ゴミ出し・4






「アカギてめえッ、このアホっ……!! なんだっつーんだよさっきのアレはっ……!!」

 猛スピードで部屋に戻ってくるや否や、カイジはアカギの胸ぐら掴もうとしたが、アカギは相変わらず上半身裸のままだったので、それは叶わなかった。
 結局、ちょっとの逡巡ののち、突っ立ったまま至近距離まで接近してメンチを切る。
 ……その顔色がひどく悪いのは、きっと二日酔いのせいではない。

 そんなカイジの様子を鼻で笑うでもなく、また、ガラの悪い挙動に動じた風もなく、アカギは真顔でしゃあしゃあと答えた。
「助けてやったんだよ、あんたを」
「あ゛ぁっ!?」
「オレが声かけなかったら、あんたきっと、未だにお説教中だったぜ」
 淡々としたアカギの言い分を聞き、カイジはヒクリと口許を引きつらせた。
「だからってなあっ……!! いくらでも他に、やりようってもんがあんだろうがっ……!!」
「うるせえな……済んだこと、今さらゴチャゴチャ言ってもしょうがないでしょ」
「お、ま、え、なぁ……ッ!!」
 つり上げた目を怒りやら情けなさやらで潤ませ、犬のように歯を食いしばるカイジ。
 間近で自分を睨みつけてくる恋人の表情を見て、アカギはようやく、その顔に笑みをのぼらせる。
 ただ、その笑顔はひどく性悪そうなもので、アカギはスッと目を細めると、含み笑いに肩を揺らしながらカイジに向かって言い放った。
「残ったゴミ、早いとこ出しに行きなよ。ゴミ捨て場の近くうろついてるとこ収集車に見つかりでもしたら、間違ってあんたまで回収されかねないぜ?」
 アカギがその台詞を言い切る前に、じゃんけんのときと同じく渾身の力を込めて握り締められたカイジのグーが、唸りを上げてアカギに殴りかかったのだった。













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