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「華を織る」
03


 取り立てて口止めされた訳では無いが、しかしあまり口外するべきではない事柄である事ぐらい、麻乃も分かっている。
 とっさに知らぬ存ぜぬで通そうとした麻乃だったが、蒼川の顔に浮かべられた真剣な表情に思わず口を噤んでしまった。
 そんな恋人の困惑した顔をしばらく眺めていた蒼川は、やがて苦笑を浮かべるとそっとその髪に手を伸ばす。
「やはり貴方は、嘘が不得意の様ですね」
「‥‥桜木の目的を知って、どうする気です?蒼川殿」
「勿論、加勢に行くつもりです」


 さらりと言ってのけた蒼川に、麻乃は思わずその腕を掴んでいた。
「駄目です!怪我も漸く治ったばかりなんですよ?貴方にまた何かあったら、」
「――と言う事は、やはり危険を伴う場所へ行くんですね、あいつは」
「、」
 蒼川の言葉にはっと我に返った麻乃だったが、もう遅い。こんな簡単な、誘導尋問にすらならない遣り取りに引っ掛かってしまった自分を悔やみつつ、それでも説得を試みる。


「敵陣に飛び込む様なものですよ?」
「ますます、俺も行かなくちゃいけませんね」
「しかし」
「それで、何をしようとしているんです?桜木は」
「‥‥」
「身の危険も顧みず、華剣の任務も放りだして、あいつは何をするつもりなんです?」
「‥‥」
「教えて下さい。あんな桜木は初めて見たんだ。いつも呑気で余裕のあるあいつが、あんな顔をするなんて。――俺はあいつが心配なんです」



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あきゅろす。
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