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「華を織る」
07


◆◆◆◆◆


 灯りの消された夜闇の中を、男は裏門に向かって歩き続けていた。
 懐には報酬の詰まった袋が押し込まれている。取り決めより多めの額を渡されたと言う事は、口止め料も含まれているのだろう。
 もとより誰にも話す気は無い。そもそも男の話を信じてくれた者は、誰も居なかったのだ。
 『かまいたちを起こした子供がいる』と何度訴えたところで、片腕と仲間を失い自暴自棄となっていた酒浸りの言う事など、他の者にとっては雑音以外の何物でもなかった。――一人の若者以外には、誰も。


『その子を私の許へ連れてきてくれませんか?』


 居酒屋で美味い酒を奢ってくれ、男の言う事を最初から最後まで静かに聞き続けてくれたあの若者。最後ににっこりと微笑んだ彼の意図など、男の知った事では無かった。
 自分の言う事を信じてくれ、あの化物を東雲から追い出し、その上金までくれると言うのだ。男には断る理由なぞ何処にも無かった。



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あきゅろす。
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