乾く暇もなく(※18禁)・4


 そのまままっすぐに下り、黒いタンクトップをたくし上げて胸に触れる。
 左の乳暈を筆で円を描くようになぞれば、カイジは背筋を戦かせ、追い詰められたような目になった。
 何度か繰り返すと、中央にある突起がぷつりと立ち上がる。触っていない右側の乳首まで同じようになっているのを見て、しげるは思わず笑った。
「かわいい」
「っあ……! こらっ、しげるっ……!」
 穂先で突起をこちょこちょと擽ると、カイジは身を捩ってしげるを押し退けようとしてくる。その腕を押さえつけながら、ぐっ、と強めに筆を押しつけると、乳頭を押し潰される痛みにカイジの顔が歪む。
 抵抗が緩んだのを確認し、しげるは力を弱めてやる。
 触れるか触れないかの軽いタッチで刺激され、そこがどんどん硬度をもっていくのを感じ、カイジは眉根を寄せて肩を震わせる。
 その表情がひどく扇情的で、しげるはつい執拗にそこをいじめてしまうのだった。

「は……ぁ、う、しげ……ッ、も、やめ……」
 途切れ途切れに制止の声が上がる頃、しげるはやっと筆を止めた。
 弄くりすぎた乳暈は濃く色づき、硬くその存在を主張する乳首とともに、カイジの荒い呼吸に併せて上下している。
 恨みがましい表情を浮かべるその顔は、うっすらと桜色に上気しつつある。しげるはその頬にちょんと口づけると、筆先を下へと滑らせて脇腹を撫でた。
「ぅひゃっ!? ひっ、やめ、くぅうっ……!!」
 軽く穂先を触れさせたとたん、カイジは四肢をばたつかせて激しく身悶え始める。
 脇腹はカイジの弱点のひとつで、触るとひどくくすぐったがるのだ。
 しげるはカイジの太股の上に跨がって無理やり脚を固定してしまうと、乳首を弄んだのと同じくらいの力加減でカイジの脇腹を執拗に責め立てた。
 くるくると円を描きながら上へ下へと往復させたり、戯れに臍の窪みへ穂先を入れてみたり。
 緩急をつけて絶えず責められ続け、カイジは髪を振り乱して半狂乱になる。
「ふぁぁっ、あっやめ、しげ、ひぅっ……!!」
 まるで地獄のようだった。逃れられない苦しみに、カイジはもんどり打ってひぃひぃ喘ぐ。
 開きっぱなしの口からは涎が垂れ、性感と紙一重の苦痛に生理的な涙が止まらない。あっという間にぐちゃぐちゃに濡れていく顔は、いつの間にか耳まで真っ赤に色づいていた。
 凄まじいまでの乱れように、しげるは若干驚きつつも愉しんでいた。
 普段、手で愛撫しても、ここまで乱れさせることはできない。
 皮膚に沿うようにやわらかく、細い毛束の集まった繊細な筆の感触だからこそ、暴くことのできたカイジの姿を、しげるは目に焼き付けるようにしてじっくりと観察した。

 暴れるカイジの全身から、熱湯のような汗が噴き出してくる。
 このままずっと続けたら、カイジはバターのようにドロドロにとろけてしまいそうだった。それも面白そうだとも思ったが、その前に呼吸困難で死んでしまいそうだったので、一抹の名残惜しさを感じつつもしげるは最後に臍の周りをくるりと一撫でし、筆を離してやった。
「……ッ、ひ……、ぁ、あ……」
 カイジはヒクヒクと体を痙攣させ、しばらくは呼吸もままならないようだった。
 焦点を結ばない虚ろな目で天井を見上げ、滔々と涙を流している。
 半開きの口からは赤い舌が覗き、唾液が粘っこく糸を引いているのが見えた。
 全身ぐっしょりと汗に濡れ、しどけなく四肢を投げ出した姿は、まさに放心の態といった様子だ。

 まるで激しいオーガズムを迎えた直後のようで、その姿にしげるは唾を飲み込んだ。
 筆一本でこんな風になってしまう八つも年上の男に、匂い立つような色香を感じる。
 凶暴なまでの性的欲求と、もっと乱れさせてやりたいという嗜虐心を抱えて目線を下へ滑らせれば、カイジの下肢を覆う下穿きの布が緩やかに持ち上がっているのが目に入り、しげるの口端が吊り上がる。
「カイジさん、ここ……」
「ん……ッ」
 その膨らみを、筆で布越しにつうっとなぞると、カイジは鼻にかかった声を上げて身を捩る。
 やわやわと刺激を与え続けていると、それはますます硬度を増し、下穿きの布にちいさなシミが広がっていった。
 しげるの手が下穿きに掛かっても、カイジはぐったりとしたまま、その様子を潤んだ目で追うだけだった。
 そのまま一気に引きずり下ろすと、いやらしく勃起した男性器が勢いよく飛び出てくる。

 脱がせた下穿きを床に放ったあと、しげるはカイジの脚を大きく開かせる。
 太股から股関節にかけてを、焦らすようにゆっくりと筆で撫でると、カイジの口からは湿ったため息が漏れる。
 硬く膨れあがった陰嚢の形を確かめるような入念さで余すところなくなぞり、脚を持ち上げて敏感な会陰をなんども往復する。
「は……ぁ、んっ……」
 カイジは濡れた睫毛を伏せ、もどかしいような刺激に震えていた。
 筆先が陰部を走るたび、竿がピクピク動いて先走りの露を結ぶ。それはやがて幹を伝って次々に流れ落ち、陰嚢まで滴って穂先を濡らした。
「ぁ、し、げる……」
 しげるが目線を上げると、困ったような顔つきのカイジと目が合う。
 遠回しな刺激に腰を揺らめかせながら、言外になにかを訴えかけようとする姿が、はしたなくていじらしい。
 しげるは満足げな笑みを浮かべると、すこし力を込めて筆先を押しつけ、裏筋を開いた毛先で扱くようになぞり上げていく。
 湿った筆先を整え、大きく傘を張った亀頭の括れを、立てた筆でぐるりと一周する。
 触れる部位が変わるたび、しげるは筆の動きや触れ方も微妙に変化させていった。
「あ……、あ、あ」
 繊細な刺激にカイジは甘い声を漏らし、シーツをぎゅっと掴んで皺を寄せる。



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