ごほうび(※18禁)・7
「ううっ……気持ち悪りぃ……」
ごく簡単な後処理を済ませ、元どおり身形を整えたカイジだったが、中にまだ残っているしげるの精液の感触と、濡れてしまった下着の冷たさに辟易していた。
「お前、マジでふざけんなよ……誰かに見られたら終わってただろ、いろいろとっ……!」
ギロリと睨みつけてくるカイジの視線を受け、しげるは細い眉を上げてボソリと呟く。
「なんだかんだで、途中からノリノリだったくせに」
「あ? なんか言ったか?」
「べつに」
つるっとした顔で受け答えするしげるを見て、カイジはやれやれとため息をつく。
鬱憤の捌け口にされてしまったことに腹は立つけれども、並んで道を歩いていたときの仏頂面がすっかり影を潜め、いつものすかした小憎たらしい表情に戻ったことがちょっとだけ嬉しくて、カイジはどうにも、しげるを怒る気が削がれてしまう。
まるで、やんちゃな愛猫の悪戯にも眦を下げる親バカな飼い主のような体たらくだと、カイジはしげるに対する自分の甘さが、ほとほと嫌になるのだった。
かわいらしい子供たちの歓声が、相変わらず響いている。
公園の出口に向かって歩きながら、なにげなくカイジはしげるに問いかけた。
「……で?」
「ん?」
「お前は、ちゃんと満足できたのかよ? その……、『ごほうび』とやらに」
ちょっと口ごもりながらボソボソと言うカイジに、しげるはすこし考えたあと、猫のような瞳を爛々と光らせ、カイジの耳に唇を寄せた。
「愚問だな。だって今は、猫の恋する季節なんだぜ?」
春。
日ごとにあたたかさを増し、美しく色づいていく景色の中を、ひとりと一匹はじゃれ合うように歩きながら、ねぐらへと帰っていくのであった。
終
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