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「華を織る」
05



◆◆◆◆◆


「‥‥」
 自席へと戻った宮古は、今日中に片付けなければいけない書類を机に広げていた‥‥がしかし、何時もの様に集中できない。どうしても隣席の上司の様子が気になってしまう。
 数日前、神官自治区から帰ってきてから、桜木の様子がどうにもおかしいのだ。いや、おかしいと言えば、自治区へ自ら行くと名乗り出た時点からおかしいかった。仕事はきちんとこなしているが、心此処にあらずと言った風なのである。


 今日は朝から大人しく書類の決裁を行ってくれているが、宮古にはどうにも無理をしている様な気がしてならない。いやむしろ、嵐の前の静けさと言うべきか。
「‥‥」
 そして先ほど手渡した、矢崎からの書状。目を通すなり、むっつりと黙り込んでしまった桜木の横顔をちらりと盗み見た宮古は、困惑した様に眉間に皺を寄せる。



 一体どうしたのですか?
 何があったのですか?
 何が書かれていたのですか?



 問いたい事は山の様にあるのに、何と声を掛ければ良いのか分からない――こんな事は初めてだと、宮古は心の中で小さく溜息を吐いた。
「‥‥」
 一方の桜木もまた、心此処にあらずといった有様だった。書類には全て目を通し理解した上で決裁しているが、後で内容を聞かれでもしたら答えあぐねてしまいそうである。



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あきゅろす。
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