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「華を織る」
03




「今日から3日休みだ、宮古」



 思いがけない上司の言葉に宮古は一瞬、虚を突かれた様な――隙の無い彼にしては極めて珍しい――顔をし、次の瞬間、一転して険しい表情を浮かべた。
「冗談じゃありません」
 何を言い出すのだ、この上司は。やるべき事は山積みなのだ。
「この忙しい時に休んでなど、」
「そうだ。その多忙な時に、無理矢理俺を休ませたのは誰だい?宮古」
「、それは、しかし、」


 思わぬ桜木の反撃に、宮古は再び珍しく口籠る。
 押され気味の宮古に、静剣・清水は眼鏡の奥で優しく微笑み、豪剣・樫山は促すように無言で頷く。
 偶然居合わせた剣士などは、呆気に取られて二人の遣り取りを眺めているだけだ。
「3日が不服なら、今日と明日。俺と同じ2日間でどうだ」
「『どうだ』と言われましても」
「そもそもお前が休まないと、兵達に示しが付かないんじゃないのか?」
「っ、」


「悪かったな。本来ならお前が先なのに、俺が先に休んでしまって」
「‥‥いえ、そんな事は」
 畳み掛けるように桜木から謝罪の言葉を贈られ、宮古の戸惑いは益々深まっていく。
「本当は長期休暇を遣りたいんだが、お前がいないと困るんだ。申し訳ない」
「華剣、」
「だから休んでくれ、宮古」



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あきゅろす。
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