ごほうび(※18禁)・5


「っ、あっ……は……」
「ん……、カイジさん……」

 そよ風が樹々の葉を揺らす音。
 小鳥の囀り。
 遠くから聞こえてくる、子供たちのはしゃぎ声。

 数々の爽やかな春の音に、抑えられた喘ぎ声と荒い吐息、くちゅくちゅと鳴る卑猥な水音が重なって、たまらない背徳感が生まれる。
 カイジはゾクゾクと背を痺れさせ、すっかりこの不埒な行為に陶酔しきっていた。

「カイジさん、声……聞かれちまうよ?」
 息を乱しつつ、クスリと笑ってしげるが指摘してやると、カイジはハッとした顔で唇を噛む。
 それでも我慢しきれなくて、ぽつり、ぽつりと漏れてしまう嬌声を鼓膜で愛でつつ、しげるは先走りに濡れるカイジ自身をぬるぬる扱いた。
 昂ぶる性感に瞳を潤ませつつ、負けじと手を動かすカイジの掌の中で、しげるの怒張も濡れそぼり、淫靡な音をたてている。

 しばらくそうやってお互いの性感を高めあったあと、カイジが絶頂に至る寸前で、しげるはぴたりと手淫を止めた。
「……?」
 肩透かしを食って、息を弾ませながら不思議そうに見つめてくる無防備な表情に薄く笑い、しげるはその場にしゃがみ込む。
 そのままカイジのジーンズを、下履きごと膝のあたりまでズルリと下ろすと、カイジは潤んだ目を驚愕に見開いた。
「お、おいっ……!」
 猛々しく勃起した性器をいきなり外気に晒されて動揺するカイジを見上げ、しげるは妖しく目を細める。
 まるで餌を前にした猫のように舌舐めずりすると、しげるはいきり勃ったカイジ自身をパクリと口に含んだ。
「!! ん〜〜ッ!!」
 危うく零れそうになった艶声を、カイジはとっさに自分の指を噛んで耐える。

 信じられないものを見るような目に見下ろされながら、しげるは目を伏せ、カイジの陰茎を根本まですっぽり口に入れてしまう。
「んっ! んん……!!」
 いやいやをするように頭を振りながら、カイジは手を延べてしげるの白い頭を引き剥がそうとする。
 しかし、ぬめってやわらかな口腔の、ひどく官能的な感触に、カイジの体からはすぐに力が抜け、掴んだしげるの髪を単に指で梳いているような格好になってしまった。

 太い眉根を寄せて快感に身悶えるカイジを視姦しながら、しげるは口を窄めてカイジのモノを吸う。
 爆発寸前だったカイジのモノは、強い刺激を与えずとも、しげるがやさしく舌を絡めて数回吸い上げただけで、あたたかい口内に勢いよく精液を迸らせた。
「〜〜ッ!! ふ、ぅん……ッ……」
 ビリビリと腰を痺れさせるような甘い刺激に、カイジはとろけきった目で体をぴくぴく痙攣させている。

 硬くなった陰嚢から竿を通り、鈴口からたっぷりと吐き出される精液は濃く、量も多い。
 しげるは軽く眉を寄せつつ、一滴も零さぬよう口で受け止めていく。

 長い時間をかけて射精を終えた陰茎の、尿道口に残った雫まで吸い取り、しげるはようやく、口からカイジ自身を抜いた。
 カイジは立っているのがやっとであるかのようにぐったりと幹に凭れ、未だ咥えたままの自分の指を唾液にまみれさせながら、放心の体でぜえぜえと息をついている。
 しげるは立ち上がると、虚ろに開かれたカイジの目と視線を合わせ、右掌にカイジが出したものをゆっくりと吐き出していく。

 赤い舌に絡みついて滴り落ちる、己の白濁。
 目を覆いたくなるほど卑猥な光景なのに、カイジの双眸は瞬きも忘れるくらい釘付けになっていた。

 唇を汚す残滓をぺろりと舐め取ると、掌の上の粘液を眺めてしげるはふっと息をつく。
「いっぱい、出たね……」
 まるで愛しいものを見るかのような視線に恥ずかしくなり、カイジはしげるから目を逸らして「アホっ……」と呟く。
「お前の……」
「ん?」
 聞き取りにくい声にしげるが首を傾げると、カイジはひどく言いにくそうに口ごもったあと、つっかえながら言葉を紡いだ。
「お前のも、苦しいだろっ……」
 なぜか怒ったような口調に、しげるはクスリと笑った。
 だから同じことをしてやると、カイジは遠回しにそう言っているのだ。

 感謝の意を示すようにカイジの頬へちょんと口づけると、しげるは甘やかに囁く。
「ありがとう。でも……」
「……っ!?」
 脱力しきった体を突然ぐるりと裏返され、カイジは木の幹に手をついてしげるを振り返る。
「オレは、こっちで出したいな……」
「ふ、うぁっ……!?」
 剥き出しの尻をぐいと引き寄せられ、割れ目に己の放ったものをぬるぬると塗りつけられて、カイジはびくんと背を反らした。
「あっ、『ちょっとだけ』って……言って……ッ」
 てっきり抜き合いっこして終わりだと思い込んでいたカイジの口から、抗議の声が上がる。
「そうだったっけ……でも、ごめん……止まんない……」
「あ、あっ!」
 身勝手なことを言い、しげるは硬く閉じた窄まりにいきなり指を突き立てることによって、カイジの文句を無理やり封じようとする。
「っく……しげ……ッ」
 懸命に声を耐えながら、カイジは呪わしげにしげるを振り返る。
 しかし、赤く染まった目許と濡れた睫毛は、そんな表情ですらしげるに婀娜っぽさを感じさせるのだった。

 衝動に突き動かされるように、しげるは性急な動作でカイジの後ろを解しにかかる。
 カイジの白濁を長い指に絡め、浅い部分を何度もつつけば、徐々に緊張が解れて孔が緩んでくる。
 頃合いを見計らい、しげるは人差し指の第二関節までをぐっと押し入れた。
「ぅ……っ、ぁ、はっ……」
 苦しそうに歪むカイジの顔を見ながら、中をまさぐるようにしてカイジの感じるところを探す。
 やがて、指先があるポイントを掠めた瞬間、カイジの背がきれいにしなった。
「〜〜……ッッ!!」
 開いた口から犬のように舌を突き出し、声にならない声を上げるカイジの様子に、しげるはニヤリと笑う。
 一旦指を引き抜き、今度は中指と二本揃えてソコを突く。
「ふうっ……ん、んんっ……!」
 グチュグチュと音を立てながら激しく抜き挿しすると、カイジの足がガクガクと震え、幹にすがりつく格好となる。
 中を広げるようにかき回すと、どろどろに熱い粘膜が指にぴったりと吸いついてきて、そのいやらしさに、しげるは熱いため息を漏らした。

 細い指でもこれだけ狭く感じるこの人の中に、自分の太いモノを突っ込んだら、どんなに気持ちいいだろう……

 しげるはずるりと指を引き抜くと、下腹で煮え滾る欲望の赴くまま、下履きの中から取り出した怒張を、物欲しげにヒクヒク蠢く窄まりに押しつける。
 カイジは恐慌に陥ったように、激しく首を横に振って縋るような視線をしげるに投げた。
「だ、ダメっ……! 頼むっ、それだけはっ、しげーー、ぁああっ……!!」
 必死の制止むなしく、後ろからゆっくりと押し入られる。
 挿入の衝撃にカイジの瞳からは涙が溢れ、樹の幹に強く爪を立てた。
 想像を遥かに超えてキツく締まる孔に、しげるは歯を食いしばりながら、腰を進めていく。

 陰毛がカイジの尻に触るくらい深く入り込むと、しげるは目を閉じて深くため息をついた。
「すご……気ぃ抜くと、すぐイっちゃいそう……」
「ぁ、あっ、しげ……っ」
「いい? 動くよ……」
 言い終えぬうちに、しげるは律動を開始する。
 杭のように太く硬い勃起に突き上げられ、カイジは背をきつくしならせて身も世もなくよがる。

「あっ、はぁっ、ぁあっ……」
「カイジさん、声……」
「あうっ、んっ、んうっ……」
「ね、声、抑えないと……」
「んあっ、あっ、あっ……」
 さっきまであれだけ抵抗を見せていたくせに、与えられる快楽に夢中になって自分の声などまるで届いていないかのような様子のカイジに、しげるは苦笑する。
 あられもない嬌声を撒き散らす口を掌で覆ってやりながら、しげるはぬぷぬぷと抜き挿しを繰り返した。



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