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「華を織る」
06

 一安心し安堵の息を吐く麻乃に、蒼川は悪戯っぽく瞳を瞬かせる。
「それとも俺はもう、此処に来てはいけないのでしょうか」
「え?いいえ、そんな事は。いつでもお越し下さい、お待ちしております。国立図書館は、」
「――『全国民に開かれています』、ですよね」
「、」
 続けようとした言葉を蒼川に引き継がれ、麻乃は口をつぐんだ。


「貴方は本当に真面目な方ですね、麻乃殿」
「‥‥どういう意味ですか」
「ああ、申し訳ありません、褒めたつもりなのですが」
 揶揄されたと感じ些か憮然とした表情を浮かべた麻乃に、蒼川は申し訳ありませんと軽く頭を下げる。




「――此処、です」





「え?」
「この貴方の部屋に、です。麻乃殿。俺が来たいのは図書館ではなく貴方の部屋なんです」
「‥‥それは、」






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あきゅろす。
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