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「華を織る」
07



 だとしたら、虹が織子の再来を知っていた事に対しては、理由が付く。
 そして虹は力を欲していた。己が住まう西風の為に。喉から手が出る程に。
 もっとも、亜紀に力が宿っている事をどうやって知ったのか、その事に対しては疑問が残るが‥‥いや待てよ、そうでもないと桜木は眉を顰める。


 亜紀の両親が巻き込まれた事件の時、虹の黒水晶は光ったのだろう。矢崎の祖父の話を熱心に聞いていたと言う彼の事だ、その『原因』が誰なのか探し回ったに違いない。
 そんな時、あの記事が目に留まったら?勘の良い虹はきっと気付く筈だ。更に調べていく仮定で、賊の生き残りと何らかの接点が生まれていたら。そして、彼を使って亜紀を攫わせていたら‥‥
「‥‥」


 ――まあ、良い。
 そこにどんな理由や事情や思惑があろうと、どうでも良い。
 ともかく今、亜紀は西風に居る。それさえ分かれば良い。
 後は俺が連れ戻せば、それで良い。



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