ラブメディスン・4(※18禁)



 肌寒さにぶるりと身を震わせ、カイジは目を覚ました。カーテンから漏れる日差しの強さは、既に昼近くのそれである。
 頭が痛い。カイジが今まで経験したことのある二日酔いの痛みとは比べ物にならない。頭蓋骨を内側からガンガン打ち付けられているような、酷い痛みだ。カイジは顔をしかめ、頭に手をあてる。腕を動かしたとき、肘がなにかにぶつかった。目をやると、アカギがカイジに背を向けて眠っている。

 見上げる天井は寝室のものではなく、背中に感じるのは固い床の感触。二人の体の上には、毛布がかけられている。酔ってふたりともそのまま寝てしまったのだろうが、昨日の酒宴の記憶がすべてきれいに飛んでしまっている。長く長く息を吐き出し、気合いを入れて体を起こそうとした。

 途端に、腰に突き刺すような痛みが走り、カイジは大きく呻いた。ふたたび床に倒れそうになるのをなんとか堪え、呻吟しながら起き上がる。
 ついぞ経験したことのない痛みの連続に、カイジは昨日、自分の身に何か尋常ではないことが起こったのを悟る。隣ですうすう寝息をたてる白い頭をべちんと叩くと、アカギはくぐもった声をあげながら目を開けた。
「おい、起きろ……昨日、なにがあった……」
「……あ? ……」
 文字通り叩き起こされ、アカギはすこぶる機嫌の悪そうな顔でカイジを振り返ったが、カイジの問いかけを理解すると面倒臭そうにため息をついた。
「なに……覚えてねえの……」
 その言い方にムカついて、もう一発殴ってやろうと体に力を入れた瞬間、カイジの秘部からどろりとなにかが流れ出してきた。その感触にぞわりと鳥肌をたて、カイジは慌てて毛布を捲り、足の間を見る。

 絨毯の上に、粘性を帯びた白い液体がどくどくと広がっていた。というか、あまりの痛みに気をとられて気づかなかったが、まず、下半身が素っ裸である。そして体にも、顔にも、髪にも、そこかしこに乾いた白いものが付着している。
 この異常な状況に叫びそうになるカイジの目に、机の上に置かれた三角の瓶、そしていかがわしい女のイラストが飛び込んでくる。その瞬間、カイジは昨日、なにがあったかをはっきりと思い出した。

 鬼の形相でアカギを振り返る。アカギはくつくつと笑いながら、寝返りをうってカイジの顔を見た。
「スゴかったぜ、あんた。精液涸れちまうかと思った」
 詳しく聞きたい? というアカギの問いかけが終わるか終わらないかのうちに、カイジ渾身の蹴りがアカギの脇腹にクリーンヒットした。






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