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「華を織る」
01 ◆2◆
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「それで?」
 お気に入りの湯呑へ淹れた翠茶へと手を伸ばしながら、清水は眼鏡の奥の柔和な瞳を桜木へと向けた。「――頼みって何?桜木」
 東の剣を統率し抜きん出た実力を備えている四剣とは言えども、それはあくまで戦闘時の話。詰所内で事務作業を行う為の執務机は、他の剣士達――もっとも彼等は複数人で一つの机を共有しているのだが――と共に二階の大部屋に並べられている。
 しかし都城の防衛を任されている静剣は唯一例外であり、資料室も兼ねた静剣専用の小さな個室を与えられていた。
 『頼みがある』と宮古へと告げた桜木は、続いてこの個室へと清水、樫山、そして蒼川を招集したのである。


「とても個人的な頼みになるんだが、」
「大丈夫、秘密は守るよ」
 悪戯っぽく笑いながら頷く清水へ桜木も頷き返し、改めて全員の顔を見回した。
「その‥‥明日から休みを貰っても良いか?」
「え?」
 流石に想定外の言葉だったらしい。人払いもし、さてどんな頼み事をされるのかと身構えていた清水は、いささか拍子抜けした声を上げた。「――え、休みって、休暇って事?」


「ああ。‥‥駄目かな?」
「いや別に、休みたいなら休めば良いと思うよ。むしろ桜木はもっと休むべきだしね‥‥ええとそれで、いつまで?」
「俺が帰ってくるまで」
「‥‥それは、」
 言葉の意味を図りかね、押し黙ってしまう清水。代わりに、それまで成り行きを見守っていた樫山が口を開いた。「――それは、いつになるか分からない、と言う意味なのか?」
「ああ」
「何処へ?」
「それは言えない」
「何をする為に?」
「それも言えない」
「‥‥」


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あきゅろす。
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