ホテル・4(※18禁)

 当然、そんなものに怯むアカギではない。
 アカギは一旦カイジから離れ、ベッドサイドからなにかを取って戻ってきた。
 蹲るカイジの後ろにしゃがむと、腰をぐいと引き寄せて四つん這いにさせる。
「あっ!?」
 予想外の行動に虚をつかれたカイジの耳に、異音が飛び込んできた。なにかの包みを破るような音。
「……!?」
 まさか、とカイジが首を巡らせると、肩越しにアカギが薄っぺらい袋からゴムを取り出して自身の指に被せているのが視界の端に映った。
「お、ま、えぇ……っざけんなぁっ……!」
 次されることがわかって、カイジは悲痛な叫び声をあげる。半泣きになりながら這いずって逃げようとするが、下半身が固定されているのでいくら腕を動かしても進まない。 
「ほら、抜くなら早く抜かないと……後ろも塞がっちまうぜ」
 濡れたゴムの感触が尻穴をつつく。途端に、カイジはパニックに陥ったように叫んだ。
「あっ! いや、だ、イヤだアカギっ、あっ、あああっ……」
 ぐっと押し入ってきた指の感触にガクガク震え、カイジは腕で支えていた上半身をぺたりと床につけてしまう。ぬめりを帯びているゴムのお陰で痛みはなかったが、異物感に吐き気がこみあげてくる。
 そのまま乱暴にかき回される。長い指が抜き挿しされるにつれ、苦痛だけではなく微弱な電流が流れるような感覚が下半身を痺れさせ始めた。前回の行為の時とは明らかに違う感覚にカイジは焦った。
(なんだ、これっ……)
 アカギの指が中を動くたび、頑なだった体がやわらかくほどけていくようで、抵抗しようという意思が根こそぎ奪われてゆく。カイジはぐったりと床に頬を押し付け、声が出そうになるのを唇を噛んで耐えた。それでも、時々嗚咽のように殺しきれない喘ぎが漏れた。
「あ……」
 三本入ったところで指が引き抜かれ、カイジの口から後を追うように声が零れる。その小さな声は誤魔化しようもなく婀娜っぽさを帯びていた。また、ゴムの袋を破る音がして、カイジは首をわずかにもたげて乱れた髪の間からアカギを睨んだ。
「ゃ、めろ……」
 猛ったものにゴムを被せ、アカギはカイジの後孔にぴたりと腰を寄せる。
「ここまできて、やめられるわけない。あんたも男ならわかるだろ?」
「は……っ、わかる、かよっ。生憎、お前みたいに男を抱く悪趣味の持ち合わせはねえからな、」
 叫びすぎて掠れた声でも精一杯強がるカイジにアカギは笑い、腰を進める。
「うぁ、あ」
 ズブズブと体を貫いていく凶器の熱さに目が霞む。
「あ! っあ、ちょ、待……ッ」
 奥まで挿入るや否や容赦なく腰を打ち付けられ、衝撃に他の感覚が麻痺して下半身だけの生き物になったような心地がした。すると鮮明になるのは、突き上げるような射精感と、それを塞き止めている違和感。
 カイジはぶるりと体を震わせる。悲鳴のような声で叫んだ。
「も、もう抜……抜いてくれッ、アカギぃっ」
「なにを?」
「あ、こ、コレ……っ」
 カイジは腰を掴むアカギの手を引いて、綿棒の埋まる自身へと誘導する。カイジはもう解放されたくて必死だった。
「『抜いてくれ』? それが人にものを頼む態度かよ」
「いッ……」
 アカギは綿棒の先を指で弾く。振動が伝わってカイジのモノがぴくりと震えた。
「ちゃんとお願いできたら抜いてやるよ」
「くっ、そ……」
 ふざけやがって、とカイジは歯噛みしたが、非情なほどガツガツ攻め立てられて後ろが悲鳴を上げている。限界なんてもうとうに越えているのに、解放できない熱がわだかまる腰のあたりが暴れだしたいくらいもどかしい。
 鈴口の回りをあやすようにそっと撫でられ、そんな些細な動きにも感じてしまう自分の体をカイジは呪った。
 それでも、吹けば飛びそうな理性をかき集め、カイジはアカギの腕にギリギリと爪をたてる。
「誰がっ、おまえになんかっ……!」
 アカギはクスリと笑い、カイジの爪を食い込ませたままの腕で、綿棒を深くまで押し込む。
「……!」
 奥を抉られる衝撃に声もなくカイジの体が硬直する。
「ほんと……強情だな、あんた」
 囁かれた言葉の、愉快そうな響きにカイジは気付かない。耐えがたい苦痛に、浅い呼吸を繰り返すだけだった。
 カイジの耳に唇を付けたまま、アカギは綿棒を一気に引き抜いた。
「――ッ!」
 カイジはビクビクと体を震わせながら精液を迸らせる。
 目の前が真っ白になりそうな痛みと快感、でもカイジはなんとか意識を飛ばさなかった。アカギの腕に爪を立てたまま、ずる、とカイジの手がずり落ちる。
 何度か抽送を繰り返し、アカギもカイジの中で達した。



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