「華を織る」 04 ◆◆◆◆◆ 記憶の中の両親は、いつも微笑んでいた。 まだ、彼の目が見えていた頃のこと。 遠く懐かしい、穏やかな思い出。 ―――は、しては駄目だよ。 何だっけ。 何だっけ。 失われてしまった言葉の断片を、彼は必死になって思い出そうとする。 幼い頃、彼はある日突然、何かを禁じられた。 いつもは陽気で大らかな両親が、どこか焦った風に、そしてひどく哀しげに彼へ告げたのだ。 ―――は、しては駄目だよ。 ―――をしてはいけないよ。 何だっけ。 何だっけ。 何‥‥ [*前][次#] [戻る] |