは飛び上がった。
「……ひでえな。オレを置いていくなんて」
「あ、アカ……、」
湿った素肌が吸いつくように密着し、やわらかい猫っ毛に首筋を擽られて、カイジは堪らず身じろいだ。
アカギはカイジの耳を甘く噛みながら、カイジの前にするりと手を伸ばす。
「あっ……あ、かぎ……っ」
勃起し、濡れそぼった陰茎に再び触れられ、カイジは焦った声を上げる。
なんとかアカギを押し退けようとするが、長い指で根本からきゅっと握り込まれると、快感への期待で体に力が入らなくなってしまう。
「あ……ん……、アカ、ぁ、んっ……」
アカギが手を動かし始めると、カイジは身を捩って喘いだ。
待ちわびた刺激は堪らなく気持ちよくて、快楽に弱いカイジはたちまち溺れていく。
溢れ出る先走りはクチュクチュと音をたて、みるみるうちにアカギの手を汚していった。
アカギはカイジの陰茎を扱きながら、カイジの耳を舐め回したり、耳の穴に舌を入れたりしていて、それがまた、カイジの性感を刺激した。
「あっ、あぁ……、はぁ……っ」
いつの間にか、手淫に合わせて腰を揺らめかせているカイジに、アカギは囁く。
「ね、カイジさん。したい……」
熱い吐息と共に、耳に吹き込まれた言葉。
カイジはびくりと体を強張らせ、潤んだ目を瞬かせる。
言葉に詰まって押し黙るカイジの首筋を、アカギは舌でゆっくりとなぞりながら、
「カイジさんは、オレと、したくない……?」
そう問いかけると、カイジはハッとした様子で首を横に振った。
「ッ、そ……いう、わけじゃ……」
ぼそぼそと、煮え切らない返事が終わるか終わらないかのうちに、
「それじゃ、いいよね……」
そう呟くや否や、アカギはカイジの体を抱き竦め、強引に窓際へと移動させた。
「えっ……? ちょ、アカ……!!」
強引な行動に驚くカイジの裸体を、アカギは窓ガラスに押しつけるようにして後ろから抱く。
「あっ!? ちょっ、お前、なにして……ッ」
一面のオーシャンビューに向かって、素っ裸で勃起したイチモツを見せつけるようにして立たされ、カイジは慌てふためいた。
力づくでアカギの腕の中から逃げ出そうとするも、また性器をにゅるにゅると扱かれ、たちどころに力が抜けてしまう。
「あっ、ぁ……! くそ、やめろ、って、ん、んッ、アホ、やめ、あっ、あっ……!!」
諌めようとする声すら、短い喘ぎ声に変わってしまった。
窓の外には、激しく波を巻く冬の海。
船の姿や、人影などはもちろん皆無だ。
とはいえ、こんな……、誰かに見られる可能性も、ゼロではないかもしれないのに……
「あっ、嫌、いやだぁっ……、はぁっ、あぁっ……!」
口では嫌だ嫌だと喚きつつも、もはや羞恥すら、性感を高める材料になって、カイジの体に火をつけている。
抵抗は、もはや形だけのものになっていた。
発熱しているように体温の上がったカイジの体に、アカギはさらに密着し、カイジの淫らな液で濡れそぼった右手を、肉付きのよい臀部に滑らせた。
「んっ……」
濡れた手で尻を撫でられ、カイジはぶるりと震える。
アカギはカイジの尻を割り開き、現れた窄まりに濡れた指をつぷりと突き挿れた。
「あっ……ぅ、うっ、」
苦痛と紙一重の快楽に顔を歪めるカイジを見つめながら、アカギはちいさな穴を解していく。
これから明日のチェックアウトまでの間、限度いっぱいまで自分の怒張を受け入れさせる穴だ。
いつもは早く中に入りたいと気が急いて、おざなりになってしまいがちだが、今日はよく解しておかないと、カイジが辛い思いをする。
まぁ……この人は、そういうのも嫌いじゃないみたいだけど。
「く……っ、ぁ、あ、んっ……、」
そんなアカギの思考など、当然知る由もないカイジは、ゆっくりと指を抜き挿しさせて後ろを慣らされる感触に身悶えていた。
既に、指を三本纏めて挿入されても痛みを感じないほど、カイジの後ろは緩んできていた。
いつもより、心なしか丁寧で、ゆっくり時間をかけた愛撫。
普段のアカギらしからぬそのやり方に、内心首を傾げつつ、長い指にじわじわと体内を侵食される気持ち良さと、ほんのちょっぴりの物足りなさを感じていると、長い指がズルリと引き抜かれた。
代わりに宛てがわれた熱くて太いモノの感触に、カイジはヒクリと喉を引きつらせる。
穴にひっかけるようにヌルヌルと擦り付けられ、アカギ自身も既に先端からぬるついた液を溢れさせているのを感じて、カイジは興奮でどうにかなってしまいそうだった。
「挿れるよ、……」
「あっ、やめっ、こんなとこで、アカ……、ぅあっ、あっ、あっ……!!」
泣きそうな声での制止も聞かず、ズッズッと押し入ってきた太い男根に、カイジの背が反り返る。
縋るものがなにもなく、ガラス窓についた手を強く握りしめて、カイジは精一杯アカギを振り返った。
「はぁっ、アカギっ……こ、こんな、ぅあっ!」
言葉の途中で律動を開始され、襲い来る快感にカイジは目を見開く。
「あ、ア、だめ、ダメだって……っ」
「ん……? なにが、駄目なの……?」
狭い内壁に自身を馴染ませるように突きながら、アカギが問うてくる。
その声が、心なしか興奮に掠れているように聞こえて、カイジはゾクリとした。
「だ、誰かに、見られたら……、んあぁっ……!」
「べつに、構いやしねえよ……」
「あぁっ……! あッ、そ、ソコ……っ!」
お前はどうか知らねぇけど、オレは構うんだよっ……!
と言い返してやりたかったのに、狙いすましたかのように前立腺を突かれ、まったくべつの言葉が口から零れてしまう。
「クク……あんた本当、ココ突かれるの好きだよね……」
「アッ、だめっ、ソコばっか……っ、お、おかしく、なるぅっ……!! あっ、ぅぁあっ……!!」
ぬちゅっ……ぬちゅっ……と濡れた音を響かせながら感じるところを容赦なく突かれ、カイジは狂ったように喘ぐ。
ガラス窓についた手は、相変わらず強く拳を握ったまま、激しい律動に合わせ、ズルズルとずり落ちていく。
勃起したまま揺れるカイジのモノからは、ピュッ、ピュルッ、と白濁混じりの先走りが溢れ出し、絶頂が近いことを訴えていた。
「ふふ、やらしい……」
喉を鳴らす笑い声とともに、指が食い込むほど強く腰を掴まれ、より抽送が激しくなる。
「あぁっ、やっ、いくっ、いっちまうっ……!! ア、あ、ああぁっ……!!」
前立腺への激しい責めに耐えきれず、カイジは勢いよく射精した。
びゅくびゅくと放たれた精液は、窓ガラスを汚す。
雪の降る黒い海に、ドロリとした白濁はよく映えた。
アカギもまた、キツい締めつけに感じ、全身を震わせて射精しているカイジの中を幾度も突き上げ、絶頂する寸前で自身を引き抜いた。
「出すよ、カイジさん……」
ゴシゴシと陰茎を扱き、アカギは突き出されたカイジの尻に精を吐き出す。
「あっ、熱……ッ、ぁ、あ……っ」
イったばかりで敏感なカイジの体は、尻にかけられた精液の熱さにさえ激しく感じてしまう。
ビクビクと跳ねる背中を見ながら、アカギはカイジの尻に満遍なくかけるようにして吐精し尽くした。
「はぁ……、はぁ……っ」
「大丈夫……? カイジさん……」
手をガラス窓についたまま呼吸を整えるカイジの背に覆い被さり、肩甲骨を軽く吸い上げながら、アカギは問いかける。
ようやく落ち着いたカイジは、ぐるりと振り返って涙目でアカギを睨めつける。
「『大丈夫……?』じゃねぇよ……っ! さっさと離れろボケっ……!」
不機嫌にささくれ立った声に肩を竦め、アカギはおとなしくカイジの体を解放した。
「クッソ、思いっきりぶっかけやがって……! 汚れちまったじゃねぇか、風呂入ったばっかだってのに」
「『思いっきりぶっかけた』のは、あんたも同じだけどね」
窓ガラスにへばりつく白い粘液を見ながらアカギが言うと、カイジはアカギの足を思いきり踏んづけて、
「とにかくっ……!! オレはもう一回、風呂に入ってくるからなっ……!!」
そう言い捨てて、ハンガーラックにかけられたままの浴衣を引っ掴むと、ドスドスと露天風呂の方へ向かって行ったので、アカギもその後についていこうとした。
「じゃあ、オレもーー」
「いいか、お前はこの窓を綺麗にしておけっ……! 入ってきたら、殺すっ……!!」
ドスのきいた声で牽制して、怒ったように露天風呂のガラス戸をピシャリと閉じてしまったカイジに、アカギは細い眉を上げ、苦笑した。
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