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「華を織る」
05



 苦笑を浮かべながら袋から顔を覗かせた蒼川に、宮古の驚きの声がぶつけられる。『――何故、舞剣が此処に居るんですか!』
『なあに、昨夜のうちに忍び込んでいてね』
『そう言う意味ではありません!何を考えているんですか!!貴方は舞剣なんですよ?四剣が一人なんですよ??』
『いやだって、こっちの方が面白そうだったし』
『都城は??都城の護りはどうなるんですか!』
『樫山と清水に任せておけば大丈夫さ』
 そもそも俺、本来は都城に居ない人間だし、どうせ暇だし‥‥にこやかに言ってのける蒼川に、宮古は思わず額を抑えたのだった。




「そもそも舞剣、貴方が勝手について来られたから、余計なお芝居をする羽目になったんですからね」
「そう怒るなよ八重殿、美人が台無しだぞ。良いじゃないか、俺の力が必要な時があるかもしれないんだし」
「怪我の具合はどうなんですか?ちゃんと完治しているんですか?」
「大丈夫大丈夫。どこも痛い所は無いから」
 不審げな雰囲気を漂わせている宮古に対し、蒼川は能天気に明るい。


「だいたい宮古だって、ついて来て良いのか?お前だって仕事があっただろうに」
「良いんですよ。俺は華剣の副官ですから」
 生真面目な表情で言う宮古の言葉に、蒼川は堪らなくなった様に吹き出す。
「舞剣!何故そこで笑うんですか!」
「いや、別に、お前らしいなあって思ってさ」
 尚も笑い続ける蒼川に、憮然としている宮古、そんな二人を苦笑しながら眺めている桜木――正体がばれれば即刻捕縛されかねない三人組を乗せた馬車は、一路西風の首都へと直走る。



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