ラブメディスン・1(※18禁) アホエロ 媚薬プレイ カイジ壊れてます。流血(鼻血)描写注意


「かぁ〜、うめぇ! この瞬間がいちばん、生きててよかったぁ〜! って思うよなぁ」
 アカギが注いだグラスを一気に干したあと、カイジは快哉の声を上げた。
 数か月ぶりにやってきたアカギとの酒宴に、カイジはご機嫌だった。半年近く、ずっと連絡ひとつ寄越さなかったくせに、いきなり今日訪ねてきたアカギに、はじめこそむっつりと眉間に皺など寄せていたカイジだったが、アカギの持ち込んだ旨酒とつまみによって幾ばくもしないうちに表情を和らげた。カイジのこういう、目の前の欲求に素直なところがアカギは嫌いではない。なにより、扱いやすいし……という本心は伏せ、アカギは空になったカイジのグラスにビールを注いでやった。

 グラス片手に、透き通ったふぐの刺身を口に運びながらカイジは言う。
「お前しばらく顔見せなかったけど、どうせまたヤバイことに首突っ込んでたんだろ」
「まぁ……ね」
 アカギはグラスにつけた口元をふっと笑ませた。

 負かした相手に逆恨みされて命を狙われる、なんてことは日常茶飯だったが、今回の相手はちょっとしつこく、しかもその騒ぎがヤクザ同士の抗争にまで発展してしまったので、少しの間東京を離れてあちこち転々としていたのだ。

 カイジはアカギの顔を真顔でじっと見て、幾分、低い声でぽつりと言った。
「……オレがなんか言ったところで、お前はしたいようにするだろうけどな、」
 カイジはそこで言葉を切った。そして、唐揚げを口に放り込み、渋い顔で咀嚼し、嚥下する。
 まるで、言いかけた言葉を無理矢理飲み込んでいるようだった。

 カイジは無愛想に見えて、実は人並みかそれ以上に情が深い。それは酒が入ると顕著にあらわれる。飲み込んだ言葉の続きも、アカギには手に取るように想像できた。恐らく、あまり無茶するなとか、月並みな言葉が続いたのだろう。
 しかし、言葉にしなくても、表情が曇り始めているカイジに、内心、やれやれ、と思いながら、アカギは白子の天ぷらを口に運んだ。
(これからなにをされるのかも知らないで……お人好しすぎるぜ、カイジさん)
 実は今日、カイジの家に寄ったのには理由がある。
 アカギが金の詰まった鞄の中に忍ばせている小瓶。
 先の件で、代打ちを依頼してきた組の若頭から、面白いものがあると言って渡されたもので、いわゆる、催淫剤の一種らしい。法に触れるか触れないか、ギリギリのヤバイ代物で、実際に使用してその効果は実証済みとのことである。
 渡された瓶に満ちた、琥珀色の液体を見ながらアカギはカイジの顔を思い浮かべた。
 こういう薬は、使用前と使用後のギャップが大きければ大きいほど面白い。
 どんなに組み敷いても突き上げても、毎回毎回バカのひとつ覚えのごとく、果てるその瞬間まで牙を納めず吠え続けるカイジ。その堅固な理性を薬で取っ払ったら、どんな風になるのか、少なからず興味をそそられた。



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